拡散思考と収束思考を理解して取り入れる - デザインアイデアが続々わき出る3ステップ&トレーニング | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

拡散思考と収束思考を理解して取り入れる - デザインアイデアが続々わき出る3ステップ&トレーニング

2024.4.20 SAT

【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

WEBのネタに困らないクリエイターになろう!

デザインアイデアが続々わき出る3ステップ&トレーニング

STEP2 making
集めたネタを自分のモノにしよう!
デザインのネタからまったく新しいアイデアを生み出そう

拡散思考と収束思考を理解して取り入れる
インプットした情報からクリエイティブなアイデアを生み出す効果的な思考方法を身につけるため、まずは「拡散思考」と「収束思考」というふたつの思考プロセスの体系を理解することから始める。デザインをアイデア化するために欠かせない基本の考え方を知ろう。
文=枌谷 力((株)ベイジ)

アイデア発想の基本 拡散思考と収束思考とは

優れたアイデアを生み出すには、決して天才的なセンスが必要なわけではない。アイデア発想における脳内の思考プロセスの多くは体系化されている。それがアイデア発想法である。天才と呼ばれる人でもその思考プロセスを読み解いてみると、意識的・無意識的にアイデア発想法を実践しているというケースも少なくない。いわゆる普通の人であっても体得すれば、優れたアイデアを発案できるようになる。アイデア発想法がビジネスの現場で広く活用されているのは、だれでも実践できるという考えが根底にあるからである。

世の中には数多くのアイデア発想法が存在している。正式に学問として確立しているわけではないため、ジャンル分けもバリエーションもさまざまだが、大きく「拡散思考」と「収束思考」の2種類の発想法に分類できる。「拡散思考」とはインプット情報からアイデアを自由に広げるタイプの思考のこと。ここで大事なのは、アイデアの質ではなく量だ。時には前提条件や常識を無視した、自由な発想の飛躍が求められる。一方、「収束思考」とは拡散思考で生み出されたアイデアを分類・結合して、デザインなどに活用できるようにより具体的なアイデアへとまとめ上げていく思考のことだ。インプット情報からデザインのアイデアを導き出すには、この拡散思考と収束思考をうまく使い分けて発想していく必要がある【1】。

02-01
【1】アイデアを拡散思考で膨らませ、収束思考でまとめることでデザインにつながる


拡散思考における代表的な3つの方向性

拡散思考では、とにかく数多くのアイデアの発想と飛躍が求められる。アイデアを拡散させるやり方には、大きく3つの方向性がある。まずは「自由発想」といわれるものだ。代表的なものは「ブレインストーミング(以下、ブレスト)」が挙げられる。ブレストについては、P.50-51で詳述するのでそちらを参照してほしい。また、連想されることを追記していく「ブレインライティング」という手法もある【2】。

あらかじめ決められたテーマに従い、強制的にアイデアを発想させていく手法もある。「チェックリスト法」【3】や縦横のセルに異なる条件やキーワードを入れてクロスしたセルにアイデアを埋めていく「マトリックス法」もこれにあたる。

もうひとつが類比して発想する方法だ。「NM法」ではインプット情報と連想されたアイデアとの関連性を探り、そこからさらなるアイデアの飛躍を行う【4】。テーマを隠してブレストで出てきたアイデアをインプット情報に結びつけて発想を飛躍させる「ゴードン法」も同じく類比を利用した思考法だ。このような情報の類比は、思考の衝突を引き起こし、アイデアの飛躍や拡散を狙うことができる。

