「iPhoneのドコモ発絵文字対応が意味するもの」



「iPhoneのドコモ発絵文字対応が意味するもの」
2009年6月8日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)


ドコモとの絵文字対応も完了

日本国内でiPhoneの販売を行っているソフトバンクモバイルは、「NTTドコモの携帯電話からiPhone 3Gに対する絵文字入りメールの送信が、2009年6月1日から可能になった」と発表した。この措置により、ついにiPhone 3Gとすべてのキャリア間での絵文字入りメールの送受信が可能になったことになる。


iPhoneの絵文字対応状況について解説したソフトバンクモバイルのWebページ
http://mb.softbank.jp/mb/iphone/mail/pictogram.html

iPhoneの絵文字対応は、今年1月にはウィルコム、イー・モバイル端末をサポートし、さらに2月にはau端末をサポートするなど、徐々にではあるがソフトウェアのアップデートとともに改良が行われてきた。唯一ドコモからiPhone 3Gへの送信で絵文字が使えない状態が続いていたが、今回の発表によって、ようやくiPhone 3Gは国内の全キャリアの端末との絵文字入りメールの交換が可能になったことになる。


絵文字ユニコード化の動き

絵文字はもはや、若年層における「メールの限られた字数での感情表現の最良の方法」として確立されていることはいうまでもない。

そしていま、日本国内の“ガラパゴス”的文化のひとつであるはずだった絵文字が、漫画やアニメと同様に、日本発のコミュニケーション手法として世界的に広がる可能性が出てきている。

もともと、携帯電話における絵文字は、日本国内の携帯電話会社が各々独自に創作したものであり、同一のキャリアのユーザー間での使用を前提に作られたものであるが、今では異なるキャリアの間でのある程度の互換性が保たれている。キャリアと端末の機種の違いに関わらず、同じニュアンスの表現を持った絵文字を送受信できるためには、絵文字自体がユニコード(国際共通の符号化文字集合)として標準化されることが必要だ。

Googleは昨年来、Gmailでの絵文字の相互利用への対応を表明しており、日本の携帯電話の絵文字のすべてをユニコードの文字として共通符号化しようとしている。

筆者の予測では、全世界的に急速にユーザー層を拡大させているTwitterに代表されるマイクロメッセージングサービス(140~200文字程度の短文の交換によるインターネットのコミュニケーションサービス)なども、この絵文字を取り入れる可能性は十分にある。そうなれば、絵文字がインターネット上の感情表現として共通化され、Web上のさまざまな局面で使われることになるだろう。


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



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