BRUSH-STROKE 松本零士×MdN Design Interactiveインタビュー 第2話 | デザインってオモシロイ -MdN Design Interactive-

BRUSH-STROKE 松本零士×MdN Design Interactiveインタビュー 第2話

2024.4.21 SUN

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BRUSH STROKE

ワコム初のWebマガジン「BRUSH-STROKE」が創刊された。そのコンセプトは「その先の自分へ。」。そこで特別企画として松本零士氏にインタビューを敢行。描き始めたとき、表現者の目には何が見えているのか? 描くことを通して、作品を創造する葛藤や苦悩を伺った。



第2話 自分の両目で“見る”ことが何よりも大切


―戦後、海外の文化がどっと日本に入ってきた当時の様子を、松本先生は九州の小倉で肌で実感されたわけですが、「文化の氾濫」という意味では、現在のインターネットの普及にも似た側面があります。現代では何か調べようと思えば、すぐにネットで調べることができます。逆にそれが若きクリエイター予備軍にとっては、弊害になっている部分もあるんじゃないかとも言われています。

松本零士氏松本●インターネットで見てわかったような気になっても何もならない。部屋にじっと閉じこもって本をいくら読んでいても、それはあくまでも参考資料の一部分でしかないんですよ。自分の体験が物を言うわけです。だって転んだ痛さは実際に転んでみないとわからないでしょ? 転んで体験したら、それを表現できる。腹痛を起こしたら、腹痛の場面が描ける。体験があるから、みんな描けるわけですよね。だから、ガキの頃からの全部の体験というのが大いにものを言うから、自分の心の中に取り込む体験をなるべく多くしておくことが大事なんです。……私は世界中を自分の目で見てきました。スフィンクス、エンパイアステートビル、キリマンジャロ、マチュピチュ、アフリカ、ロシアのサンクトペテルブルクの冬空……サンクトペテルブルクからモスクワまで列車で戻ってくる間じゅう、乗組員と一緒に酒飲んだなぁ(笑)。そういう体験をするとね、自分の目で見てるからスケール感がわかるんですよ。絵を描く場合に平面の参考資料は必要だけれど、それだけではリアルなものは描けない。私は絵を見れば、その作家が裏側も知って描いているかどうかわかるんです。平面の写真資料と、自分の両目で見た実景は違います。自分とのスケール感があるでしょ? 見る角度を変えて、いろいろ立体的に見ていけば自由に表現できるわけです。だから、自分の体験が必要なんですよ。


―絵を描く人にとっては、自分の目で本物を見ることは「スケール感がわかる」という意味でも大事なことなんですね。

松本●私はね、あんなに宇宙をいっぱい描いて、地球もいっぱい描いてるけど、現実には地球を見たことがないんですよね。地球を実際に見ることができたら、もっと絵の印象が変わると思う。だから誰か打ち上げてくれんかなって……船酔いもしない人間なんで、別にいきなり打ち上げられたって屁とも思わんと思ってるんですけどね。


―「描く」ことについて、詳しくお伺いしたいのですが……

手描きとCGを組み合わせた実例
手描きとCGを組み合わせた実例
松本●紙に描くのとデジタルで描くのと両方やっています。紙に描く場合は昔と同じですよね。ペンと絵筆と絵の具と、紙も同じ。デジタルの方はペンタブレットを使って、手で描くものと組み合わせたりしています。基本的に絵というものは、人間が手で描くもの。デジタルであろうと何であろうと、自分の目で見ながら自分の手で描くのがやっぱり絵なんです。第三者に任せると、それは自分の絵ではない。情感、心が違いますからね。だから自分でやらなきゃいけない。体験と同じです。今は昔からの絵の道具とコンピュータが同居しているから……もう私の作業部屋はコードだらけ。それに水、筆洗があり、絵筆があり、絵の具があり……ごちゃ混ぜですよ。


[記事リンク]
>>> 第1話 創作には、能力を培う時間が必要です
>>> 第2話 自分の両目で“見る”ことが何よりも大切
>>> 第3話 平面から立体に至るまで、現代は最大の変遷期
>>> 第4話 人間みな自由。 自分の生涯は自分が作る


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