「覇権争いが始まったオンライン個人認証サービス──前編」



「覇権争いが始まったオンライン個人認証サービス──前編」
2008年12月8日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)


Googleを巻き込む新たな戦い

ちまたではMicrosoft対Googleの戦いに注目が集まっており、たいていのメディアではGoogle優位の論調である。しかし、同じように熱く激しい戦争がネット業界では始まっており、そしてその戦いのプレイヤーの1人は同じGoogleである。しかも、この戦いでは、Googleも必ずしも優位に立っているというわけではない。

その戦争とは、インターネット上の個人認証における覇権争いであり、Googleの前に立ちはだかっているのが、FacebookとMySpaceである。

各社が狙っているのは、インターネットのユーザーの個人プロフィールや人脈の囲い込みである。


Web2.0が必須にしたインターネット利用時の個人認証

Web2.0は、Webを使いこなすうえで必要となるさまざまな手続きを簡略化し、要求されてきた知識や技術の多くを不要とした。これによって、多くのユーザーがネット活用に流れ込み、同時に、パーソナライズされた情報の扱いやサービスを享受するために、会員登録を余儀なくされてきた。このため、現在多くのネットサービスは有料無料に関わらず会員制であり、結果的にユーザーは複数サービスを利用するために複数のログインIDやパスワードを管理する手間に悩み始めている。

この問題を解決するには、1つのIDで、複数の異なるサービスを利用できるようになればよい。ユーザーのその願望をかなえるために、大手ネットサービスが取り組み始めたのが、共通IDによる個人認証であり、その認証サービスの提供である。


「Google Friend Connect」のセットアップ画面
http://www.google.com/friendconnect/


Google、Facebook、MySpaceの“三国志”

この流れを受けて、2008年12月5日、Googleが個人認証システム「Friend Connect」を発表した。Google Friend Connectとは、ソーシャルネットワーク的なサービスの中で設定したプロフィール情報を、OpenSocialに参加している外部Webサイトで利用するためのAPI群だ。また、OpenSocialはGoogleが提唱する異なるSNS上のプロフィールや人脈、あるいはSNS内でのさまざまなアクティビティを共通化するためのプロジェクトである。

ところが、Googleの発表のわずか1時間後に、Facebookは「Facebook Connect」という同社の個人認証システムの中で、Facebook内のデータを外部サイトに公開することができるようにすることを発表した。

また、MySpaceは両社に先駆けて、同様のサービスを開始している。

この分野で肝心なのは、どれだけ自社に個人情報を登録してくれているユーザーを抱えているか、ということだ。数年前にGmailを開始して以来、Googleも当然多くの登録ユーザーを抱えているが、その実数はFacebookやMySpaceには遠く及ばない。

繰り返しになるが、ポストWeb2.0の世界は、パーソナライズドWebであり、個人認証分野で覇権を握った者が世界を制する、といって過言でないのである。

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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



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