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[Special Interview]キャラクターデザイン・すしお氏に聞くこれからのクリエイターに必要なこと

大好評の末、今年の3月に放送終了となったアニメ「キルラキル」。とにかく熱くて、はちゃめちゃなSFバトル学園ストーリーにハマった人も多いだろう。この作品でキャラクターデザイン・総作画監督を務めたのがすしお氏。ガイナックスでアニメーターとしてデビューした後、今石洋之さん達が設立したTRIGGERに移籍。「キルラキル」のキャラクターデザインを手掛けることになる。そんなすしおさんに、アニメーターとしてのスタンスや絵を描く道具としてのペンタブレットの必要性などについてお話しを伺った。

漠然と“絵”を描く仕事をしたいと思ってはいたけど、成り行きで入ったアニメ業界

同じクリエイティブな業界でも、グラフィックデザインとはまた違ったワークフローで進められるアニメーション制作業界。アニメーションのキーフレームともいえる決め絵を描く“原画マン”と原画およびタイムラインに記された動きの指示にしたがってアニメーションとなるフレームを描いていく“動画マン”といった独特な役職(役割)が存在するなど興味深い。そういった未知のお話やアニメ業界から見るクリエイター感などを、すしおさんの制作現場で直接お話を伺った。

瓦礫で埋もれた街並みを描くの好きだった少年がアニメーションの世界へ

─── 小さい頃からマンガやアニメの世界に憧れていたのでしょうか。

すしお いえ、そうでもないんです。普通にマンガやアニメが好きでしたけど、強く憧れていたということはありませんでした。周りの友達と同じようにマンガやアニメを楽しんでるという感じですね。ただ、小さい頃から絵を描くのは好きでした。

─── どんな絵を描いていたんでしょうか。

すしお 崩壊した建物とか瓦礫となった街並みなどを描くのが好きでした。というか、今でも好きです。大友克洋さんの「AKIRA」が大好きでした。今でもコミックスは大切に所有しています。あと「童夢」もすごく好きですね。

─── 高校卒業後、代々木アニメーション学院へと進まれていますよね。

すしお 大学進学を考えていたときに、姉から“絵が好きなら、こういうのもあるよ”とパンフレットを見せられて、そのパンフレットが代々木アニメーション学院のものだったんです。そしてそのパンフレットのアニメーター科のページに「これからはジャパニメーションだ!」と書いてあって「AKIRA」の絵が使用されてたんです。それで興味が湧いて進学を決めました。

ガイナックスで動画マンとしてアニメーターのスタートを切る

─── 卒業後、ガイナックスに入社されたきっかけはなんでしょうか。

すしお 当初、就職先としては他のスタジオを考えていたんですが、代々木アニメーション学院の担任の先生にガイナックスを薦められたのがキッカケです。最初、ガイナックスのことはあまり知らなかったんですが、「新世紀エヴァンゲリオン」を制作しているスタジオだって聞いて受けることにしました。

─── ガイナックスでは当初はどのような仕事を?

すしお 劇場版エヴァが最初の仕事で、動画を担当しました。原画マンが描いた絵の間の動きを埋めるのが動画マンの仕事なんですが、あまりにも膨大な枚数の絵を描かなくてはいけなかったので、仕事をこなしているうち、原画マンになりたい…という気持ちが大きくなっていきました。というのも、原画の方が楽そうな気がしてたんです。動画に対して原画マンは各カットの決めの絵を描くだけじゃん!って。でも、実際はまったく違って、決め絵としてのアングルなども考慮しなければいけないし、アニメーションとしてどのように動くのか、細かく計算して描かないといけなかった。当時はあまりにも考えが浅すぎたんです。

キルラキルは昭和アニメ風だけどデザインは今風のアニメーションに落とし込む

─── キャラクターデザインを担当された「キルラキル」は昭和アニメを彷彿させる個性的な作品ですよね。

すしお 「キルラキル」は、今石さんと中島さんの世界が全面的に出ている作品で、昭和アニメへのリスペクト感は満載だと思います。今石さんのチームでは、監督とキャラクターデザイナーだけでなく、デザインチームのみんなでデザインを詰めていくという感じで作業してました。もちろんシナリオがあって、それに基づいて僕がデザインを提案していくわけですが、簡単には決まらない。世界観とかキャラの位置づけとか議論を重ねて1キャラずつデザインを落とし込んでいきました。自分のデザインにダメ出しされることもあったんですけど、ダメ出しされるときって、絵を見せたときの空気感で分かるんですよ。だから「はい!すいませ〜ん。やり直しま〜す!」という感じに、すぐ修正に入りました。

─── 「キルラキル」のキャラクターデザイン作業にあたって気を付けていたことはなんでしょう。

すしお 昭和アニメをそのまま作ろうということではないので、デザインについては“今風 (昨今のアニメ作品を楽しんでいる視聴者にも刺さるデザイン) ”にしようと思ってました。でも、むやみに情報量は上げすぎず、必要最低限の情報量に抑えてデザインすることは心がけてましたね。

─── デザインに一番時間がかかったキャラクターは?

すしお やはり主人公の纏 流子です。とにかく時間がかかりました。初期提案の段階から髪の毛に赤いメッシュを入れたいと思っていたんですけど、メッシュを入れる位置を決めるだけで何週かかけたり。「鮮血」のデザインも流子と同じくらい時間かかりましたね。あのデザインに決まるまで何度も何度も描き直して、流子と同じく一年以上こねくり回してヘソ出しサスペンダーになったんです(笑)。やっぱ、主人公なんでとにかく時間かけて納得いくまでデザインさせてもらいました。

「Intuos Pro」とは

クリエイターの高度な表現力をサポートするプロフェッショナルペンタブレット「Intuos Pro」。2048レベル筆圧機能、触れれば描ける最少1gON荷重により、まるで紙の上に鉛筆で描くように、繊細なタッチを忠実に再現。全てのモデルがマルチタッチ対応で、ワイヤレスキットが標準付属。デスク上での設置自由度も高く、Small、Medium、Lagreの3サイズと、シルバーとブラックのクールなデザインのSpecial Editionをラインナップ。

■製品ラインアップ:
PTH-451/K1 PTH-651/K1
PTH-851/K1 PTH-651/S1

URL:https://tablet.wacom.co.jp/article/intuos-pro