「MicrosoftとYahoo!の提携──前編」
「MicrosoftとYahoo!の提携──前編」
2009年8月3日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
数度の破局を経てようやく実現した“婚約”
MicrosoftとYahoo!の提携がついに実現した。Microsoftは同社の最新検索テクノロジーであるBingをYahoo!に提供し、Yahoo!は自社の検索サービスを全面的にBingに切り替える。その見返りとして、Yahoo!は両者の広告販売の総代理店となる。
この提携は、いうまでもなくGoogleへ向けた両者の最後の対抗策であり、独占禁止法への抵触問題をクリアさえすれば、2010年中には実際にサービスを開始することになるだろう。
この提携は、10年間の継続条項がついており、実は将来の合併さえも視野に入れているかもしれないほど、濃密な関係性を示唆している。
Web検索におけるYahoo!との提携を報じるMicrosoftのWebページ
http://www.microsoft.com/Presspass/press/2009/jul09/07-29release.mspx
Googleとの戦争に打ち勝つための最後の手段
世界のインターネット業界に君臨するGoogleと競争して打ち勝つための方法は、実はきわめてシンプルだ。つまり、Googleよりもユーザーに愛される検索サービスを提供しさえすればよい。大事なことはGoogleの検索エンジンより優れた検索エンジンの提供ではなく、優れていると思わせる、もしくは使いやすいとはっきり認識されて、実際に使われだすということである。
実に簡単な方法であるが、これが非常に難しいことは言うまでもない。
Microsoftはこれまで、同社の主力製品であるOS(Windows)に対する挑戦者(ネットスケープやLinuxなど)を、圧倒的な市場シェアと、なりふり構わぬありとあらゆる方法で退けてきた。しかし、インターネット時代が本格的に訪れて以来、Googleには常に煮え湯を飲まされてきている。
その間、Googleは、
・「Google Apps」というMSオフィス対抗サービスをリリース(オフィススイート)
・「Chrome」というインターネットエクスプローラー対抗アプリをローンチ(ブラウザ)
・「Android」というWindows Mobile対抗OSをローンチ(モバイルOS)
・「Chrome OS」というWindows XP対抗OSを予告(ネットブックOS)
と、次から次とMicrosoft包囲網を完成すべく、さまざまな手を打ち続けているのである。
これらの戦略ひとつひとつはMicrosoftにとって非常に驚異的ではあるが、実のところ、たったひとつの基点、すなわち「検索サービス」においてMicrosoftがGoogleよりも大きなシェアをとれば、瞬時に逆転し得るものであるとMicrosoftは気づいている。。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。