ソーシャルストリーム再考察(2)―Google Glassから見える流れとは

ソーシャルストリーム再考察(2)―Google Glassから見える流れとは
2013年04月22日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

Google GlassのOSは、Androidとのことだ。つまりGoogle Glassは眼鏡型のウェアラブルスマートデバイスであり、今後Google Play経由でGoogle Glass用のアプリを開発するチャンスが世界的に開かれるということになる。

ソーシャルストリームは、モバイルとソーシャルメディアの普及をフックにして、時間の変化に伴って位置を変えつつインターネット上にアップロードされている情報が、ソーシャルネットワークサービスを介することで、有機的につながりはじめたことで起きた現象だ。今までのインターネットはWeb――すなわち蜘蛛の巣のようにつながったアーカイブだったが、現在のインターネットは“流れ”である。

ソーシャルストリームでは、オンラインとオフラインの間の薄皮が破れ、世界中のありとあらゆる情報がインターネット上に持ち込まれ、共有され、そして再びリアルの社会にフィードバックされる。

このソーシャルストリーム時代の初期の主役は、スマートフォンやタブレット端末だった。持ち運びに不便でインターネット接続に時間がかかるようなPCは、ソーシャルストリームには向かない。ソーシャルストリーム時代に発信され共有されていく情報はリアルタイムでなくてはならず、つねに時間情報と位置情報が刻まれている。だからこの時代に我々人間をインターネット化する道具としては、常時携帯できて常時インターネット接続されているスマートフォンが最適になる。

しかし、スマートフォンの「常時携帯」と「常時接続」の間には、若干ながらタイムラグがある。インターネットを使おうと意識してから実際に使うまでに、数秒の時間を要するのだ。同時に、デバイス側から送られる情報を取得し知覚するまでにも、同じくタイムラグがある。つまり、スマートフォンを使うとき、我々はそれを意識的に使っており、無意識な状態から意識して使っている状態になるまでの短い時間はインターネット化されていない。

GoogleのGoogle Glass、噂されるAppleのiWatchなどのウェアラブルスマートデバイスは、このわずかなタイムラグを埋めることで、今度は無意識の中で発現される我々の思考の波をもインターネット化しようとする動きだ。Google Glassならば、無意識にグラス越しに動く視点を追うことで、意識下の興味の動きや外部からの情報入力がどのように行なわれるのかを日常的に追跡できる。iWatchならば、鼓動の変化や血圧などの生体情報がつねにインターネット化されるだろう。繰り返しになるが、こうした情報は時間情報と位置情報をスタンプされつつインターネット上に保管される。

こうした眼鏡型や時計型のウェアラブルスマートデバイスがどこまで社会に受け入れられるかはわからないが、最終的には攻殻機動隊のように、人体に埋め込まれるタイプのサイバネティック・オーガニズム(Cybernetic Organism)へと進化するだろう。そのとき、我々人体を制御しているのは、はたして脳なのかCPUなのか、DNAなのかOSなのか、簡単には断じることができないような時代になっているのだろう。

ソーシャルストリームは、人間をそんな未来に運びつつある。


Google Glass




【お知らせ】MdN Design Interactiveのコラムも読める無料iPhoneアプリ「MdN News Reader」を公開しました、ぜひご利用ください。
MdN News Reader
URL:http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/17571/


■著者の最近の記事
ソーシャルストリーム再考察(1)
若者離れに悩むFacebookの新しい戦略―モバイルOSのスキン「Facebook Home」
神仏習合――AndroidとChromeの統合はいつか?
装飾を捨てて機能美を生み出すデザインの時代
RSSの黄昏――Googleリーダーがサービスを中止
Photosphereに対応を急ぐFacebookについていけ
Facebookの新デザインは市場に受け入れられるか?
企業価値25億ドルに達したPinterestをどう評価する?





[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
twitter:http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
facebook:http://www.facebook.com/ogawakazuhiro

MdN DIのトップぺージ