「“mixi”オープン化──本当の意味」
「“mixi”オープン化──本当の意味」
2008年12月3日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
国内最大のSNSの変換期
2008年11月27日、「mixiがオープン化」という記事が多くのメディアに掲載された。
簡単にこの内容を説明すると、
・会員登録が招待制から自由登録制に変更
・年齢制限を18歳以上から15歳以上に引き下げ
・mixi内に掲載可能なアプリ開発を許可するAPIの公開
の3つがメインになっている。
今回の措置は、既に1500万人以上という巨大なユーザーベッドを抱えていて、世代別に見ると既に飽和している層が出てきており(たとえば20代)、より若年層や中高年を取り込まない限り成長カーブを描けなくなったことへの対処だ。
APIの公開はFacebookやMySpaceなどの米国SNSの戦略のコピーであり、将来のEコマース展開やゲームアプリなどのコンテンツの充実をしていくうえで、外部開発者の囲い込みを図ることの有用さが実証されていることへの対策である。
つまり、成長鈍化とユーザーに飽きられ始めている現状のmixiのあり方に、新たなユーザー層と目新しい刺激を加えることが大きな目的であると思われる。
オープン化について報じる2008年11月27日のmixiのページ
http://mixi.co.jp/press_08/1127.html
オープン化の意味
mixiがオープン化を謳ったのは今年2回目だ。2008年8月20日には「OpenID」対応を発表している。OpenIDとは、異なるWebサイトにログインできる共通の「認証システム」であり、ログインに利用するIDのことを指す。OpenID対応には、「OpenIDを使ってログインすることを受容しているサイト」と、「OpenIDを発行する機能を持つサイト」の2つがあり、当然ログイン許可とID発行の双方をサポートするサイトも存在する。
mixiが対応したのは、このうちOpenIDを発行することだけであり、OpenIDを使ってmixiにログインすることはいまのところ許可されていない。その意味では、mixiというSNSはいまだオープンであるとはいえないのが現状である。
SNSのオープン化と言った場合、以下の4つのステップがある。
1. 自由登録制
誰にでも自由にIDの取得を許可する。
2. OpenIDなどの共通認証システムへの対応
他社サービスの登録者にも利用を許可する。
3. APIの公開あるいはウィジェット対応
SNS内に、外部サイトのコンテンツやサービスを掲載することを許し、そのためのAPIを提供する。
4.データポータビリティ対応
SNS内の(日記などの)コンテンツを(RSSフィードなどを使って)外部にも公開することを許可する。SNS内のデータの持ち出しをさせるという意味でデータポータビリティと呼ぶ。
この点、mixiは、やはりまだまだオープンであるとはいえない。
とはいえ、米国のFacebookも4のデータポータビリティには対応しておらず、外部のサイトからFacebookのコンテンツを見ることは基本的にできないので、mixiばかりを閉鎖的であるとすることはできない。
Twitterに代表されるマイクロブロギングは、ブログの発展系であるのか、それともユルいSNSであるのか判断に苦しむところが多い。mixiもまた、「Echo」と呼ばれるTwitterライクな機能を内部に取り込む試験運用を行ってきており、両者の融合も今後注目すべきポイントである。しかし、Twitterらの良さは、外部サイトからのエントリーの投稿はもちろん、反対にTwitter内でのコンテンツをRSSフィードで外部に公開できるうえ、さまざまなAPIを公開している明確なオープン性にある。
mixiは今後、さらに慎重な戦略の選択を迫られることだろう。
[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。