「AppleがTwitterを買収?」
「AppleがTwitterを買収?」
2009年5月18日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
Twitterに目を付けた第三の企業?
世界的に大流行しはじめたマイクロメッセージングサービスのTwitterを、FacebookおよびGoogleが買収したがっていることは周知の通りである。最近、そこに、なんとAppleが名乗りを上げるのではないか、という憶測が流れている。しかも7億ドルという破格の条件である。
もっともこの噂の信憑性はいまのところそれほど高くはない。しかし、AppleがTwitterを欲しがる理由を考えることは、今後のIT業界の流れを考えるうえで非常に有意義であると考える。
AppleがTwitterを欲しがる理由とは!?
Appleとはなにか
Appleの事業をざっと眺めてみると以下のようになる。
・Mac OSを搭載したコンピュータの販売
・iPhone OSを搭載したデバイス、具体的にはiPhoneとiPod touchの販売
・その他のiPodシリーズの販売
・App Store およびiTunes Storeでのソフトウェアとコンテンツの販売
・Mac搭載機用のアプリケーションの販売
興味深いのは、主力であるOS(Mac OS XやiPhone OS)を、他社PCメーカーなどへB2B的に供給していないことだ。彼らは基本的にソフトウェアの開発力をコアとする企業でありながら、基本的にハードウェア販売を主力事業とする企業なのである。
TwitterとiPhoneの親和性
そのAppleがなぜTwitterを欲しがるのか?
そのヒントは、Appleが劇的に方向転換して現在のような革新的かつ高収益型企業へと変身できた、そのきっかけでもあるコンセプト──「デジタルハブ戦略」にあると筆者は考える。
つまり、Appleは各種のデジタル機器をシームレスにつなぎ、自由に簡単に扱えるような未来を思い描き、その中心=ハブを担うのがMacであると考えた。その後インターネットの進化とiPhoneの成功によって、ハブはMacというハードではなく、むしろネットワークそのものであることに彼らも既に気づいている。
iPhoneは現時点で世界最高のモバイルインターネットデバイスである。その結果、Twitterのヘビーユーザーが外出先で“つぶやき”をポストするために使うデバイスの多くはiPhoneである。つまり、リアルタイムでいま起きていることをネットに置き換える作業を、iPhoneとTwitterが担っているのだ。
AppleがもしTwitterを掌中に収めれば、リアルタイムで情報をネットに置き換えるインターフェイスとして、iPhoneとの最強の組み合わせを自社サービスにできる。さらにiTunes StoreやApp Storeの最新情報をリアルタイムでネットに伝搬させるための最良の組み合わせも自社サービスにできる。コアでないものは自分で作らない、というのがAppleにしてもGoogleにしても、これまでの常道である。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。