PCからモバイルインターネットのパワーシフトを検証する(中編)
PCからモバイルインターネットのパワーシフトを検証する(中編)
2012年11月26日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
※本記事は「PCからモバイルインターネットのパワーシフトを検証する(前編)」のつづきになります。
最近筆者がスタートしたソーシャルネットワークサービスは、比較的ITリテラシーが高くない、ネット業界の住人とは異なる一般的な消費者層のユーザーを対象としている。したがって、そこで得られる統計はおおよそ世間一般の平均値に近いものだと思うのだが、フィーチャーフォンでは利用できないにも関わらず、60%以上のユーザーがモバイル経由で利用している。
内訳は30%がAndroid、20%がiOS、10%強がその他という感じだ。10%強も多種多様なマイノリティのOSがあるのは、海外からのアクセスが多いためだと思う。また、ログインできずに一回訪れただけのトラフィックもカウントするので、実質のモバイル経由の利用者は、ほぼAndroidとiOSだけとみていい。さらにAndroidの内訳はバージョン2.2と2.3が圧倒的で、4.0以上の新verでのアクセスはほんの数パーセント。iOSではiOS6がすでに半数近い。なお、残念ながらタブレットとスマートフォンの区別は不明だが、前編で述べたように市場調査会社はタブレットをノートブックの一部としてPC出荷台数に入れているが、OSの同一性を見てもアーキテクチャーを見てもタブレットはPCではない。
このように、今後インターネットサービスにおいて、何をおいてもモバイル(4インチから10インチ、特に4~7インチ)での最適表示を考えて設計しなければならないのは明らかだ。10インチクラスのiPadはPCと同じ表示と考えてもよいが、7インチであれば、結局は4インチのiPhoneに近い使い勝手を考慮しなければならないだろう。ゲームであれば話は別だが、少なくとも情報を提供するタイプのサービスであれば、ネイティブアプリとWebアプリとでUI上の差はない。
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
※本記事は「PCからモバイルインターネットのパワーシフトを検証する(前編)」のつづきになります。
最近筆者がスタートしたソーシャルネットワークサービスは、比較的ITリテラシーが高くない、ネット業界の住人とは異なる一般的な消費者層のユーザーを対象としている。したがって、そこで得られる統計はおおよそ世間一般の平均値に近いものだと思うのだが、フィーチャーフォンでは利用できないにも関わらず、60%以上のユーザーがモバイル経由で利用している。
内訳は30%がAndroid、20%がiOS、10%強がその他という感じだ。10%強も多種多様なマイノリティのOSがあるのは、海外からのアクセスが多いためだと思う。また、ログインできずに一回訪れただけのトラフィックもカウントするので、実質のモバイル経由の利用者は、ほぼAndroidとiOSだけとみていい。さらにAndroidの内訳はバージョン2.2と2.3が圧倒的で、4.0以上の新verでのアクセスはほんの数パーセント。iOSではiOS6がすでに半数近い。なお、残念ながらタブレットとスマートフォンの区別は不明だが、前編で述べたように市場調査会社はタブレットをノートブックの一部としてPC出荷台数に入れているが、OSの同一性を見てもアーキテクチャーを見てもタブレットはPCではない。
このように、今後インターネットサービスにおいて、何をおいてもモバイル(4インチから10インチ、特に4~7インチ)での最適表示を考えて設計しなければならないのは明らかだ。10インチクラスのiPadはPCと同じ表示と考えてもよいが、7インチであれば、結局は4インチのiPhoneに近い使い勝手を考慮しなければならないだろう。ゲームであれば話は別だが、少なくとも情報を提供するタイプのサービスであれば、ネイティブアプリとWebアプリとでUI上の差はない。
スマートフォンもタブレットも、原則は縦長である。タブレットであれば入力時に横向きで利用することもあろうが、スマートフォンではほぼないし、閲覧は基本的に縦向きで使うはずだ。つまり、横幅がひどく狭くて縦が長い、という画面に向けてWebサイト設計しなければならない。となると、横一列か横二列のどちらかで、コンテンツを垂直に流していくという構造にならざるを得ない。
FacebookやTwitter、Google+などの代表的なソーシャルメディアは横一列だが、写真共有サイトのPinterestは横二列だ。スマートフォンでは指先でタッチしてクリックすることになるので、クリックポイントをなるべく大きくすることで誤動作を防ごうとする。だからWindows 8が採用したようなブロック状、つまり四角いデザインのクリックポイントが主流になる。Mac OS Xの登場時にAquaと呼ばれるUI(ジニーエフェクトや半透明のアイコンなど)が話題なったが、現在のモバイルサイトのUIでは、ほとんど動きは同じでAquaのジニーエフェクトのような微妙な動きの違いでしか差異を強調できなくなっている。
逆に言えば、それらの小さな違いをうまくデザインすることが、使い勝手を左右する要になっているのだ。「神は細部に宿る」というが、モバイルWebデザインでは情報を縦に流しながら軽く読み、画像による視線のキャプチャによってコンテンツを開かせるという基本的なUIに、どれだけの細かな工夫を加えられるかが腕の見せどころになるのである。
FacebookやTwitter、Google+などの代表的なソーシャルメディアは横一列だが、写真共有サイトのPinterestは横二列だ。スマートフォンでは指先でタッチしてクリックすることになるので、クリックポイントをなるべく大きくすることで誤動作を防ごうとする。だからWindows 8が採用したようなブロック状、つまり四角いデザインのクリックポイントが主流になる。Mac OS Xの登場時にAquaと呼ばれるUI(ジニーエフェクトや半透明のアイコンなど)が話題なったが、現在のモバイルサイトのUIでは、ほとんど動きは同じでAquaのジニーエフェクトのような微妙な動きの違いでしか差異を強調できなくなっている。
逆に言えば、それらの小さな違いをうまくデザインすることが、使い勝手を左右する要になっているのだ。「神は細部に宿る」というが、モバイルWebデザインでは情報を縦に流しながら軽く読み、画像による視線のキャプチャによってコンテンツを開かせるという基本的なUIに、どれだけの細かな工夫を加えられるかが腕の見せどころになるのである。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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