UXデザインを上手に組み込むための「関わり方」と「取り組み」のコツ(前編)

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UXデザインを上手に組み込むための「関わり方」と「取り組み」のコツ(前編)


――先にユーザー調査をしない、というより全体的に調査を伴わないパターンですね。

 

そうですね。調査をしなくても「筋の良い仮説」が担当の方の中にあると感じられました。その仮説を元になるべく早めにカタチにする、その合意形成のためのツールとしてUXデザインの手法を使う。ユーザーと接してきた担当者の方が鍵を握るので、その方が持っているノウハウや知見をなるべく引き出すように進めました。具体的には現状分析をヒアリングとワークショップで行って、出した仮説から理想的なシナリオを私が設計、そのシナリオをクライアントと擦り合わせるという形をとりました。デザイナーにもプロジェクトの最初から入ってもらって、シナリオからページの構成やコンテンツを一緒に考えていきました。

 

 

――UXデザインの議論は全員で集まって行うのですか?

 

はい。「全員で考える」ことを大事にしています。頻繁にワークショップを取り入れるのはそういう理由ですね。今回の例ではペルソナの作成とジャニーマップで3時間ずつ、プロジェクトの初段階で時間を大きくいただいて認識合わせをしました。その後も「ユーザー」を主語として、今後どのようにしていくか毎週の定例でコミュニケーションを取りながら考えています。



▷ユーザー調査ができなくても“机上の空論”にしない

 

 

――ほかにも、「Lean UX」のフレームワークを応用するようなケースはありますか?

 

ありますが、全く調査をしないことは珍しいです。正式なユーザー調査が出来ない場合でも最小限の調査はします。その方法の一つが弊社の約500人いる社員をインフォーマントとして使うやり方です。500人いると余程年配向けか子ども向けでない限りターゲットユーザーに重なる社員がいますので、3人でいいから調査をさせてもらうようにしています。全く聞かないよりは弊社の社員であっても聞いたほうがずっと良いです。インサイトはきちんと得ることができます。


全くやらないとプロジェクトメンバーの中で意見が食い違った時に平行線になってしまいますし、それが原因で失敗したケースもありました。そういった際にも「ターゲットユーザーと属性が同じ弊社の社員ですが、このようなニーズを持っています」と言える方が、私個人の意見よりも信用してもらえます。ファクトがあるとプロジェクトメンバーも「そういう人がいるのですね。じゃあどうしようか」と、自分の意見を一回横に置いて考えられるようになるんですよね。

 

 

――川田さんはプロジェクトの上流から下流まで関わるのでしょうか。

 

私は関わります。我々のチームでは基本的にエンジニアでもデザイナーでも最初から最後まで一緒に走ることを理想としています。例えばユーザー調査のモデレーションは私が主として行いますが、デザイナーにも立ち会ってもらいます。

 

エンジニアもタイミングが合えばユーザー調査から一緒にいてもらいます。特にユーザーと接する調査をする場合は、資料に書き起こせない部分、言葉では伝えきれない感覚もすごく大事だと思っていて。作るモノが、ユーザー体験としてどういうモノであるべきなのか。それをエンジニアも一緒に考えられるようにしています。

 

あとはやはり「早く形にする」ということを重視していますね。プロトタイプを早く作って、検証を繰り返す。この事例は「Lean UX」なので、ユーザー像は接客経験のある方の頭の中から出しているのですが、後からちゃんとファクトを集めて検証、修正しなければいけません。深掘りもしていかないといけない。そのためにもプロトタイプはなるべく早めに作るようにしています。早くカタチにしないと議論だけでは空転してしまいますからね。

 

我々とクライアントで認識がちがうということも多々ありますし、クライアント内でも「情報システム部門」の人と「マーケティング部門」の人とでは認識が異なることもあります。それをうまく繋ぐためのプロジェクトマネジメントとしても、より良いクリエイティブにするためにも、チーム全員が合意形成していくことが大事だと思います。UXデザインによって「クリエイティブ」と「マネジメント」の両輪が回っていくと、うまくいくと思います。

取材 : 羽山 祥樹(HCD-Net)



▷後編ではクライアントへの働きかけ方や失敗に繋がった事例、新しくUXデザインに取り組みたい企業へのメッセージなどを掲載予定です。是非ご覧下さい!
■株式会社メンバーズ
1995年創業。経営理念に「“MEMBERSHIP”でマーケティングを変え、心豊かな社会を創る」を掲げ、国内大手企業を中心とした顧客企業に対し、デジタルマーケティング分野における戦略立案から企業Webサイトの構築・運用、ソーシャルメディア活用等の支援サービスを総合的に提供しています。
 
■川田 学
大手クライアントのウェブコミュニティやサービスサイトにおけるUXデザインアプローチにより、リニューアル、UI、コンテンツ改善、新規ウェブサービス開発のプロジェクトに参画。リサーチやプランニング領域を中心にUXデザインを担当。2016年4月にHCD-net認定人間中心設計専門家の認定を受ける。

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