PUBLIC/IMAGE.METHODイベントレポート(2)
PUBLIC/IMAGE.METHODイベントレポート(2)
去る2009年5月16日(土)、クリエイター向けのコンファレンスイベント「PUBLIC/IMAGE.METHOD」が東京・六本木ベルサールにて行われた。これはWebマガジン「PUBLIC/IMAGE.ORG(http://www.public-image.org/)」を運営するクリエイティブプロダクション「ANSWR」が主催するもので、今回が第1回目の開催となる。さまざまなジャンルのクリエイターを迎えてのセッションが全部で5本、合計6時間にもおよぶイベントは、「EDUCATIONとENTERTAINMENTが融合するEDUTAINMENT(エデュテイメント)な新感覚クリエイティブカンファレンス」を目指したというだけあって、笑いあり、ライブパフォーマンスありといった非常に濃い内容となった。今回は、その中から特にWeb関連のセッションを中心にレポートする。
(取材・文=草野恵子、撮影=竹林省悟)
中村勇吾×富野由悠季
~「『ひとりでアニメーションがつくれる』はとんでもない嘘」by 富野由悠季
一方、予想以上にクリエイターへの厳しい提言となったのが、中村勇吾氏と富野由悠季氏のセッションだ。言わずと知れた世界的インタラクティブデザイナー・中村勇吾氏と、ガンダムのアニメ監督・富野由悠季氏という異色の組み合わせは、中村氏の熱烈なリクエストにより実現したもの。本イベントの目玉とも言えるセッションである。
今回初めて顔を合わせるというふたり。中村氏が富野氏の存在を認識したのは、意外にも「ガンダム」がきっかけではなく、富野氏の連載をまとめた単行本『教えてください。富野です』(角川書店)だったという。一方の富野氏は、自身のアニメーター志望者向けの講義で中村氏の仕事を取り上げ、高く評価をしていると語る。
富野氏の歯に衣着せぬ舌鋒はつとに知られているが、会場をしんとさせたのは、セッション冒頭まもなくの次の一言。「才能のある人は限られている。現在、日本の学校ではアプリケーションを習得することにより “ひとりでアニメーションをつくることができます”と学生に言っていますが、それはとんでもない嘘です」――そう言ったのち、「アプリケーションは所詮絵具のようなツールであり、それを使って絵をどんなにうまく描けたつもりになったとしても、絵心がなければ、その人は単なるオペレーターでしかない」と言い切る。それを受けて中村氏も「この数年、アプリケーションというツールが肥大化し、新機能が搭載されたら、それに飛びつくような風潮が加速したと感じる」と危機感を語る。
「たとえ5秒でも公共に向けて作られた動画は“作品”だという自覚を持ってもらいたい」と強く語る富野氏にとっては、今、Web上に氾濫する映像のクオリティはとうてい納得がいかない様子。その一方で中村氏は、「誰が観ても分かる」という映像の強みを活かして「動画をインテリアデザインに取り込んでみたい」と今後の抱負を語る。セッションはふたりの世代やバックグラウンドの違いが徐々に浮き彫りになるようなものだったが、それだけに特別な化学反応を感じられる刺激的な内容となった。
富野氏の歯に衣着せぬ舌鋒はつとに知られているが、会場をしんとさせたのは、セッション冒頭まもなくの次の一言。「才能のある人は限られている。現在、日本の学校ではアプリケーションを習得することにより “ひとりでアニメーションをつくることができます”と学生に言っていますが、それはとんでもない嘘です」――そう言ったのち、「アプリケーションは所詮絵具のようなツールであり、それを使って絵をどんなにうまく描けたつもりになったとしても、絵心がなければ、その人は単なるオペレーターでしかない」と言い切る。それを受けて中村氏も「この数年、アプリケーションというツールが肥大化し、新機能が搭載されたら、それに飛びつくような風潮が加速したと感じる」と危機感を語る。
「たとえ5秒でも公共に向けて作られた動画は“作品”だという自覚を持ってもらいたい」と強く語る富野氏にとっては、今、Web上に氾濫する映像のクオリティはとうてい納得がいかない様子。その一方で中村氏は、「誰が観ても分かる」という映像の強みを活かして「動画をインテリアデザインに取り込んでみたい」と今後の抱負を語る。セッションはふたりの世代やバックグラウンドの違いが徐々に浮き彫りになるようなものだったが、それだけに特別な化学反応を感じられる刺激的な内容となった。
その他に、カナダで活動するミュージシャン、I AM ROBOT AND PROUD氏と真鍋大度氏のセッションでは、I AM ROBOT AND PROUD氏がキーボードから放つ音のMIDI信号を真鍋氏自作の低周波発生器を用いて「顔面を音楽のヴィジュアライザーとして扱う」パフォーマンスを敢行。このパフォーマンスは、YouTubeにアップされた真鍋氏自身の顔面を大写しにした実験映像でかなり話題をよんだものだが、今回は飛び入りでタナカカツキ氏が参加し顔面を提供。リアルタイムのパフォーマンスに会場は沸き立った。
また、ファッションとアートのコラボレーションを実践する『FUGAHUM』のふたり(エンライトメントのアートディレクター・三嶋章義氏とファッションデザイナー・山本亜須香氏)と、先日、彼らの最新のカタログを撮影したばかりのフォトグラファー・田島一成氏のセッションでは、ファッションとビジュアルイメージの最先端のクリエイティブ現場が明らかに。実際に撮影した写真データを見ながら、撮影の奥義や写真のレタッチについて踏み込んだ話も行われた。ヴィジュアルイメージの今後について、思いを馳せるセッションとなった。
“クリエイティブ”なヒト・モノ・コトに、さまざまな角度から切り込んだ、充実の6時間。クリエイターの本音がぶつかる現場感あふれるトークは、今までにない体験だったと感じる。主催のクリエイティブプロダクション「ANSWR」では、今後も1年に1回程度、本イベントを行っていきたいとのこと。今後もこの動きにはぜひ注目していきたい。
>>> PUBLIC/IMAGE.METHODイベントレポート(1)
>>> PUBLIC/IMAGE.METHODイベントレポート(2)