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コラム

2016.7.21 THU

デジタルは市場を食うか? 人気の定額マンガ課金サービスの未来を占う

デジタルは市場を食うか? 人気の定額マンガ課金サービスの未来を占う

2016年7月21日 TEXT:編集部

Hulu、AWAなど、スマートフォンやタブレット端末向けの月額課金サービスが隆盛を極める昨今。月額500円程度でさまざまなマンガ作品が読み放題になるという「定額マンガ課金サービス」も人気を集めている。いまや出版不況などどこ吹く風で売り上げを伸ばす定額サービスだが、果たしてこのまま、出版市場をも食い尽くしてしまう存在になり得るのであろうか。定額マンガ課金サービスの未来を探る。


●「端末の普及」と「コンテンツの充足」によって伸長


近頃、いわゆる「出版不況」の波がマンガを含めた出版業界全体を覆い尽くしている中で、スマートフォンやタブレット端末の普及を追い風として利用者の広がりを見せているのが「定額マンガ課金サービス」だ。

月々500円程度の金額を支払うことで、配信しているタイトルが読み放題となるこのサービスは、特にスマートフォンの普及率が劇的に向上した2013年以降、にわかに利用者を増やしてきている。

現在では、メジャーなタイトルを数多く配信しているものも増加し、Yahoo!、フジテレビ、NTTといった企業も積極的に参入する市場となっている定額マンガ課金サービス。種類に関しても、女性向けマンガを専門に扱うものや、特定ジャンルのみを専門に扱うものなど、さまざまなニーズに即したものが提供されるようになってきた。

このように「タブレット端末の普及」と「サービス自体の充足」によって、定額マンガ課金サービスは伸長の一途をたどっている。通常の電子書籍などを合わせた「デジタルコミック」全体の市場規模は、このままのペースで行くと2020年ごろまでには紙媒体の市場を超えるというデータもある。


●キラーコンテンツが食い尽くされると市場は一気に頭打ち


しかし、前述したような「デジタルコミック黒船論」は、定額マンガ課金サービスなどが現在と同じ規模で成長し続けていくことが前提で議論されており、何らかの要因によりその成長が頭打ちになった場合、デジタルが市場を食ってしまうような事態にはなり得ない可能性も大いに考えられるだろう。

定額マンガ課金サービスにおける「頭打ちのリスク」としては、既存のマンガ作品がほとんど配信されてしまった際に、利用者を繋ぎ止めておけるだけの「キラーコンテンツ」がなくなってしまうというものが挙げられる。現在、定額マンガ課金サービスはまだまだ発展途上なものとなっており、過去の名作や人気作品に関してはまだ配信がなされていないものも数多く存在しているのが現状だ。

今後より幅広い利用者層を取り込んでいくために、過去の名作や人気作品を配信し、それらの作品がキラーコンテンツとなってさらに利用者が増えていくという皮算用は、現在サービスを運用している側が多かれ少なかれ描いている青写真だと言えるだろう。

Yahoo! などの名だたる大企業が市場に参入し始めているなか、市場の中で利用者の奪い合いが行われ始めることは想像に難くない。そうなった際に、各サービスが利用者を振り向かせるための方策として、前述したキラーコンテンツの配信に続々と踏み切ることも容易く想像できる。

このことからもたらされる事は、ただ一つキラーコンテンツの「弾切れ」である。打ち出す人気作品がなくなってしまった時、定額マンガ課金サービスは求心力を急速に失ってしまうことになるだろう。結果的に、新規利用者を取り込めなくなったこのサービスは、売り上げを落としていってしまう可能性がある。


●「デジタル発」のコンテンツ誕生がカギ


では、定額マンガ課金サービスの売り上げは今後ゆるやかに下降線を描いていくかというと、必ずしもそうとは言いきれない。今後の展開次第では、現在の勢いを維持したまま広がり続けていくことも十分考えられるし、前述した「2020年ごろに紙媒体の市場超え」という可能性も十分にあると言えるだろう。

今後、このサービスが売り上げを伸ばしていくために必要なことのひとつとして、「デジタル発」のキラーコンテンツを用意するということが挙げられる。すなわち、既存の人気作品などではなく、デジタルコミックから新しくヒット作を生み出す必要があるということだ。

「デジタル発」で魅力的な作品が配信されるようになれば、SNSなどによる情報拡散によって各所で作品情報が共有されることになり、その中にはサービス自体に登録するような者も現れることになる。配信する側にとっては、既存の作品ではない魅力的なマンガ作品の配信が急務になってくると言えるだろう。

●まとめ

定額マンガ課金サービスをはじめとした電子書籍の大きなメリットとして、いつでもどこでも気軽にマンガを楽しむことができるというものが挙げられる。利便性と気軽さに関しては、紙媒体の書籍に勝ち目はないと言って良いだろう。配信する側が既存のコンテンツに依存する体質を改め、「デジタル発」のキラーコンテンツが数多く生まれることになれば、このサービスは確実に利用者の生活に根付くものとなるはずだ。

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