密かに噂されるエンジニアの引き抜き「アップルは電気自動車の夢をみるのか」
密かに噂されるエンジニアの引き抜き「アップルは電気自動車の夢をみるのか」
2016年4月25日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
2015年秋、電動バイクメーカーのミッション・モーターサイクル社が倒産したが、読者の皆さんのほとんどは、その事実をご存じないだろう。ある企業が、彼らの優秀なエンジニアを引き抜いてしまったため、開発が思うようにいかなくなってしまったからだ、と言われている。
その企業とはどこか。
それはアップルだ。彼らが電気自動車の開発に動いているのは間違いないらしい。なぜなら自動車は数多くのCPUで管理された、動くコンピューターである。巨大なiPhoneであり、Macと成り得るからだ。
ミッション・モーターサイクル社は、自動車で言えばテスラのような存在で、最高速度 時速200キロ以上を叩き出す電動スーパーバイクの開発を急いでいた。自動車にしてもオートバイにしても、パワートレインを内燃機関すなわちエンジンから、バッテリー+モーターの組み合わせにシフトさせる試み(=電動化)にトライするベンチャー企業は多い。その中でも、テスラとミッション・モーターサイクル社のコンセプトは、一般に普及しやすそうな大衆車の電動化に取り組むのではなく、高性能で高価なスポーツカーやスーパーバイクの電動化を目指すものだった。
カッコよくて速くてエコな高性能車なら、欲しがるのは経済的に裕福なセレブ達だ。そしてセレブが乗り回すような車やバイクであれば、それはブランドとして認知される。つまりセレブ達を顧客にすることでアイコン化し、早期にブランド価値を高める戦略をとったのが、テスラとミッション・モーターサイクルだったわけだ。
テスラは単独でのIPOを果たしたが、冒頭のごとくミッション・モーターサイクルは残念ながら倒産の憂き目に遭うことになった。
その企業とはどこか。
それはアップルだ。彼らが電気自動車の開発に動いているのは間違いないらしい。なぜなら自動車は数多くのCPUで管理された、動くコンピューターである。巨大なiPhoneであり、Macと成り得るからだ。
ミッション・モーターサイクル社は、自動車で言えばテスラのような存在で、最高速度 時速200キロ以上を叩き出す電動スーパーバイクの開発を急いでいた。自動車にしてもオートバイにしても、パワートレインを内燃機関すなわちエンジンから、バッテリー+モーターの組み合わせにシフトさせる試み(=電動化)にトライするベンチャー企業は多い。その中でも、テスラとミッション・モーターサイクル社のコンセプトは、一般に普及しやすそうな大衆車の電動化に取り組むのではなく、高性能で高価なスポーツカーやスーパーバイクの電動化を目指すものだった。
カッコよくて速くてエコな高性能車なら、欲しがるのは経済的に裕福なセレブ達だ。そしてセレブが乗り回すような車やバイクであれば、それはブランドとして認知される。つまりセレブ達を顧客にすることでアイコン化し、早期にブランド価値を高める戦略をとったのが、テスラとミッション・モーターサイクルだったわけだ。
テスラは単独でのIPOを果たしたが、冒頭のごとくミッション・モーターサイクルは残念ながら倒産の憂き目に遭うことになった。
彼らのエンジニアを引き抜いたという事実については、ミッション・モーターサイクル側からの証言だけで、アップルからのコメントはない。しかし、彼らが自社OSによってコントロールされる電気自動車を作ろうとしていることは疑いがない。実際、BMWとメルセデスが最近までアップルと電動自動車を共同開発しようとしていた、という噂もまことしやかに囁かれているのだ(どうやら二社とアップルの関係は長く続かず、決裂してしまったらしい)。
電気自動車(あるいは電動バイク)のパワートレインの電動化が進めば、それはキーテクノロジーが、家電やPCなどに近いものに変化するということであり、既存の自動車産業とIT企業、もしくは家電産業がクロスする。この市場プレイヤーの変革期に際して、Apple、Google、MicrosoftらOS開発企業達が乗り込まないわけがない。自動車(やバイク)のOSを握り、交通状況をすべてデータ化することができれば、文字通りのビッグデータとして、派生するさまざまなビジネスが期待できる。
とにかく自動車産業は未だにとても大きな市場だ。例えば、ヤマハは二輪開発の技術を応用して、低燃費で小型の二人乗り用のコミューターを2019年に販売を開始する。この機会にアップルとヤマハが組むという妄想はいかがなものだろうか。
電気自動車(あるいは電動バイク)のパワートレインの電動化が進めば、それはキーテクノロジーが、家電やPCなどに近いものに変化するということであり、既存の自動車産業とIT企業、もしくは家電産業がクロスする。この市場プレイヤーの変革期に際して、Apple、Google、MicrosoftらOS開発企業達が乗り込まないわけがない。自動車(やバイク)のOSを握り、交通状況をすべてデータ化することができれば、文字通りのビッグデータとして、派生するさまざまなビジネスが期待できる。
とにかく自動車産業は未だにとても大きな市場だ。例えば、ヤマハは二輪開発の技術を応用して、低燃費で小型の二人乗り用のコミューターを2019年に販売を開始する。この機会にアップルとヤマハが組むという妄想はいかがなものだろうか。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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