「本格化するTwitterマーケティング──後編」 by. 小川 浩



「本格化するTwitterマーケティング──後編」
2009年9月21日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)


会員情報取得の有無

Twitterを企業が使ううえで、基本的に賛否が分かれそうなのは企業側がユーザーの個人情報をいっさい取得しないという点だろう。これまでのメールマガジンや会員制Webサイトによるサービスは、すべて消費者に会員登録をしてもらい、最低でも個人名やメールアドレスなどの個人情報を取得していた。なかには勤務先や年収までの登録をさせるところまであるほどだ。


コンテンツと対話の提供がTwitter

その点Twitterマーケティングでは、必要なのは良いコンテンツと対話の機会を提供することだけであり、ユーザーは、そのための代償としての個人情報を企業側に差し出す必要がない。だからユーザー側も気が楽なわけだし、企業と個人の間の関係性を樹立するうえでのハードルが著しく低い。

しかし、反面、マーケティングの専門家ほど、個人情報の分析をしたがるきらいがあって、個人情報を取得できないことをTwitterマーケティングの致命的欠陥としがちだ。

これらの認識の違いは各々の企業の担当者の捉え方によって、長所とも短所とも考えられるだろうが、どちらにしても、自分たちの目的に即した使い方をしていくべきだろう。


ジェイアイエヌのマス広告+Twitterキャンペーン

そしてついに、日本で初めてと言っていい本格的な事例として、マスメディア広告とTwitterマーケティングの連携のキャンペーンが、2009年9月から展開された。

これを仕掛けるのは、大証ヘラクレス上場の、眼鏡・ファッション雑貨等の専門に企画から販売までを一貫して行うSPA(製造小売業)である株式会社ジェイアイエヌ(@JINS_CO)だ。同社は現在、アイウェア事業に主軸を置き、「JINS(ジンズ)」というブランド展開をしているが、このJINSブランドの拡張を全国的に行うため、同社ではテレビ広告と交通広告、およびWebサイトを多角的に利用したキャンペーンを開始するのだが、この際Twitterによる情報公開を同時に行っていく。


株式会社ジェイアイエヌの展開するアイウェア事業「JINS(ジンズ)」のサイト
http://www.jins-jp.com/

このように、日本においてもTwitterマーケティングが本格化し始めている。ソーシャルメディアをどうマーケティングに生かしていくべきか、PR担当者とマーケティング担当者は手を携えて早く検討開始するべきだろう。。

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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



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