「無印良品におけるデザイン」



「無印良品におけるデザイン」
2008年12月5日

TEXT:蜂賀 亨
(クリエイティブディレクター/エディター)


早いもので2008年も残すところあと1カ月。毎年この時期になると街や商店街はクリスマスのイルミネーションで賑わい、店先にはクリスマスに関係するたくさんの商品が並んでいる。インテリアショップや雑貨屋などを見て回るのが一番楽しい時期かもしれない。

ここ数年いつも気になっているのが、無印良品が展開しているクリスマスプロダクト。カレンダーやクリスマスカード、ツリーのオーナメントといったクリスマスに関係する商品はもちろん、「WORLD MUJI GIFT」として毎年展開されている玩具やステーショナリーなどは、いかにも無印らしいコンセプトやアイデアあるものがあって、毎年どんなプロダクトが発売されるのか気になる。

今年展開されているなかから、気になるいくつかをピックアップすると、おそらく今年で3年目になると思うのだが、無印良品のルービック・キューブ。赤や青などの派手な6色のルービック・キューブも、無印良品の手にかかるとグレーをベースにしたシンプルな色でぐっとシックな玩具になってしまう。色を変えるだけでこんなにシンプルで、魅力的な商品にしてしまうとは、さすがである。

ほかにもロンドン、パリ、東京、ニューヨーク4都市の有名なイメージがモチーフになった「CITY テンプレート」は、グラフィックデザイナーであれば少し心をくすぐられるに違いないアイテムだろう。無印良品のプロダクトには、普通のステーショナリー会社ではつくらないような、デザイナー受けするようなプロダクトが多いのがうれしい。クリスマス限定ではないが、週刊誌をフォーマットにしたノートや、4コマの漫画やコンテが書ける「週刊誌4コマノート」などは、いかにも無印良品らしいアイデア商品だ。

無印良品の商品は色が地味だし、フォルムもシンプルすぎてつまらないという人もいるかもしれない。しかし、シンプルだからこそ飽きにくく、好まれているのもたしかだ。形状や色がシンプルだからこそ、アイデアやデザインがより重要で、魅力ある商品が必要になってくる。無印良品のさまざまな商品は、実はデザインされていないようで、とてもよくデザインされているものがほとんどだ。

1980年に西友のプライベートブランドとしてスタートしてから、現在までつらぬかれている「無印良品」の世界感。色も形状もシンプル、コストをできるだけかけずに「わけあって、安い」商品をデザインするのは、大変で、面白い仕事に違いない。早くも、来年のクリスマスにはまたきっと新しくて面白い商品を企画してくれるのではないかと期待をしてしまう。



左:「週刊誌4コマノート」 上:ルービック・キューブ 右:「CITY テンプレート」





[筆者プロフィール]
はちが・とおる●クリエイティブディレクター/エディター。ピエブックスを経て、クリエイターマガジン『+81』を企画/創刊させて11号まで編集長。その後ガスプロジェクトにあわせて、書籍「GAS BOOK」シリーズ、雑誌『Atmospehre』編集長などを担当。現在はフリーとしてグラフィックデザインを中心に企画/ディレクションなどで活動中。
http://www.hachiga.com/





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