その瞬間を切り取ろう、瞬間写真共有サービス「Snapchat」
その瞬間を切り取ろう、瞬間写真共有サービス「Snapchat」
ポストFacebook―新興SNS達の挑戦(中編)
2013年05月07日TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
先日、あるソーシャルサービス系の上場企業の社長と会食をしていたおり、「極論を言うと、ビジネスモデル(収益モデル)なんてどうだっていい。問題はトラフィック。トラフィックさえあれば、ビジネスモデルは後付けでいいんです」とのコメントがあった。
100%同感だ。
インターネットのトラフィックを発生させる手法や仕組みを、僕はトラフィックエンジンと呼んでいる。発生させたトラフィックを換金する仕組みはマネタイズエンジンという。どんなトラフィックエンジンをつくるかは千差万別であるが、マネタイズエンジンは広告やアフィリエイト、EC、デジタルコンテンツ課金など、数種類しかない。つまりマネタイズエンジンは、お金を払う側が慣れて安心できる仕組みであればそれに越したことがない。陳腐でいいのである。
反対にいえば、トラフィックエンジンは陳腐であってはならない。誰よりもクールでなくては、成長するチャンスが与えられない。
今回紹介するSnapchatは、写真やビデオを友達に送ることができるメッセージングサービスだ。いまのところ、彼らには明確なビジネスモデルはないように見えるが、トラフィックエンジンは明らかなフォーカスがある。受信者が写真や動画などのコンテンツを確認できるのは、なんと最大10秒間だけなのだ。
設定した時間を過ぎると、コンテンツは消えてしまう。それでなんの役に立つの? 写真は保存したくなるんじゃない? とオトナなら思うが、一瞬ならば見せてもいいが取っておかれたらいやだなと思うようなおもしろい表情や、笑える無様な写真を友達に見せあう、というニーズは若者にはある。あるいはカップルならではの写真を送るという愉しみもあるだろう。
Facebookに画像をアップすればアーカイブされてしまうし、思いもしないところで見知らぬ誰かに見られてしまうリスクがあるから、そういう写真はアップしない(FacebookのモバイルアプリPokeは、このSnapchatをパクったものといわれている)。
つまりSnapchatとは、自分が悪ふざけをしても良いと思える親しい間柄の人間とだけつながっているソーシャルネットワークであり、若者達だけが楽しむ場であるといえる。
また、たとえ恋人同士や友人同士でも、いつ仲違いしてしまうとも限らないから、ほかの人には見せてほしくないような秘密の写真を送ったことを公開しないとも限らない。だから、見せるけど保存はしてほしくないというニーズは十分に存在する。
そもそも“写真とは保存するもの”であり、保存といえばアルバム、という固定観念から、従前の写真共有系サービスはPicasaにしてもFlickrにしても画像を溜め込んでいくという構造で設計されていた。それが、Facebookが画像をストリームに流すことで共有していくほうがシェアされるし、トラフィックを生み出すことを証明し、その後Pinterestなどのフォトストリームサービスへの進化の道筋をつくった。
しかし、FacebookにしてもPinterestにしても、基本的には良いコンテンツは広く公開するものだという概念にある。Snapchatは密やかな愉しみをシェアするものだ。そこが違う。
Snapchatはモバイルとソーシャル、ビジュアルとソーシャルというキーワードと、若者ならではの刹那的な愉しみをサポートするというニーズにフォーカスしている。彼らの亜流として、Twitterに買収されたVineのような短い動画の時間限定型メッセージングサービスがあるが、メガSNSではできない、ニーズの発見はこれからも続き、新たな小規模な挑戦者がFacebookやGoogleの間隙を突こうとするだろう。それはあたかも、巨大な恐竜の足下を駆け抜ける小型の哺乳類達の勃興のようである。
Facebookに画像をアップすればアーカイブされてしまうし、思いもしないところで見知らぬ誰かに見られてしまうリスクがあるから、そういう写真はアップしない(FacebookのモバイルアプリPokeは、このSnapchatをパクったものといわれている)。
つまりSnapchatとは、自分が悪ふざけをしても良いと思える親しい間柄の人間とだけつながっているソーシャルネットワークであり、若者達だけが楽しむ場であるといえる。
また、たとえ恋人同士や友人同士でも、いつ仲違いしてしまうとも限らないから、ほかの人には見せてほしくないような秘密の写真を送ったことを公開しないとも限らない。だから、見せるけど保存はしてほしくないというニーズは十分に存在する。
そもそも“写真とは保存するもの”であり、保存といえばアルバム、という固定観念から、従前の写真共有系サービスはPicasaにしてもFlickrにしても画像を溜め込んでいくという構造で設計されていた。それが、Facebookが画像をストリームに流すことで共有していくほうがシェアされるし、トラフィックを生み出すことを証明し、その後Pinterestなどのフォトストリームサービスへの進化の道筋をつくった。
しかし、FacebookにしてもPinterestにしても、基本的には良いコンテンツは広く公開するものだという概念にある。Snapchatは密やかな愉しみをシェアするものだ。そこが違う。
Snapchatはモバイルとソーシャル、ビジュアルとソーシャルというキーワードと、若者ならではの刹那的な愉しみをサポートするというニーズにフォーカスしている。彼らの亜流として、Twitterに買収されたVineのような短い動画の時間限定型メッセージングサービスがあるが、メガSNSではできない、ニーズの発見はこれからも続き、新たな小規模な挑戦者がFacebookやGoogleの間隙を突こうとするだろう。それはあたかも、巨大な恐竜の足下を駆け抜ける小型の哺乳類達の勃興のようである。
【お知らせ】MdN Design Interactiveのコラムも読める無料iPhoneアプリ「MdN News Reader」を公開しました、ぜひご利用ください。
MdN News Reader
URL:http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/17571/
■著者の最近の記事
ビジネスモデルをもつTwiter、「Pheed」に注目せよ
ソーシャルストリーム再考察(2)
ソーシャルストリーム再考察(1)
若者離れに悩むFacebookの新しい戦略―モバイルOSのスキン「Facebook Home」
神仏習合――AndroidとChromeの統合はいつか?
装飾を捨てて機能美を生み出すデザインの時代
RSSの黄昏――Googleリーダーがサービスを中止
Photosphereに対応を急ぐFacebookについていけ
[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
twitter:http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
facebook:http://www.facebook.com/ogawakazuhiro