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デザイン・クリエイティブ目線で語るソーシャルアプリ制作の裏側 第4回「青春姫」(2/2)

2026.4.22 WED

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デザイン・クリエイティブ目線で語る

ソーシャルアプリ制作の裏側

第4回 株式会社gumi「青春姫」(2/2)


 Interview 2/2 

細部まで線入れや塗りに注意し
かわいさや親密度を表現


今泉氏が林蔵氏をgumiに入るよう誘ったのは、イラストレーターとしての実力に加え、イラスト専門の部署をつくることも視野に入れてのことだった。最初にヒットした「任侠道」では、イラストレーターに付きっきりでコンセプトを外さないようにすべてを今泉氏がチェックしていた。しかし、タイトルが増えるとすべてをチェックすることができなくなってきたため、青春姫からはイラスト専門の部署を立てて、アートディレクターを中に入れた体制がとられている。

その中で林蔵氏は、分業で各キャラクターのイラストを手がけ、今泉氏によれば「だんだんプロデューサー的な役割もこなしていくようになってきた」という。「中に入って、どのような人たちが働いていて、どのようにゲームがリリースされて運営されていくのかをメンバーのひとりとして見ることで、刺激になるし、自分自身の勉強にもなりますね。フリーのときは、1枚のイラストを自分ひとりで仕上げていました。gumiに入社してからは、分業で複数のイラストを同時に描きながら、周りのケアもしつつクオリティを上げていくという作業が求められるため、日々勉強の繰り返しですね。ほかのイラストレーターと並んで仕事するので、自分の知らないツールの使い方があったりするのも刺激になります」(林蔵氏)

「光の加減を工夫したり、自然な形で距離感がわかるようなイラストになるように心がけています」(林蔵氏)
「光の加減を工夫したり、自然な形で距離感がわかるようなイラストになるように心がけています」(林蔵氏)
キャラクターづくりについてのこだわりを聞くと、林蔵氏は次のように答えてくれた。「青春姫では、先生との新密度でカードのランクが3段階に変わるようになっています。朝、夕方、先生にしか見せない表情の3つの時間の経過でストーリーが見えるようにしなければならないのですが、光の加減を工夫したり、自然な形で距離感がわかるように気をつけています。現代物でファンタジーではないので、突拍子もないものではなく、現実感のあるようにしていますね。今までは絵だけを描いてきたけれど、カードの世界観をどうやって成立させるかを勉強しながら考えるようになりました」

ゲームで親密度が上がるとメールの内容も変わってくる
ゲームで親密度が上がるとメールの内容も変わってくる(クリックで拡大)
また、ノーマルとレアの差も明確になるように工夫していることも林蔵氏は明かしてくれた。「レアリティの差は、アートディレクターと話し合いながら、シチュエーションの差や塗りのテイストでレアカードやノーマルカードを決めています。高レアリティのものは、細心の注意でより細かな部分までこだわって、かわいくなるようにしています。ツールはSAIを使っていて、線入れに強く、自分にとって理想的な水彩筆を使えて直感的に使えて、肌の感じなどを再現できるのでPhotoshopとSAIを用途によって使いわけています」

一方、イラスト以外のユーザーインターフェイスに対しても、スマートフォンにユーザーが移っている中で独自の考えを今泉氏はもっているようだ。「フィーチャーフォン版のソーシャルゲームのよいところは、ノールックでも操作して、いつでもどこでも遊べるところです。スマートフォンでは、画面を見ずに操作することは難しいので、それをどうやって解決していくかを意識して、課題にしています。また、これまでは、フィーチャーフォン版をスマートフォン版に変えるという発想が多かったと思いますが、今後は逆にしなければと感じています。容量の小さいものを大きくするのではなく、リッチで最大限なものをどうやって削ってフィーチャーフォンでも実現できるかという考え方で開発するようにしています」


ゲームのシナリオに合わせて3段階で親密度と距離感が変わっていくようにイラストが工夫されている ゲームのシナリオに合わせて3段階で親密度と距離感が変わっていくようにイラストが工夫されている ゲームのシナリオに合わせて3段階で親密度と距離感が変わっていくようにイラストが工夫されている
ゲームのシナリオに合わせて3段階で親密度と距離感が変わっていくようにイラストが工夫されている(クリックで拡大)


