「本格化するTwitterマーケティング──前編」 by. 小川 浩



「本格化するTwitterマーケティング──前編」
2009年9月14日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)


セカンドライフブームとの違い

テレビ東京のニュース番組「WBS(ワールドビジネスサテライト)」でTwitterが取り上げられて以来、多くのメジャーなメディアがこぞってTwitterのビジネス活用に関する記事を掲載し始めた。

あまりに過熱が進むと、反作用的に批判的なトーンの報道も増えてくるが、特に多いのがセカンドライフとの比較的な内容だ。

2007年から2008年にかけて、3Dの仮想世界を楽しむサービスとしてセカンドライフが世界的なブーム(?)となり、多くの企業がセカンドライフ内にリアル店舗を模したバーチャル店舗を出店したり、ビルボードに広告を掲示するための予算を計上したことは記憶に新しいだろう。

そのほとんどが無駄に終わったために、Twitterを第二のセカンドライフではないかとする意見がネット上には散見される。


リアル世界に作用するTwitter

しかし、セカンドライフはWebではなく、専用ツールを使わなければ利用できない。しかも、ログインしていないときにはセカンドライフの中の自分のアバター(仮想世界での自分の分身。ゲーム内の自分のプレイヤーと同じ)は止まっているので、セカンドライフは現実世界と仮想世界の両方に自分を置くことができない。

これに対してTwitterはプラットフォームを選ばないうえに、仮想世界に入り込むのではなくリアルの生活で体験したことや考えたことをWebに置き換えるためのツールであるから、常に自分は現実世界にいる。

従って、Twitterマーケティングを行うということは、現実世界の消費者へのタッチを持つということだ。セカンドライフに懲りた企業ユーザーも、羹に懲りてなますを吹くようなことはせず、積極的に参入すべきだと考える。


デジタルガレージがカカクコムからTwitterへシフト

日本でデジタルガレージがTwitterに投資をしている関係で、デジタルガレージ、電通、サイバー・コミュニケーションズ、アサツーディ・ケイの合弁会社である株式会社CGMマーケティングが、Twitterマーケティングに関する説明資料を用意したうえで積極的な企業利用を誘致し始めている。


Twitterのマーケティング利用を実践する株式会社CGMマーケティングのサイト
http://www.cgmm.co.jp/

デジタルガレージの代表取締役社長の林郁氏は「これまでのカカクコムに代わって、Twitterをグループの成長戦略のプラットフォームに据える」としたうえで、Twitterとの連携で、広告や決済・物流、モバイルコンテンツなどの各事業の収益拡大のペースを加速すると言っている。さらに2012年6月期には売上高220億円、営業利益32億円を目指すという。

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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



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