Webプロデューサー列伝 第22回 メディアの枠にとらわれない
新しいコミュニケーションを切り拓く
スパイスボックス
スパイスボックス クリエイティブディレクター 神谷憲司(カミヤ ケンジ)
博報堂グループのインタラクティブ・エージェンシーとして、2003年に設立されたスパイスボックス。ネット上でのコミュニケーションプランニングのブレーンとして、これまでに多くの実績を積み重ねており、カンヌ国際広告祭銅賞、東京インタラクティブ・アド・アワードゴールドなど、国内外の広告賞受賞歴も多く、つねに注目を集める存在だ。同社でクリエイティブディレクターをつとめる神谷憲司氏に、スパイスボックスに入社するまでの軌跡から手がけてきたプロジェクトなどについて、じっくりとお話を伺った。
神谷●2011年10月に、電気自動車(EV)「i-MiEV」を電源にしてねぶたに明かりをともす国内初のイベント「i-MiEVねぶたPROJECT」を、長崎県の五島市で行いました。このプロジェクトは「i-MiEV」のブランド認知を広げたいという目的があって、スタートしたものです。それに加えて、クライアントである三菱自動車さんがYoutubeのチャンネルを取得したという事情もあって、合わせて活用できないかということもありました。そこで今の時代における「i-MiEV」のブランドというのは何なのかということを再定義して企業CMを作ることを考えました。
このプロジェクトは8月上旬に相談があって8月末に企画が決定して、10月16日にイベントが行われました。ものすごく短い制作期間ではありましたけれど、今でないといけないプロジェクトだとも思ったんですね。非常時のライフラインについてみんなが考えているこの時期、さらに日本全国的にスマートグリッドの構想が広がっていく中でこそ、やる意味があるプロジェクトだと思っていました。
神谷●そうですね。そうとも言えますが、この仕事はi-MiEV、三菱自動車さんのブランディング施策であるので、電力の話に寄りすぎないようバランスを取るよう注意しました。そこで、電気自動車の時代になった時に「車がみんなに提供できる価値と喜び」が何なのかを考え直してみました。その時に考えたのが、「車はコミュニティの中でシェアされることで、車は移動手段からもっと身近な家族のような存在になるのではないか」という近未来像、仮説をたてました。だったら、家族といえるような人格を持たせようということで、“ドーリス”というキャラクターを登場させて、i-MiEVとドーリスを中心にねぶた祭の全体を構成していきました。
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