実践! WEBビジュアルデザイン 第7回「優れたデザインに最適化していくワザ(前編)」

web creators/MdN Design Interactive共同企画 デザイン現場の目線で“リアルに語る”

実践! WEBビジュアルデザイン 第7回「優れたデザインに最適化していくワザ(前編)」


2011年2月4日
TEXT:文=田口 亮((株)フォーデジット)

Webデザインに必要な知識や考え方は、普遍的なものもあれば、案件やクライアントによって変化する部分もある。PCやネットの技術やトレンドの変化によっても変わっていく。そのような知識や考え方、取り組み方を学び、考えるうえで大事なことは、現場で役に立つ、実践的でリアルな知識を得ることだ。

そこで本連載では、Webデザインの現場で役に立つ、実践的なWebビジュアルデザインのトピックや考え方、取り組み方について考えていく。





■よくないところを見つけよう!

デザインを制作していくなかで、ブラッシュアップをしていく方法としてはどんなものがあるだろうか? もっとよいデザインに変えていくためにはどのようなアプローチがあるだろうか? 今回と次回は、デザインをブラッシュアップする方法について考察する。

よくないところを見つけ続けるのは必ずしもネガティブことではない。デザインプロセスの中では、問題を発見することも非常に重視されるポイントだ。デザイナーからしてみれば人に指摘されるのは決して心地よいものではないが、課題を抽出することはポジティブな前進の第一歩である。デザインの精度を上げるために、現状の問題点の発見や指摘をポジティブにとらえよう。

念のため、ディレクターなどデザイナー以外の人は課題抽出の際の言葉には気をつけたい。あくまでもポジティブな課題の抽出なので、デザイナーのプライドを傷つけたり、一方的に“ダメ出し”になってしまうのはよくない。もちろんデザイナーも自分の意見に固執しすぎずに、建設的な議論になるように意識しよう。この連載でも何度も解説しているが、プロジェクトには良質なコミュニケーションが何よりも大切なのだ。



■俯瞰してみよう

デザインの大枠が仕上がったときには、自分のビジュアルデザインをできる限り客観的に見ること。それが「俯瞰(ふかん)してみよう」の主旨だ。デザインを少しディスプレイから離れて見てみたり、ペルソナ気分になってみたりして、制作者としてではなく全体感を重視してとらえてみる。俯瞰してみることで、実際目指していたレベル感と同等のものができているのか、方向性として正しい方向に進んでいるのか、を判別することができる。

メインのビジュアルでも全体のバランスでもコンバージョンボタンでも同様だが、俯瞰してみたときに、なんかまだ足りない、なにか物足りない、ピンと来ない、何かが違う、と感じること。まずはそれが大事で、なにか物足りない“理由”を探ることで、問題に取り組むことができる。



【1】俯瞰してみよう




■寝かせてみる

昨日仕上げたデザインが今日になって見ると気に入らないことはないだろうか?

手を動かし続けると焦点が詳細に寄りすぎて全体のバランスから離れてしまうことがある。部分的に細かくつくり込みすぎたり、そのせいで全体のバランスを壊していたり、情報をうまく整理したつもりでも全体で見るとごちゃごちゃしてしまったり、ということだ。また、自分でいいと思いながらデザインをしていると、つくったことによる達成感が相まって客観性を持つのが難しくなる。

一旦寝かせてニュートラルな気分であらためて見ることで、そういった状態を回避できる。寝かせられない場合やスケジュールに余裕がない場合(この場合がほとんどだが)、席を立ってコーヒーを飲みながらレベルの高いプロダクトや作品を見ることをお勧めする。ほかのスタッフと「かっこいい!」といえるようなWebサイトの情報をシェアするのもよい。席について自分のデザインをあらためて見るころには、もっとよくすべきところが見つかるはずだ。



【2】寝かせてみる




■何も知らない人に見せる

隣の席の人に「これかっこいい?」「これどう?」と聞いてみよう。

できれば少し席を立って、デザイナーでない人にも聞いてみよう。自分の感性と違う人の意見を聞くことで、自分ではわからなかった課題が抽出できることがある。デザイナーだとデザインがそうである理由を読み取ってしまう場合があるので、前提条件など何も知らない人の定性的な意見を抽出することで、いわゆる俯瞰で見たときの感覚に近いものが得られる。

社内や家族などに声がかけられる状態であれば、よりターゲットに近しい人に印象を聞いてみるのも有効な方法だ。プロダクトデザインなどではインフィールド(実地調査)で課題抽出が行われている。Webサイトでもユーザーテストによって行われることもあるが、これにはコストや時間・専門性が問われる。

Webサイトは、何らかの理由があって流入してくることがほとんどで、その点がマス広告とは大きく違う。そういったターゲットに対してどういう印象を与えるかどうかは、より重要な意見になるため、上記の方法だけでも効果的な意見が得られることが多い。



【3】何も知らない人に見せる


■デザイン現場の目線で“リアルに語る”実践! WEBビジュアルデザイン バックナンバー
>>> まとめページはこちらから!

第1回「デザインプロセスの落とし穴(前編)」
第2回「デザインプロセスの落とし穴(後編)」
第3回「戦略からビジュアルに落とし込む(前編)」
第4回「戦略からビジュアルに落とし込む(後編)」
第5回「デザインはなぜひっくり返るのか(前編)」
第6回「デザインはなぜひっくり返るのか(後編)」


FOURDIGIT Inc.

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