自社サイトがスマートフォン対応していなければ転職を考えるべき?

自社サイトがスマートフォン対応していなければ転職を考えるべき?

2014年01月14日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

直接業務に関係ない娯楽サイトを、社員が閲覧できないように制限している会社は多い。結果として、社内でそうした記事を見たいと思えばスマートフォンで閲覧することになる。

多くの社会人は日中は働いている。業務は基本的にPCで行ない、娯楽サイトによる気分転換はスマートフォンで行なう。だからFacebookやTwitterといったソーシャルメディアのほか、ECサイトやニュースサイトはモバイル経由のアクセスが急増していることは当然の結果といえよう。実際僕が運営しているソーシャルネットワークプラットフォーム「Revolver」のトラフィックも、いまや82%がモバイル経由となっている。

誤解されがちなのは、現在のモバイルインターネットはアプリ経由のトラフィックが多いからといって、「WebサイトはPC」「モバイルインターネットはアプリ」と切りわけて、スマートフォンへの最適化を軽視してしまうことだ。

実際、インターネットをベースに事業を成立している企業の多くは、自社サイトをスマートフォンに最適化していない。スマートフォンユーザーはピンチアウトで見るだろうとPCサイトのまま放置しているのか、それともモバイルインターネットは所詮アプリ経由なのだと重要性に気づいていないのかはわからない。たぶん両方なのだろう。「ソーシャルメディアマーケティングの提供」と謳っている企業でさえも、結構な割合でスマートフォン最適化をしていないのだから笑える。

僕はここではっきり言っておきたいのだが、2014年になってもスマートフォンに自社サイトを最適化していない企業にお勤めの方は、いますぐ転職したほうがよい。そんな鈍感な経営者は信頼するに値しないからだ。

前述のように、業務用PCで自由にインターネットを閲覧できない社会人は多い。だから必ずスマートフォンを使う。スマートフォンを使う理由は、スポーツやニュース、個人的な趣味の情報の取得や、物品を購入するためだ。もちろんゲームはSNSで時間つぶしをするということもある。とにかく、業務以外の関心事に対して、インプットするのもアウトプットをするのもすべてスマートフォンだ。その結果、インターネット上のトラフィックはモバイルを中心に成長しており、その傾向はとどまることがない。

検索エンジン対策をSEOというが、ソーシャルメディア経由のトラフィックを自社サイトに誘導する対策をSMO(ソーシャルメディア最適化)という。しかし、いまやSMOは、むしろソーシャルメディア&モバイル最適化と呼ぶべき構造になってきた。ソーシャルメディアの利用者はモバイル上にいるからだ。

O2Oやオムニチャンネルを気にしたり、若者の関心を惹き付けたいと思うのであれば、まずは自社サイトのSMO(繰り返すがソーシャルメディア&モバイル最適化)を一刻も早く行ない、そのトラフィック構造を研究しつくすことが重要なのだ。その事実に対して、みなさんの企業のトップが鈍感でないことを祈るばかりである。






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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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