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デザイン・クリエイティブ目線で語るソーシャルアプリ制作の裏側 第1回「大召喚!!マジゲート」(2/2)

2024.4.29 MON

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デザイン・クリエイティブ目線で語る

ソーシャルアプリ制作の裏側

第1回 株式会社gloops「大召喚!!マジゲート」(2/2)


 Interview 2/2 

ソーシャルゲームのデザインはスピードが命
全体を見渡せるプロデューサー能力も必要


岸田 拓氏
「ソーシャルアプリ業界では、さまざまなスキルが生きるし、さまざまなスキルを習得する必要があります」(岸田氏)
グループスでは、デザインを外部委託せずに内製で行っており、マジゲートも例外ではなく100%内製で行っているという。外部委託しない理由を岸田氏は「スピード」と答える。「アイデアが企画、開発、デザインからどんどん出てくるので、それをすぐに形にするには内製でないと対応できません。外部委託して仕上がりを待ち、工数を管理しているうちに動けなくなってしまっては、せっかくのアイデアがむだになってしまいます。目的を共有するには、社内でデザインしなければ無理ですね」

マジゲートでは、デザイン作業の速度を重要視して、デザインをブロックに分け、あとで組み合わせられるように設計していったと岸田氏は説明する。「バナーはこの人、UI設計はこの人、カードのデザインはこの人というように、部材をカテゴリ分けして、デザインを合わせながらやっていきました。基本的に、最初にベースとなる装飾を山ほどつくって、それを共有してアレンジしてもらうことで統一感を失わないようにしています」

公募でプロジェクトのメンバーを集めるというグループスでは、どのようなスキルの人にデザインを任せているのだろうか。「デザイナーはプロのデザインのスキルやセンスがあって当然で、必須な最低条件となります。それに加えて、ソーシャルアプリのデザイナーはデザイン全体のコンテンツの総責任者とならなければなりません。個々のデザインだけでなく、デザイン全体がユーザーに与える印象まで考える必要があり、デザインプロデュースを行うプロデューサー的な要素が必要となります」と話す金子氏。岸田氏も、「タスクが来てすぐにデザインを起こさなければならない場合もあるので、瞬間的にアイデアを出せる力も必要ですね」と続ける。


多業種のデザイナーが集まり
総合的なスキルを実務で身につけている


ソーシャルゲームは現在盛り上がっている分野であるため、ソーシャルメディアをやってきた人材が見つかることは少ないという。企業規模の拡大とともに人員を増やしてきたグループスでは、どのような背景を持ったデザイナーが集まってきているのだろうか。「Webデザイナー、DTPデザイナー、珍しい人ではアパレル関係者など垣根なく採用し、さまざまな業界から人が入ってきています。ソーシャルアプリ業界では、さまざまなスキルが生きるし、さまざまなスキルを習得する必要があると思いますね。たとえば、Flashを使った演出を行うには、Flash自体はプロの人が書くとしても、動的演出をどうするかを決めなければなりません。多くの人がかかわる共同作業なので、コミュニケーション能力も必要となります。最初からそれをすべてを行える人はいないので、入社してから実務で覚えていくというのが現状です」と岸田氏は答える。

「全体的なWebデザインを行うときには、基本的にはコードが読めて、CSSアニメーションがどうやってできるかを理解していればよいと思います。実際の実装はエンジニアが行うのでコードを書ける必要はありません。部分的なボタンやアニメーションのパーツをつくって、サーバに実装するときには、演出の動きやCSSの構造をそのまま使えるので、それらを受け渡せる知識をもっているといいですね」(岸田氏)


マジゲートのデザイン例 マジゲートのデザイン例 マジゲートのデザイン例 マジゲートのデザイン例 マジゲートのデザイン例
デザインをブロックに分け、ベースとなる装飾をアレンジすることで統一感を保っているマジゲートのデザイン例(クリックで拡大)

金子氏は、「ユーザーの反応が非常に多く、中には非常にシビアな意見や批判も含まれています。それらの批判や意見を自分の糧として楽しめる人がソーシャルアプリのデザイナーに向いているのではないでしょうか」と話す。一方で、このユーザーの声を非常に多く聞けることが、この業界にいる醍醐味で、楽しみでもあるとも話してくれた。「クレームも激励も含めて、自分たちが創り上げたゲームをこれだけの人がやっているんだと実感できるので、ユーザーの声を聞けるだけでうれしいですね。厳しいクレームに心が折れそうになることもありますが、ユーザーは興味のないものに苦情をいわないとポジティブに受け止め、ありがたいと思って改善に努めています」

2012年6月8日には、株式会社タカラトミーから1パックに3枚入ったリアルコレクションカード「大召喚!!マジゲート カードコレクション」が発売された。ゲーム内では入手できないオリジナルカードを26種収録したこのリアルコレクションカードは、シリアルコードを入力することでマジゲート内でモンスターを召喚できるなど、ゲームとリアルが連動したソーシャルゲーム業界では珍しい取り組みだ。


大召喚!!マジゲート カードコレクション
大召喚!!マジゲート カードコレクション(クリックで拡大)


「ソーシャルアプリ業界では、さまざまなスキルが生きるし、さまざまなスキルを習得する必要があります」(金子氏)
「批判や意見を自分の糧として楽しめる人がソーシャルアプリのデザイナーに向いているのではないでしょうか」(金子氏)
マジゲートの今後について「よりみんなで集まることが楽しくなるような改善を行っていくので、ゲームを楽しんでほしいですね」と話す金子氏。岸田氏も、「イラストレーターが頑張って魅力的なイラストを増やしています。デザインももっと使いやすくなるようにしていきたいと思います」と続ける。

日本国内はもちろん、今後は、グローバル展開も視野に入れ、米国子会社やベトナム子会社も設立しているグループス。今後、どのようなソーシャルゲームを開発して提供してくれるのか、目が離せない。

(取材・文・撮影:野本幹彦)


株式会社gloops

2005年8月に設立されたグループスは、mobageやmixi、スマートフォンアプリでソーシャルゲームを提供するソーシャルアプリケーションプロバイダー(SAP)。「大召喚!!マジゲート」をはじめ、「大熱狂!!プロ野球カード」「大連携!!オーディンバトル」などの多くのファンを持つソーシャルゲームをリリースしている。2011年11月と12月に米国子会社やベトナム子会社を設立。「グローバルにコミュニケーションの輪を拡げるサービスを提供する」というメッセージをグループスという社名に表し、今、急速に成長を遂げている会社として注目されている。
URL http://gloops.com/



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