ReMIX Tokyo 09イベントレポート（2）
マイクロソフト（株）は、Webクリエイター向けイベント「ReMIX Tokyo 09（http://www.microsoft.com/japan/events/remix/2009/）」を2009年7月16日（木）、東京ミッドタウンにて開催した。ユーザーエクスペリエンス（UX：ユーザー体験）の向上を目的にマイクロソフトが全世界で開催しているもので、今回はSilverlight 3やExpression Studioなど機能や利便性が大幅に向上したツールのほか、クラウドコンピューティングなどの最新情報を紹介。本イベントはキーノートのほか合計9つのブレイクアウトセッションで構成され、Web業界の著名人が各ツールの活用テクニックなどを披露した。今回は、キーノートのほか3つのブレイクアウトセッションについて紹介していく。
（取材・文＝川俣綾加）


Silverlight＋PHP＋Windows Azureでつくる初めてのクラウドアプリケーション
クラウドOS「Windows Azure」の活用メリットについて紹介されたのが、マイクロソフト（株）プラットフォームス トラテジストの関田文雄氏とアシアル（株）の亀本大地氏によるブレイクアウトセッションだ。関田氏の「Windows Azureとは何か？」という解説から始まった。

Windows Azureは、Webアプリケーションを動作させるためのコンピューティング環境やストレージ環境を提供するもの。拡張性に優れたベースアプリケーションプラットフォーム「Windows Services Platform」を用いて、多彩なアプリケーションが開発できる。亀本氏は、開発にあたってPHPが使えることが大きな魅力であることを挙げた。多数のオープンソースアプリケーションが提供されているPHPを開発プラットフォームを統一すれば、管理の労力・コストの削減が実現できるという。

Expression Web 3と注目の“SuperPreview”
Expression Web 3の魅力的な機能を、「こんなことありませんか？」とWeb制作現場でよく見られる事例を交えつつ解説してくれたのは、アンカーテクノロジー（株）の神森勉氏だ。

Expression Web 3においてまず注目したいのは、“強力なCSS作成環境”である。使用されているスタイルのパターンが視覚的に表示されるので、他人が制作したCSSに手を加えなければならない場合に力強い味方となるはずだ。さらに、Webブラウザごとに発生するズレを、プレビューしながら修正できる「SuperPreview」も、注目される新機能のひとつ。ふたつの異なるWebブラウザを左右に並べて視覚的に確認でき、ピクセル数が異なる場合は赤字で表示されるなど、制作者がわざわざ数値を実測する必要がなくなった。よりスムーズな制作環境を実現するツールとなっているのが印象的であった。

「SilverlightのWindows 7ユーザーコミュニティサイト＋CGMブログパーツ」の開発秘話
Windows 7 β/RC版ユーザーに向けコミュニティサイト「I Run Windows 7.」が2009年7月3日に公開された。Silverlightを使って開発されたCGMブログパーツには、一体どんな工夫が凝らされているのだろうか。（株）バスキュールのWebディレクター・澤井宏和氏と和田教寧氏による、Web制作に携わる者なら参考にしておきたい話を紹介しよう。

「Windows 7の『雰囲気』を出すこと、意見を率直に発表できること、負荷を感じさせないようにすることが必須だった」と語る澤井氏。開発は使い心地について評価したチャートのデザインを考えることから始まった。七角形をモチーフに2Dのデザイン案を起こし、それを3D化。次はSilverlight上でチャートを表現し、3Dの回転アニメーションとして作成した。和田氏は「プロジェクトをひとつにまとめ、XAMLを軽量化した」と負荷を軽減させる秘訣を語った。XAMLは余計な文言を省き、手作業で整形しているとのこと。さまざまな問題が発生したが、そのたびに原因を見つけて解決し、ようやくリリースにこぎつけたと笑顔で語っていた。

イベントには多数のWebクリエイター参加し、キーノート、ブレイクアウトセッション、展示・交流会と密度の濃い内容となっていた。今後、主要になるSilverlightやクラウドコンピューティングなど注目の情報を、見逃さずに逐一チェックしていきたい。



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