iOS6で見えてきた画像中心型Webへの変化(後編)

iOS6で見えてきた画像中心型Webへの変化(後編)
2012年10月01日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

※本記事は「iOS6で見えてきた画像中心型Webへの変化(前編)」のつづきになります。前編をお読みでない方は、前編からお読みください。

Facebookの発表によると、現在1日に3億枚もの画像がFacebookにアップされている。しかもFacebook、Twitter、Pinterest、Blogなどを含むソーシャルメディア全体で、もっとも多くのトラフィックを発生させている(つまりクリックされている)コンテンツは、画像データなのである。全トラフィックの実に70%を占めているという。

つまり、画像こそは現在最強のコンテンツであり、画像を中心としたデザインをこれからのWebデザイナーはしなければならないことは自明の理である。考えればわかるが、画像は実にエモーショナルなコンテンツだ。音楽や動画も同様に豊かな感情表現をもつが、情報の全体を把握するのに時間がかかる。だから余裕がないときには視聴できないし、トラフィックを生む(クリックさせる)ためには静止画と比べてはるかに時間が必要なことは理解できるだろう。画像は一瞬で全体を把握できるから、クリックを誘発しやすいのだ。

AppleからすればAndroid搭載機がGoogle+と連携していることに対する対抗措置であろうが、iOS6ではiOS5のTwitterに続いてFacebookとの連携を果たし、Facebookへの投稿を非常に簡単かつ迅速に行うことが可能になった。次はPinterestやTunblrとの連携をAppleが考えても不思議ではなく、高機能カメラとインターネット、そしてソーシャルメディアが密接に紐づくことで、今後いよいよWeb上に画像があふれるようになる。テキストは画像の説明用として、補助的な役割を果たしていくかもしれない。これまでは長文テキストの読解補助として画像が添えられてきたが、これからは逆になる。もちろん、テキスト情報は今後も重要なコンテンツだが、全体のバランスが変わる。

FacebookがInstagramを買収したのも、モバイルの入口という観点だけでなく、画像というコンテンツを押さえたかったためだ。Twitterは140文字の短文に限定することで、世の中のニュースやフィーリングをWebにアップするためのインターフェイスになり、Facebookは実名登録を強いることで人間関係をWebにアップするインターフェイスになった。Instagram買収後、残されたPinterestは画像にフォーカスすることでリアル社会の“景色”をWebにアップするインターフェイスになろうとしているが、もっともパワフルなコンテンツである画像がWebに流れ込むためのゲートウェイは、ハードウエアとしてはiPhoneとAndroidがその座を奪い合うが、サービスとしてはいまのところ誰にでもまだチャンスがある。


Pinterest(iOS版)




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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