いま決済系ベンチャーがアツい!

いま決済系ベンチャーがアツい!
2013年06月24日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

いま、決済系のスタートアップが世界中で新たなサービスを立ち上げ、話題になっている。

代表的な例は、ジャック・ドーシー率いるSquareだ。彼らはスマートフォンやタブレット端末をオンラインPOSシステム付きの決済デバイスに変えてしまう、革新的な小型のアタッチメントとソフトウエアを発明すると同時に、簡潔な審査で誰でもその場でクレジットカードによる決済ができるようにした。

たとえば屋台でラーメンを食べた客が、小銭で払いたいのに1万円札しかなく、店主側も釣り銭が不足した場合、互いにちょっとしたトラブルに感じるだろう。Squareがあれば、客はクレジットカードで代金を即座に支払うことができる。つまり、日常的に行なわれている小口決済はたいてい現金で行なわれており、カード決済ができない店舗はまだまだ多いことに目を付けたSquareは、それらの商取引のあり方を革新しようとしているわけだ。

このスマートフォンなどに設置するアタッチメントとソフトウエアによるカード決済というソリューションは、効用に気づけば誰でもつくれるので、既存のオンライン決済大手であるPayPalや、日本でもコイニーがクローンサービスをつくり出している。しかし、Squareはアタッチメントなしで、Wi-Fi経由で個人認証と決済を行なうSquareウォレットという新サービスをローンチして、さらに一歩先を行っている。

このように、Squareはリアル店舗などで行なわれている小口決済の電子化に取り組んでいるわけだが、すでにオンラインで行なわれている決済においても、革新を目指す企業が現れはじめている。

たとえば米国に本社を置く邦人ベンチャーのfluxflexは、言語やOSに依存しない決済API「WebPay」をリリースしている。WebPayを使えば、iOSやAndroid、Windowsなどのモバイルアプリ内課金でも容易にクレジットカード決済サービスを実装することができるという。

また、最近10億円の大型調達を行なったことで話題になったメタップスは、決済手数料ゼロで、しかも1分で実装できるという新決済サービス「spike」をベータローンチしている。既存の決済サービスプロバイダのソリューションを使う場合、決済トランザクションごとに売上の約3%プラス30円程度の手数料を支払わねばならない。つまり、ある程度粗利益率が高い商材でなければEC化したときに、十分な利益を確保できない。spikeは、初期費用も月額費用もかからず、こうした手数料も一切かからないという。運営会社であるメタップス自体のマネタイズ手段については現状よくわからないが、いずれにしても、決済をデジタル化したり簡便化したうえで、いっそうの普及をビジネスモデルとするベンチャー企業が、今年に入って急速に勢いを得ている。ぜひ注目してもらいたい。


Square




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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