「企業内“Twitter”の可能性──前編」

「企業内“Twitter”の可能性──前編」
2008年11月17日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

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よりライトなコミュニケーションの潮流
「Twitter」を知っているだろうか。2006年7月にサービス開始されたインターネットサービスであり、いまでは「マイクロブログ」というカテゴリリーダーとして多くのクローンサービスを生むに至った、インターネット業界で最も注目を浴びるサービスのひとつである。
Twitterとは“Twit”(つぶやく)という名のとおり、個々のユーザーが自分がいま何をしているかという短いコメントを投稿しあうことによって、緩い情報共有を行うコミュニケーションサービスである。
本来のブログもまた、日々の自分の気持ちや行動を綴る簡単なログ(記録。そもそもブログとはWeb Logの省略形である)機能であったが、世界中に普及するにつれて、高機能化し、同時に投稿されるエントリーの内容もより複雑な文脈と内容を求められるに至った。
その反作用として登場したTwitterは、エントリーに140文字までという文字制限を強いることによって簡潔さを保ちつつ、自分のページに自分の知人の投稿もリアルタイムに行うことによって、自ら書かなくても自分のページが動的に更新されていくという気軽さを備えた。これによって、Twitterは“ブログ疲れ”を起こした多くのネットユーザーの心を掴み、短期間で世界中に普及したのである。
Twitterとブログの違い
Twitterやそのクローンサービスは、前述のとおり、いまやマイクロブログと呼ばれ、ひとつのインターネットサービスのジャンルとして確立されたように思えるが、実はこの呼び方は必ずしも正確ではない。
日本で流行している芸能人ブログのようなサイトをみていると、ほとんどのエントリーにはファン以外は得るべき内容はなく、個々のエントリーも短く、大抵は写真とわずかなテキストが置いてあるばかりであることが多い。また、1日あたり数件から数十件のエントリーをする芸能人ブロガーも多く、その使い方をみていると確かにTwitterライクであるといえる。逆にいえば、その使い方から見れば、Twitterは「エントリーの文字数を制限し、投稿回数が多くなるように味付けされたブログである」と言ってもいいかもしれない。また、投稿されたエントリーはブログ同様、パーマリンクを持っており、アーカイブされることから、構造的にブログの流れを汲むものであることは確かだ。
しかし、ブログが個々の投稿者の一貫した主張に基づく整然とした情報の流れ、そして場であるのに対して、Twitterはむしろ複数投稿者のつぶやきのカオス状態にもみえる情報の流れである。ブログは結果としてオーナーであるユーザーたちのプレゼンテーションであり、Twitterは多くの参加者によるパネルディスカッションであるといえるだろう。
そして、ブログは投稿という積極的な行為によってしか自己表現はできないが、Twitterは、自分と意見が近い、もしくは参考にしたい人物をセレクトすることによって、自分のページを“編集”することができる点が大きく異なっているところだ。
つまり仕組みは近いが、意図する表現方法や思想が異なるツールであるといえるだろう。
後編につづく

[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



