Webデザイナーは人の流れをデザインすることも必要不可欠



Webデザイナーは人の流れをデザインすることも必要不可欠
2010年5月24日

TEXT:石井研二
(株式会社HARMONY 取締役 兼 COO)

入口ページをしっかり管理しなければならない

Webサイトは、集客と誘導で成果を出すもの。それがうまくいっているかを確認するために行うのがアクセス解析であり、うまくいっていない部分を見つけても、比較的容易に修正できるのがWebというメディアの良いところだ。

たとえばサイト全体の直帰率が60%あるとする。10万人訪れていたとしても、実質的に4万人しかWebサイトを見ていないのだから、これでは成果に結びつくことは少ないと考えなければならない。

集客をするのは、「入口ページ」だ。ほかのWebサイトからリンクされていたり、検索結果に表示されたり、お気に入り登録から再訪を受けるなど、さまざまな入り方がある。メールに記載されたURLをクリックして訪れる人も、無視できない数になるものだ。


入口ページとゴールをつなぐものとは

しかし、入口ページは必ずしもゴールページではない。検索結果によく表示されるページは、テキスト中心で制作されていることが多い。それは入口としては適したページというべきかもしれない。しかし、テキストで制作されたページは、「訪問者を説得して『良い』と思わせる」力は低いかもしれない。商品をアピールするためには、やはりFlashなどのインタラクティブコンテンツを使った、説得力のあるページを見てもらいたいと考えるだろう。

例外は、リピーターがお気に入り登録から訪れるページに見られることが多い。商品検索など役立つコンテンツがそれだ。サイト運営側が「使ってほしい」と考える機能はゴールと呼ぶべきものだが、この場合は、訪問者が直接ゴールに訪れる貴重な例外といえるだろう。それでも商品検索のトップページに訪れただけでは完全なゴールインではなく、実際にはトップページだけ見て帰ってしまうリピーターも少なくない。検索結果から商品が見られてこそ、ゴールインと呼ぶことができるだろう。


Webデザインとは「人の流れのデザイン」すること

ということは、Webサイトには人の移動が必須ということになる。集客するページからゴールへの流れがなければ、Webサイトの成果は高まらない。1ページ見ただけで帰っても訪問者が満足していれば良いのではという議論もあるが、サイト運営側が満足できなければ意味は薄いというほかない。

入口ページになるのはトップページだけではない。広告のランディングページのほか、検索結果に表示されたページなど意外なページも多数の訪問者を集める。トップページを入口にする訪問者は、全体のおおよそ3割弱でしかない。多数の入口からいかにゴールへの流れをデザインしていくかが大切なのだ。トップページなどからの「想定動線」という話はこれまで多かったが、多数の入口から多数のゴールへ流れを生み出す方法はあまり語られてこなかったのではないだろうか。人の流れのデザイン。これはWeb成功の大きなテーマになってくると考えられる。



入口ページ=トップページとは限らない

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[筆者プロフィール]
いしい・けんじ●株式会社HARMONY 取締役 兼 COO。6月14日(火)にはイー・エージェンシー 甲斐 真樹代表と対論でレコメンドや広告を素材にWebの人の流れのデザインについて語る。
http://www.harmony-corp.co.jp/information/seminar.html
『集客力を飛躍的に向上させるGoogle Analyticsアクセス解析の極意』(秀和システム)など、著書も多数。

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