iPhone6は再び衝撃を与えてくれるか?(前編)

iPhone6は再び衝撃を与えてくれるか?(前編)

2014年09月08日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

iPhone6の発表が、いよいよ今週に迫った。iWatchも楽しみであるが、現実にはやはり、コモディティ(日用品・汎用品)化してしまったスマートフォンをAppleが再び魅力的なプロダクトにしてくれるかどうかが、大きな関心事だと思う。

現時点で耳にする噂は(ジョブズ亡きあとのAppleでは、関係者のリークは日常茶飯事になっており、単なる噂に留まらないことが多いが)、4.7インチと5.5インチの二種類の画面サイズが用意されているらしいこと、近距離無線通信技術(NFC)が搭載され、日本国内ではメジャーになっている「おサイフケータイ」が利用可能になるらしいこと、カメラ機能が向上して手ぶれ補正や最近人気のタイムラプス撮影が可能になるらしいこと、などが挙げられる。

このうち、サイズの大型化はまず確実と思われる。ライバルであるAndroid搭載スマートフォンのほとんどが大型化しており、市場全体もより大きな画面を求める声が大きいからだ。二種類のサイズを出すことに僕は賛成できないが、それでもおそらくは噂どおりのサイズ違いモデルが発売されるだろうと思う。

NFC搭載もありそうだ。iPhoneは世界全体の市場では売上こそ好調だが、シェアは下降気味だ。その中で日本だけは突出して大きなシェアを維持している。だからこそ、日本国内でおサイフケータイに対応することができれば、Androidの追撃をおさえこむ良い武器になる。

オンラインサービスとの連携はどうだろうか? これまでメジャーアップグレードの際にはTwitterやFacebookとのOSレベルでの連携が話題になってきたが、カメラ機能が向上し、タイムラプスなどの動画撮影機能が追加されるとすれば、それをスムースにアップロードする場所が重要になる。SnapchatやInstagramなどとの直接的な連携が進むことはないのだろうか。

iCloudのハッキング? によるセレブのプライベート写真の流出が話題になっており、ネガティブなポジションにいるAppleだが、オンラインサービスとのゲートウェイとしてのスマートフォンの新しい使い方を提案してほしいものだ。

そのほか、非接触型のワイヤレス充電や、iWatchやMac、iPadなどの新旧デバイスの中核としてのありかたの提示など、新しいデジタルハブ戦略の最重要機器としてiPhoneが担う役割は大きい。逆にいうと、今回のiPhone6でその未来と新奇性を明確に市場に訴求できない場合は、やはりAppleはふつうの優良企業になったのだというレッテルを貼られたままで、大きくファンの期待を裏切ることになるだろう。

後編はこちら>iPhone6は再び衝撃を与えてくれるか?(後編)






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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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