Facebookのビジネスでもっとも重要な「ファンページ」の秘密(前編)

Facebookのビジネスでもっとも重要な「ファンページ」の秘密(前編)
2010年12月20日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

11月あたりから急速にネット業界および広告業界で盛り上がってきている「Facebookマーケティング」。その重要サービスとして位置づけられるのが「ファンページ」である。

Facebookは知っての通り、実名による参加と、居住地域や誕生日、性別、学歴、勤務先など、非常に細密な個人情報を登録しているユーザーが多く、mixiやGREEといった国産SNSとは比べ物にならないくらい、マーケティング用のデータを保持している。

もちろん、Facebookは現時点で国内ユーザー数が200万人程度とみられており、リーチできるユーザー数ではmixiやGREEに到底およばない。およばないのだが、ユーザー数が今後短期間でmixiに匹敵するまでに伸張するだろうという期待値が高まっており、参入検討をしている企業は一気に増えてきている。

Facebookをビジネス利用しようと思うとき、おもに以下の3つの機能の利用がある。

・広告
・グループ
・ファンページ

広告とは、GoogleのAdSenseやAdWordsににて、バナー広告をFacebook内に掲示する権利を買うことだ。単なるバナーではなく、性別や年齢、住んでいる地域などを指定して、それに見合う広告を出せることから、ターゲティング広告として活用が進んでいる。もちろん有料だ。

グループとは、特定の会員に対するクローズドなコミュニティをつくるサービスであり、従来は企業が自分自身で企業SNSや会員サービスをつくらざるを得なかったところを、原則無料で利用できる、うれしい機能だ。ただし会員数は最大5000名という制限はつく。

そして、もっとも重要なのがファンページだ。

ファンページは、Facebookの会員でなくても閲覧してもらえる、いわゆるWebページを簡単につくって公開できる。Facebook内のほかのユーザーから「いいね」ボタンを押してもらえれば、そのユーザーを会員もしくは購読者として登録することができる。この購読者が25名以上になると、独自のURL(facebook.com/○○)を取得できる。

このファンページを使うことで、企業はFacebookユーザーとのコミュニケーションをはかりつつ、個人情報を管理するリスクを負わずに会員を集めることができる。もちろんその会員はFacebookのユーザーでなければならないわけだが、Facebookは世界中に5億人以上のユーザーを抱えるメガSNSだから、それはなんの制約条件にもならない。日本国内では先述の通りまだまだユーザー数が足りないが、FacebookのファンページはFacebookユーザー以外にもリーチできるから、逆に彼らをFacebookに引き込む手段ともなり、イチからコミュニティをつくって会員を募るより手っ取り早し低コストでできる、というわけだ。(後編に続く






■著者の最近の記事
Googleが手に入れたい“GrouponにあってGoogleにないもの”(後編)
Googleが手に入れたい“GrouponにあってGoogleにないもの”(前編)
Facebook Messagesの新バージョンがGoogleとの勢力争いに与える影響
Apple TVから見えてくるアップル製品の“次の一手”(後編)
Apple TVから見えてくるアップル製品の“次の一手”(前編)
Googleを旧世代化するFacebook、2社の直接対決の行方(後編)
Googleを旧世代化するFacebook、2社の直接対決の行方(前編)




[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。




MdN DIのトップぺージ