過去に何をやったかではなく
これから何をやりたいかが重要


急速に成長しているgumiは現在、月に20~30人を採用し、2012年4月には韓国とシンガポールに海外拠点を展開している。会社の雰囲気はどうなのか、と今泉氏にたずねると、「社員同士がとても仲のよい会社だと思いますよ。自分は役員なので、そんなに仲よくするより、もっと仕事しろと思っちゃいますけど」と笑う。また、林蔵氏は「まだ入ってきたばかりですが、和気藹々とした感じだなと最初に思ったことはよく憶えていますね。若い人が多い会社ですし」と話し、「仕事に関しては、分業スタイルもとりつつ、技術の共有も進めていこうとしていますので、技術のスキルアップは確実にできると思います。周りに高い技術をもった仲間がいるので、イラストを描くことやクリエイティブなものをつくりたい人は自然とテンションが上がると思いますね」と自身の経験を交えながら話してくれた。

また、これまでFlashで制作していて活躍の場を失っている人に向けて、今泉氏は次のようなメッセージを送っている。「Flashは言語のひとつでしかなく、演出や間、カット割りといったもののほうが大事なはずです。演出をわかっていて、容量に気を使える人なら、コンバーターなどもあるのでHTML 5やどんな言語でもやっていけますよね。FlashやHTML 5に詳しい人が必要なのではなく、視覚的になにを伝えてどういった印象にしたいかを捉えられて具現化できる人がソーシャルゲーム業界に必要だと思っています」

「ソーシャルゲーム業界は潤っていると思われているせいなのか、どこがいちばんお金を出してくれるのか、品定めするような人もいますね」と報酬の高さだけで転職を行う人に苦言を呈する今泉氏。「gumiという会社に可能性を感じて、そこでがんばろうと考えてくれる人に魅力を感じます。過去になにをやったかは関係なく、いまなにをやりたいかが重要。この会社はまだまだ足りないところが多いので、活躍の場は無数にあります。オリジナルのものづくりを大切にしている我々の気概を感じてくれる人が増えてくれるといいですね」

最後に、今後のゲーム展開などを今泉氏にうかがった。

「FlashやHTML 5に詳しい人が必要なのではなく、視覚的に何を伝えてどういった印象にしたいかを捉えられて具現化できる人がソーシャルゲーム業界に必要だと思っています」(今泉氏)
「FlashやHTML 5に詳しい人が必要なのではなく、視覚的に何を伝えてどういった印象にしたいかを捉えられて具現化できる人がソーシャルゲーム業界に必要だと思っています」(今泉氏)


「青春姫は、ひたすら青春を感じるものにしたいと考えていて、学校の行事や季節に合わせたイベントをやっていきたいですね。道シリーズも、現在「任侠道 覚醒」のリリースを準備しています。また、2012年中にオリジナルと共同開発も含めて、10タイトル程度のリリースが予定されています。姫シリーズも、来年新たにリリースしたいと考えていますし、ローカライズしなくても世界で通用するようなタイトルをつくれるようになりたいと考えています」

「共同開発のゲームだけでなく、オリジナルゲームにこだわった制作を行っているgumiが次に出してくるのは、どのようなこだわりと楽しみが詰まっているのだろうか。海外展開も見据えた新たなゲームの登場が待ち遠しい。

(取材・文・撮影:野本幹彦)



株式会社gumi

2007年に携帯電話を中心としたインターネットコンテンツの提供を目的として設立されたgumiは、2009年からソーシャルアプリやゲームの開発を始め、GREEを中心に人気タイトルを提供している。2011年9月に福岡オフィスを開設したほか、2012年4月に韓国とシンガポールに相次いで海外拠点を開設。 「任侠道」が「GREE Platform 2011年上半期優秀アプリ表彰」でRPG最優秀賞を受賞するなどヒットタイトルの開発・運用実績が高いことでも知られている。
URL http://gu3.co.jp/



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