Siriが切り開くユーザーインターフェイスの未来

Siriが切り開くユーザーインターフェイスの未来 2011年10月31日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

Siriは、iOS5用の自然言語によるNUI(ナチュラルユーザーインターフェイス)をサポートする疑似秘書アプリケーションだ。iPhone4S以降で利用できる。

Siriを使うと、各種のリマインダー・株式情報・天気予報・テキストメッセージ・メール・カレンダー・メモ・時計アプリ・音楽アプリ・Safari・Google Mapなどの標準搭載アプリケーションを音声によって操作できるとされる。2011年10月31日時点では英語・ドイツ語・フランス語のみの対応で、日本語は非サポートの状況だが、早晩対応されるものと思われる。

Siriは、音声認識エンジンと会話のような自然語による命令に適正な反応を返す、一種のルールベース(リクエストに対してリプライを返すロジックをプログラムしたもの)の組み合わせだ。さらに、ユーザーの使い方に応じて操作性を向上させる学習機能ももつとされる。

もともとは2007年に創業され、2010年4月にAppleに買収されたSiri社が開発したプログラムをベースにつくられている。このあたりのくだりは、GoogleにおけるAndroid社の買収と自社製品化への道筋によく似ている。

Siriは、今後iOSの指による操作というNUIに続く、革命的なNUIになる。これは2010年にも僕は予言したことなのだが(http://agora-web.jp/archives/1070170.html)、iOSが切り開く新しいルック&フィールの世界は、自動車や家電、家屋などのスマート化を大きく進める、ほんとうのデジタル革命になるだろう。クラウド化とNUIの普及。それを果たす企業が日本からは出てこないという現状は、非常に憂うべき事態である。

ちなみに、このSiriの登場は、僕はBlogで予測していた(http://blogs.itmedia.co.jp/speedfeed/2008/11/web20iphone-3g-.html)。また、日立製作所時代にmomoという音声認識エンジンを応用した音声秘書を開発しており、これは日本語版Siriといっていい、しかもクラウド型のサービスだった。あなたは10年早すぎる、とはよくいわれることなのだが、改めて自問自答してしまう…。



iPhone 4Sで新たに提供開始となったSiri

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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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