ユーザー数2億人を超える前にFacebookはLINEを買うべきだ

ユーザー数2億人を超える前にFacebookはLINEを買うべきだ
無料メッセージングサービスのLINEが、ユーザー数1億人を突破した。LINEは韓国企業NHN Corporationの日本法人であるNHN Japanが開発・運営している、和魂洋才ならぬ和韓洋才型のサービスだ。

現在このメッセージングサービスは、インターネット業界において去年のソーシャルゲームなみにホットな領域になっている。国内ではLINEに続き、DeNAのcommやYahoo! JAPANが後押しするカカオトークが積極的にユーザー獲得を狙っている。世界市場で見てもGoogleはGmailベースの無料通話サービスをテスト運用しているし、FacebookメッセンジャーもFacebookユーザーではない相手へのコミュニケーションを可能にしたたほか、通話機能を北米中心に運用開始している。

世界中の人間がインターネット上にアカウントをもち、さまざまなアクティビティを共有するという用途では、FacebookとGoogle+が先行しており、単にソーシャルネットワークという言い方をすればこの二者に勝てるはずがないと思いがちだ。しかし実際には、現実社会のアクティビティにはさまざまな種類があり、たとえばモノの売買をするためのアカウントという意味ではSquareやPaypalがあるし、写真を共有しようとすれば(Facebook傘下になったが)Instagramがある。同じように、直接的なコミュニケーションのためのアカウントという意味では必ずしもFacebookが最強というわけでもないわけだ。

AppleとGoogleとAmazonがハードウエアで市場争いをするなどということを予期できた者は少ないだろうが、いまやタブレット市場での覇権争いは、そのままインターネット上のコンテンツ販売の覇権争いにつながっている。複数の市場、ネットとリアル、ソーシャルと検索など、いままでは分割されていて関係がないと思われていた市場が、テクノロジーの発達とインターネット活用目的の多様化によってクロスオーバーしているのだ。

このクロスオーバー現象については改めて別の機会に詳説したいが、とにかくソーシャルネットワークの中での我々の活動領域が細分化し、総合的なソーシャルネットワークサービスであるFacebookでも防ぎきれない多くの孔があることがみえてきた。それは時として点在しているが、同時に線状に広がってもいて、その線のひとつがLINEなどのメッセージングサービスの領域なのだ。

思うにFacebookはInstagramを買収したように、できればLINEを買うべきだ。もしそれがかなわないとするならば、全力を挙げてこれ以上のLINEの侵蝕を防ぐ方策を世に出すべきだ。つまり、どちらにしても年内にメッセージングサービス市場において、凄まじい金額が動き、世間を騒がすことになるはずだ。


LINEユーザー数1億人突破記念特設サイト




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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