分散化メディア時代の標準指標はPVからCVへ
分散化メディア時代の標準指標はPVからCVへ
2016年9月5日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
テレビ業界では相変わらず視聴率と言うまやかしがまかり通っている。
視聴率過去最高の35%! とか、20%キープの高視聴率番組とか言うが、21世紀も十数年経った現代ではほぼ無意味な数字だ。1億人中1000万人が観ていても10%だし、100人中10人が観ていても10%なのだから。いまや定常的にテレビを観るオーディネンスは(若年層を中心に)確実に減っている。観ている人間の分母が減っている事実を認めないままで、割合だけを共通指標として使い続けるのは、テレビ業界の横暴だし、隠蔽であると言えるだろう。
とはいえ視聴率というまやかしを暴くのが、今回のコラムの主題ではない。ネットメディアにおける広告成果指標について考えるのが今回の趣旨だ。
テレビにおける視聴率に相当する広告成果指標はPV、すなわちPage View(ページビュー)であることは疑問の声は出ないだろう。現代のWebメディアの価値は、少なくとも日本国内においてはいまだPV数で測られる。もちろん、テレビ同様、実際何人のオーディエンスが見ているのか、という数値も重要ではある。これはMAU(マンスリーアクティブユーザー数)であったりUU(ユニークユーザー数)といった呼び方で表現されるが、実際に広告主にアピールできるのはいまだにPVなのである。
しかし、現代のデジタルメディアは”分散化”している。例えばAというメディアが制作したコンテンツであっても、そのAのメディアで閲覧されているとは限らない。LINE上で読まれているかもしれないし、Facebookで読まれているかもしれない。もしくはキュレーションメディアやアプリで見られているかもしれない。いまやコンテンツとメディアは分離されるのが当たり前であり、コンテンツがどこで消費されるかはわからないのが常識だ。
この状況を積極的に受け止めて、メディアをひとつのWebサイトであると考えるのではなく、自ら制作したコンテンツを配信するチャネル、もしくはネットワークと考えてメディアを作っていく者が現れた。彼らを分散型メディアと呼ぶのである。
視聴率過去最高の35%! とか、20%キープの高視聴率番組とか言うが、21世紀も十数年経った現代ではほぼ無意味な数字だ。1億人中1000万人が観ていても10%だし、100人中10人が観ていても10%なのだから。いまや定常的にテレビを観るオーディネンスは(若年層を中心に)確実に減っている。観ている人間の分母が減っている事実を認めないままで、割合だけを共通指標として使い続けるのは、テレビ業界の横暴だし、隠蔽であると言えるだろう。
とはいえ視聴率というまやかしを暴くのが、今回のコラムの主題ではない。ネットメディアにおける広告成果指標について考えるのが今回の趣旨だ。
テレビにおける視聴率に相当する広告成果指標はPV、すなわちPage View(ページビュー)であることは疑問の声は出ないだろう。現代のWebメディアの価値は、少なくとも日本国内においてはいまだPV数で測られる。もちろん、テレビ同様、実際何人のオーディエンスが見ているのか、という数値も重要ではある。これはMAU(マンスリーアクティブユーザー数)であったりUU(ユニークユーザー数)といった呼び方で表現されるが、実際に広告主にアピールできるのはいまだにPVなのである。
しかし、現代のデジタルメディアは”分散化”している。例えばAというメディアが制作したコンテンツであっても、そのAのメディアで閲覧されているとは限らない。LINE上で読まれているかもしれないし、Facebookで読まれているかもしれない。もしくはキュレーションメディアやアプリで見られているかもしれない。いまやコンテンツとメディアは分離されるのが当たり前であり、コンテンツがどこで消費されるかはわからないのが常識だ。
この状況を積極的に受け止めて、メディアをひとつのWebサイトであると考えるのではなく、自ら制作したコンテンツを配信するチャネル、もしくはネットワークと考えてメディアを作っていく者が現れた。彼らを分散型メディアと呼ぶのである。
