Webプロジェクトマネジメント標準ほか3冊



周りを驚かせるようなカッコいいアイデアやデザインは、一朝一夕で生まれるものではありません。情報や技術を取り入れつつ、日々感性を磨きながら、実践(現場)で鍛えていく。インプットとアウトプットのサイクルが大切。多忙なデザイナーのインプットを助けるべく、MdN Interactive編集部がオススメ本を紹介していくコーナーです。


ワンランク上のWebディレクションを目指す 『Webプロジェクトマネジメント標準』 林千晶・高橋宏祐/技術評論社
2,180円+税

“船頭多くして船山に登る”とはよく言ったもので、なにかとあれこれ指図する人ばかりだと進むものも進まず、どこか方向外れになってしまうもの。出版、デザイン、Web業界……大小関わらず“プロジェクト”と名のつく複合業務において、そう感じた人も多いのではないのだろうか? 本書が礎にするPMBOK(ピンボック)とは「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」の略称。いわく「プロジェクトマネジメント知識体系」となる。アメリカにおいてプロジェクトマネジメントを推進するPMIから刊行された書籍では、プロジェクトを「有機的にあること」「独自性がある」と2つの要素で定義している。そのセオリーに基づきながら、本書はWebディレクションにおける「なんたるか」を指南。計画、スケジュール管理、リスク、予算、検証……と順を追いながら、みんなハッピーに終わるプロジェクト像を著していよう。




60年代に突き動かされた者たちのドキュメント 『60VISION ロクマルビジョン』
ナガオカケンメイ/美術出版社
2,600円+税

グラフィックデザインばかりか、ファッション、インテリア、自動車など、幅広いジャンルで“定番”となっている60年代のプロダクト。デザイナーであり、リサイクルショップ「D&DEPARTMENT PROJECT」を主宰する著者による新刊は、2002年から取り組んでいるブランド作りのプロジェクト「60VISION」(ロクマルビジョン)の姿勢、その軌跡をまとめたドキュメンタリーだ。プロジェクトに協賛したのは「60年代」を体現する家具、食器、シューズ、菓子メーカーなど。「企業の創業者もデザイナーも、いいものをつくるために必死になっていた日本の1960年代。この時代に生まれた企業の原点ともいうべきスタンダードな商品を復刻、売り続ける過程こそが、ものづくり企業にとっての本当のブランドづくりになる」と著者。安易なマーケティングで、半年過ぎれば消えていくようなモノにあふれた現代。著者の思いを汲み、次第に彼の情熱に巻き込まれていく人々の機微も面白い、読ませる“デザイン本”だ。




誰にでも“初心者”のころはあるものさ 『グラフィックデザイナー1年生』
オブスキュアインク編/ワークスコーポレーション
2,400円+税

デザイン業界での話ではないが、某出版社の丁稚時代、原稿の後送のことを「ごそう」と言って恥をかいたことがある。そんなエピソード、集めればゴマンとある。上司に「トンボを切ってくれ」と言われてトンボ鉛筆の先を研いだ奴(いま、有名ADですよ!)やら、先輩に「アタリをとってくれ」と言われて事務所周辺を撮影してきた奴(2年後に世界一周)やら……。さて本書は、こういうド失敗話を後々されないように、プロになる前に確実に憶えておきたいグラフィックデザインの基本集。デザイナーとはどういう職業でどのような日々を送っているのか。仕事の内容は媒体(名刺/ビジュアル雑誌/フリーペーパー/書籍パンフレット)によってどう違うのか。レイアウトのやカラー、フォントの知識……と、即デザイン事務所に入っても「ハァ?」とならないためのマニュアルだ。現役に用はないと思うが、今後デザイナーを目指す方はお手元に。




プロフェッショナルだからこそ必須の実例集 『プロのデザインルール 会社・入社案内編』
ピエ・ブックス/3,800円+税

最近『カタログ編─基礎とケーススタディ』が刊行されたばかりのシリーズから、昨年秋に刊行された第1弾を改めて紹介しておこう。世に数多く出回るグラフィックデザインの中で、良質かつスタンダード(かつ先鋭的)なモードを集積し、基本とケーススタディ、プロの制作現場リポートを網羅したカタログの本書。副題通り、会社案内の類いはあまり世間の目に触れることが少ない媒体であるが、本書で紹介している企業の理念、企業のメッセージを“カタチ”にするデザイナーたちの発想、そして“冒険”とも言ってよい実例の数々には、商業誌やWebの世界をも刺激するアイデアにあふれているだろう。続く『DM編』『CI&ロゴマーク編』と併せて、プロを任じるアナタの書棚に置いて損はないシリーズと断言。ちなみに、シリーズを通じてカバーを飾っている漫☆画太郎のイラストの“ド迫力”にも注目されたし(関係ないか?)。


(文・増渕俊之)



(更新日:2008年10月10日)
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