日本上陸間近のソーシャルストリーム「Groupon」(前編)



日本上陸間近のソーシャルストリーム「Groupon」(前編)
2010年8月30日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

いま世界中のメディアが注目している「Groupon」を読者の皆さんはご存じだろうか。Grouponについては以前もこのコラムで紹介している(参照記事「GROUPONに見るソーシャルメディアの収益性(前編)」)。

Grouponはグループ(Group)とクーポン(Coupon)の合成語、つまりグループ購入の割引クーポンを意味する米国シカゴ発のベンチャーだ。ソーシャルメディアが急成長したことによって発生した新しいトラフィックを僕は“ソーシャルストリーム”と呼んでいるが、このソーシャルストリームの恩恵を彼らほどうまく活用している企業はなかなかない。Grouponは2008年11月にサービス開始した新しいベンチャーだが、創業2年に過ぎないというのに、2010年度の推定売上は3.5億ドル(約315億円)とされている。月間推定利益も400万ドル(約3.6億円)を超えるとみられている。

Grouponのビジネスモデルはこうだ。

特定地域ごとに割引クーポンを、1日にひとつだけ共同購入形式で販売する。24時間という時間制限内である程度の枚数に達すれば共同購入できるが、達しなければ商売は成立しない。

クーポンの対象は、飲食店、エステサロン、観光ツアー、イベント、などだ。サービス開始以降の1年間で成立した取引はなんと100万件にも及ぶという。

ユニークユーザー数は2010年3月に300万人を突破しており、従業員数もすでに320名を超えている。この急成長を受けて、彼らの企業価値も驚くほど急上昇している。世界最大のSNSであるFacebookが企業評価額10億ドルを達成するまで2年かかっている。Twitterは3年だ。

しかし、Grouponは、彼らを凌ぐ1年半で10億ドルの評価を得ている。これをとっても、Gropuponがどれだけ全米で注目をされているかわかるだろう。次回は、日本進出が秒読みとなったGrouponがなぜ、それだけの好成績を残しているのかをマクロ的に解説する。(後編に続く)


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。

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