Twitterのマネタイズ戦略の迷走

Twitterのマネタイズ戦略の迷走
2011年2月21日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

最近筆者の回りではTwitterの評判がよろしくない。

その大きな理由は「彼らのWebサイトが複雑化して使いづらくなった」というものと、「Twitter APIを使うサードパーティに対する締め付けが強くなってきている」ということだ。

TwitterのWebサイトは急速に複雑化かつ高機能化に向いており、Facebookに近い状況になりつつある。それと同時に、そのサイトを使わせたいという意向からか、APIの使用制限に動いているようにみえるのだ。

たとえば、筆者が経営する(株)モディファイでは、「SM3」という、Twitterを含むソーシャルメディアに対するコンテンツのマルチポストやワークフロー管理を行うサービスを開発しており、TwitterのiPhone、iPadおよびMac用のTwitter公式クライアントアプリと連動して使えるように考えてきた。実際、我々はこの公式アプリ(Twitter for iPhone)とSM3を接続させ、Twitter for iPhoneを使って投稿するとSM3を介してコンテンツを投げ込むことができるようにした。ところが、TwitterがiPhone用に続いて開発したiPad用やMac用では、この接続ができなくなっているのだ。

Twitterはこれまで、自社のWebサイトよりも、API経由で、サードパーティが開発したソフトウエアを使って投稿を行うユーザーの存在に寛容だった。しかしクライアントソフトを使ってしまえば、Twitterとしては自社サイトをメディア化して広告ビジネスを行うことができなくなる。ユーザーが増えて、利用率が向上するのはよいことだが一向にお金にならないことになる(現時点で用意している広告枠は売り切っている、つまり好調らしいのだが、より多くの広告枠をつくらないことには成長がじきに止まってしまう)。

Twitterが外部APIの利用制限を始め、かつ自社のWebサイトのリッチ化を進めているのは、マネタイズとしては正しいが、Facebookとの直接競合につながる恐れがいよいよ高まっていると思われる。

2年ほど前までにはマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)は神経質なくらいにTwitterを意識していたらしいが、これまではユーザーからも彼ら当事者からも、大きな蹉跌があったようには見えなかった。

しかし、いまのTwitterの動きを見る限り、アクティブユーザーの奪い合い、という状況がメディアに取り上げられることが多くなるのも時間の問題かもしれない。







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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
twitter:http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
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