分散型メディアは、自分のWebメディアを持つ場合と持たない場合があるが、基本的にはWebメディア、Facebookページ、Twitter、Snapchat、Instagram、Pinterest、YouTubeなどのソーシャルメディアやモバイルアプリなどに公式なアカウントを持ち、そこにコンテンツを配信することで、オーディエンスに届ける。
だから、Webメディアでの閲覧数をPVとしたとしても、FBページであればエンゲージメント(いいね数、シェア数、コメント数などの合算)やリーチ数が重要となるし、Twitterでも同じようにリツイート数やリーチ数を持って成果指標とすべきである。
そこで、最近では、どこで見られようがコンテンツが消費されたことには変わりないので、CV(Content-View=コンテンツビュー)という概念を提唱する向きが現れた。特に分散型メディアにおいては、Webでは何PVで、FBでは何リーチなどと細かく説明するのはやはり面倒だし、実は広告主のほうも指標としてはひとつの方が受け止めやすい(テレビにおいていまだに視聴率で成果を図ることをやめないのも、ある意味の双方の怠慢によるものと言えるだろう)。
そこで、Webメディア上でも、FB上でも、Twitter上でもとにかくコンテンツがリーチしたと思われる回数を、CVという数字でまとめることで、わかりやすく成果を図ろうするのである。
実際、現代のメディアのプラットフォームたち、すなわちFacebookでもYouTubeでも、巨大なソーシャルメディアたちはこうした数値をメディア側に提供することに熱心であり、APIも揃いつつあるので、わかりやすくオーディエンスの動向をインサイトとしてまとめるテクニックも洗練されてきている。
人々の嗜好は分散化している。映画を映画館で見ようがDVDで見ようがYouTubeで見ようが、そのコンテンツを消費したことに変わりはない。また、どのメディアで消費されても、オーディエンスに、消費者にメッセージが届けばいい。目的に対してシンプルに真摯になったとき、今後の成果指標として最適なのは、CVの考え方であると思う。
CVを積極的に啓蒙することが、メディアとコンテンツの作り手を救うことになる、そう考えている。
だから、Webメディアでの閲覧数をPVとしたとしても、FBページであればエンゲージメント(いいね数、シェア数、コメント数などの合算)やリーチ数が重要となるし、Twitterでも同じようにリツイート数やリーチ数を持って成果指標とすべきである。
そこで、最近では、どこで見られようがコンテンツが消費されたことには変わりないので、CV(Content-View=コンテンツビュー)という概念を提唱する向きが現れた。特に分散型メディアにおいては、Webでは何PVで、FBでは何リーチなどと細かく説明するのはやはり面倒だし、実は広告主のほうも指標としてはひとつの方が受け止めやすい(テレビにおいていまだに視聴率で成果を図ることをやめないのも、ある意味の双方の怠慢によるものと言えるだろう)。
そこで、Webメディア上でも、FB上でも、Twitter上でもとにかくコンテンツがリーチしたと思われる回数を、CVという数字でまとめることで、わかりやすく成果を図ろうするのである。
実際、現代のメディアのプラットフォームたち、すなわちFacebookでもYouTubeでも、巨大なソーシャルメディアたちはこうした数値をメディア側に提供することに熱心であり、APIも揃いつつあるので、わかりやすくオーディエンスの動向をインサイトとしてまとめるテクニックも洗練されてきている。
人々の嗜好は分散化している。映画を映画館で見ようがDVDで見ようがYouTubeで見ようが、そのコンテンツを消費したことに変わりはない。また、どのメディアで消費されても、オーディエンスに、消費者にメッセージが届けばいい。目的に対してシンプルに真摯になったとき、今後の成果指標として最適なのは、CVの考え方であると思う。
CVを積極的に啓蒙することが、メディアとコンテンツの作り手を救うことになる、そう考えている。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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