実践! WEBビジュアルデザイン 第6回「デザインはなぜひっくり返るのか(後編)」

web creators/MdN Design Interactive共同企画 デザイン現場の目線で“リアルに語る”

実践! WEBビジュアルデザイン 第6回「デザインはなぜひっくり返るのか(後編)」


2011年1月28日
TEXT:文=田口 亮((株)フォーデジット)

Webデザインに必要な知識や考え方は、普遍的なものもあれば、案件やクライアントによって変化する部分もある。PCやネットの技術やトレンドの変化によっても変わっていく。そのような知識や考え方、取り組み方を学び、考えるうえで大事なことは、現場で役に立つ、実践的でリアルな知識を得ることだ。

そこで本連載では、Webデザインの現場で役に立つ、実践的なWebビジュアルデザインのトピックや考え方、取り組み方について考えていく。



※本記事は実践! WEBビジュアルデザイン 第5回「デザインはなぜひっくり返るのか(前編)」の続きになります。前編をお読みでない方は前編からお読みください。


■できる限り避けたい事態を考える

今回はデザイナーや制作会社にとって「できる限り避けたい事態」について考察したい。適切なプロセスで行ったプロジェクトではそのようなことはあまり起こらないが、どういうプロセスで行ったアウトプットであれ、クライアントにデザインを提出する瞬間がやってくる。今回のテーマである「できる限り避けたい事態」というのは、デザインを提出した際にクライアントからOKが出ない状態のことだ。

理由としては下記の5つの理由が考えられる。

【1】デザインの方向性が違う
【2】デザインが気に入らない
【3】伝えたいポイントの優先順位が違う
【4】わかりづらい・使いづらい
【5】クライアント内で別の判断が下った
※クライアントからのデザインに対する意見を経験的に集約し分類



以下、前編に引き続き、【4】と【5】のケースを挙げてみよう。


■【ケース4】わかりづらい・使いづらい→設計段階での失敗

サイトデザインを提出したときに「なんかわかりづらい・使いづらい」という意見はわりと頻繁に出るのではないだろうか。この問題は、さらにいくつかの原因に分類できる。わかりづらさや使いづらさはおもに以下の3つの理由がメインとなる。

・ナビゲーションにおけるユーザビリティの欠如
ナビが小さくて視認性・使い勝手が悪い、ボタンや遷移が複雑で迷う、など。

・情報設計レベルで整理されていない
適切な情報が配置されていない、ボタンのラベリングに問題がある、情報の順番や分け方がおかしい、大事な情報や知りたい事が見つけられない、デザインパーツのルールなどの整合性が取れていない、など。

・インタラクションに問題がある
オーバーのアクションがないのでボタンとして気付かない、ボタンが動いていて押せない、など。



【1】意見の元となる原因を突き止めて改善する

使いやすさやわかりやすさについては、制作側から見たときには特に注意して見なければいけないポイントだ。制作者としてものを見ていると、もともと知っているものを確認するという見方をしてしまう。全体のミスがないか、漏れがないかなどの確認方法を行いがちになる。ユーザーとしてサイトを訪れたときに、欲しい情報があるのかどうかをシナリオと照らし合わせて確認する必要がある。情報が多少重複してもユーザーに対してベストな選択であれば問題ないこともある。クライアントだけでなく、その先にあるユーザーも見越して選択することが重要だ。




■【ケース5】クライアント内で別の判断が下った→コミュニケーション不足

実はこのケースが実際はかなり多い。予定していた事柄が変更になったり、ロンチのスケジュールが変更になったことで間に合わなかった素材が間に合ったり、文言が変わったり、情報が変わったりするケースだ。これは避けられないように思えるが対処策もある。

いちばんに挙げられる対処策は、なんと言ってもコミュニケーションの構築だ。プロジェクトマネジメントの中で体制やコミュニケーション方法の決定は、情報共有や無駄なやり取りを避けるために非常に大きな役割を占める。体制に応じてスムースな情報交換ができるような環境を構築することがプロジェクトの第一歩だ。また、情報の要素をひとつずつすりあわせて、内包するリスクを確認して行くのも有効だ。

WebサイトはプロモーションやPRの一部分になることが多い。全体を包括するプロモーションのスケジュールを随時メーリングリストに共有してもらったり、別チームとのやり取りを共有してもらうだけでもリスクヘッジになることが多い。



【2】コミュニケーション方法の確立は非常に重要

クライアントにデザインを提示する瞬間は、なんといっても今まで期待だけしていて目に見えなかったものが見えるようになることが大きい。同時に、クライアント側のイメージを具現化し、課題を解決できるかどうか、サイトが持つビジネスの役割を達成できるかどうかを視覚的にチェックし試される瞬間だ。

クライアントからイメージのヒアリングを綿密に行ったとしても、クライアントはビジュアルデザイナーな訳ではない。そしてデザイナーはすべての関係者の代弁者として具現化する。当然、ビジュアルデザインはすべてのプロセスの結果であるため、クライアントとのリレーション・理解力・意思の疎通や情報の共有が重要であることはいうまでもない。



■デザイン現場の目線で“リアルに語る”実践! WEBビジュアルデザイン バックナンバー
>>> まとめページはこちらから!

第1回「デザインプロセスの落とし穴(前編)」
第2回「デザインプロセスの落とし穴(後編)」
第3回「戦略からビジュアルに落とし込む(前編)」
第4回「戦略からビジュアルに落とし込む(後編)」
第5回「デザインはなぜひっくり返るのか(前編)」


FOURDIGIT Inc.

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