02-02
【2】オーガニック化粧品のWebサイトデザインをテーマにした「ブレインライティング」の展開例

02-03
【3】オーガニック化粧品のコンテンツをテーマにした「チェックリスト法」の展開例

02-04
【4】オーガニック化粧品のWebサイトデザインをテーマにした「NM法」での展開例


収束思考を取り入れたアイデア発想法

拡散思考ではとにかくアイデアの飛躍と拡散を求め、質より量でアイデアを発想する。しかし、拡散思考段階のアイデアはそのままデザインなどのアウトプットに落とし込むことが難しい。拡散思考で生み出されたアイデアをまとめ上げるのが収束思考だ。収束思考で特に有名なのは「KJ法」である。拡散思考で発案されたアイデアをグルーピングし、それぞれのグループごとのテーマや関係性などを議論し、コンセプトやシナリオをつくり上げ、アイデアとして定着させていく手法だ【5】。うまく行えば、アイデアに論理的な意味づけができ、構造化させることが可能だ。またアイデアを図式化し、相関関係をフローチャートのようにまとめる「PERT法」【6】や、時系列でアイデアを並べていく「ストーリー法」などもこの収束思考にあたる。

連想ネットワークをツリー上につなげていく「マインドマップ」も、収束思考に適したアイデア発想法だ。ただしマインドマップの場合、収束思考だけでなく、拡散思考も同時に行える。拡散思考で生み出されたアイデアをマインドマップ上に配置し、収束思考の考え方を取り入れて分類しつつ、そこからさらに連想を広げていくというような複合的な使い方が可能なのが、マインドマップの最大の特徴である。

02-05
【5】「KJ法」の進め方。グルーピングしたアイデアの共通性や関連性を見つけ出すのがポイント

02-06
【6】Webサイト訪問から購入までに必要なコンテンツのアイデアを「PERT法」でまとめた例


デザインアイデアの拡散・収束の実践例

では、実際に「オーガニック化粧品」というテーマで、Webサイトデザインのアイデアをどのように拡散、収束していくか例を挙げてみよう。まずは、インプット情報としてWebサイトで取り扱う商品やサービスの特性、ブランドイメージ、ターゲットといった情報をまとめる。ここではWebサイトデザインの基になるアイデアということで、ブランドイメージからのアイデア発想に限っている。しかし、実際にはあらゆるインプット情報がアイデアの基となり、デザインに限らずコンテンツの企画やマーケティングプランなどにつなげていける。インプット情報がそろったら、これを基にブレストなどを併用し、とにかくアイデアを自由に広げていく。アイデアがある程度広がった段階で、今度は広がったアイデアを収束させるのだが、ここではマインドマップを使った。さらに、アイデアをデザインに結びつけるために、最終的には「色」と「モチーフ」に帰結させるように、発想したアイデアを配置させてみた【7】。

なお、マインドマップはアイデアをツリー状にグルーピングしていくものだが、グルーピングの考え方にKJ法やPERT法、ストーリー法などの収束思考の発想法を取り入れてもよい。このツリー自体には同じようなアイデア、相いれないアイデアが混在しているが、ここから取捨選択し、具体的なデザインプランの方向性を決めていく。たとえば「緑や青のナチュラルカラーをベースにする」、「装飾要素に羽をあしらう」、「アナログタッチの温かみのあるテクスチャを背景に施す」といった具合だ。さらには、メインビジュアルに赤ちゃんを使う、Webサイトのテーマを宝石箱にして、カラフルさと3D的な表現を取り入れる、といった展開も可能だ。

このようにアイデアをうまく拡散し、まとめることができれば、デザインの幅も広がり、またクライアントへの説得力のあるコンセプチュアルでロジカルな提案につなげることができる。ぜひ、拡散思考と収束思考という思考方法を身につけておくようにしよう(参考:「日本創造学会」(css.jaist.ac.jp/jcs/)、日経文庫『発想法入門』星野匡)。

02-07
【7】「オーガニック化粧品」のWebサイトデザインのアイデアを「マインドマップ」にまとめてみた


[INDEX]
●STEP2 making 集めたネタを自分のモノにしよう!
>>>  拡散思考と収束思考を理解して取り入れる

●traning 豊かな発想力を磨くトレーニング
>>>  1 鳥の目と虫の目の両方の視点を養う
>>>  2 ロジカルシンキングで左脳をトレーニング
>>>  3 体験学習で右脳をエクササイズ


twitter facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
【サイトリニューアル!】新サイトはこちらMdNについて

この連載のすべての記事

アクセスランキング

8.30-9.5

MdN BOOKS|デザインの本

Pick upコンテンツ

現在