iPad 2に見るアップルのタブレット戦略
iPad 2に見るアップルのタブレット戦略
2011年3月7日TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
米Apple社が初代iPadを発表して以来、世界のコンピューティング事情は大きく変わり、多くのPCメーカーはタブレットデバイスの自社開発を余儀なくされた。そのほとんどはOSを米Google社のAndroidに頼らざるを得ず、米Microsoft社のプレゼンスの著しい低下を招いている。
2010年に販売されたタブレットデバイスは総計1570万台という。そのうちiPadは1330万台。すなわち85%近いシェアを誇っている。この数字をデスクトップPCやネットブックを含むノートPCを含むPC販売シェアの計算に加えると、米Apple社は米Hewlett-Packard社(HP)、米DELL社に続く、世界第三位のPCメーカーになる。
こうした好成績をさらに維持していくため、米Apple社は米国時間3月2日(日本時間3月3日)、初代iPadの後継機種である「iPad 2」を発表した。消費電力を抑えながらも2倍近く高速化したCPUを積み、カメラなどの追加機能を搭載しながらも旧型に比べて33%も薄くなっている。カメラの搭載によってビデオ電話システムのFaceTimeも利用可能になった。本体カラーもブラックモデルに加えてホワイトモデルのリリースも約束されており、今後もタブレット市場を力強く牽引していくデバイスになることは間違いがない。
日本では、韓Samsung Electronics社の「GALAXY Tab」などに見られるように、7インチのディスプレイを採用したタブレットが市場に出回り始めているが、日本のキャリアはそれらをスマートフォンの一つであると定義づけている。事実、GALAXY Tabは通話機能を備えている。
しかし、世界市場でみれば、タブレット型デバイスはPCの一種、もしくはポストPCのカテゴリーで考えていくべき筐体である。マーケティングの要諦のひとつは正しいセグメンテーションでありカテゴライズだ。iPad 2は2011年を通じて他社のネットブックや家庭用の低価格PCの市場を食い荒らしていくことになる。さらにいえば、やがてiTunesがクラウド化した暁にはPCもしくはMacとの同期を前提としないiPadが、より大きなシェアを獲得するだろう。
iPad 2
【お知らせ】「MdN Design Interactive」と「web creators」の公式ファンページがfacebookにできました。MdN Design Interactiveの更新情報や1/29に発売されたweb creators特別号の最新情報、Webやデザインに関するトピックをお伝えしています。ぜひチェックしてみてください。
■著者の最近の記事
28%の会社がFacebookページをもっている事実
Twitterのマネタイズ戦略の迷走
「Facebookページ」に変わったFacebookファンページの利用方法の変化
mixiがFacebookに対抗するために必要なたったひとつのこと
Facebookとソーシャルメディアマーケティングの歴史的大成功例との関係
Facebook初代社長ショーン・パーカーの事実
Facebookがmixiを追い抜くための“秘策”
[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
twitter:http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
facebook:http://www.facebook.com/ogawakazuhiro