日本国内のキュレーションメディア市場(前編)

日本国内のキュレーションメディア市場(前編)

2015年02月23日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)


nanapi
http://nanapi.jp/


iemo
http://iemo.jp/


MERY
http://mery.jp/


4meee!
http://4meee.com/

オンラインメディアの動向調査で定評あるブログメディア「メディアパブ」の2015年2月12日の記事(http://zen.seesaa.net/article/413904422.html)によると、バイラルメディア、もしくはキュレーションメディアとよばれるデジタルメディアに集まったベンチャーキャピタル(VC)の資金は「昨年(2014年)は世界で少なくとも6億8300万ドルに達したようだ。一昨年の2億7700万ドルに比べ、2倍以上もニュースサイトなどに資金が注入された」(メディア・パブ)という。

出資額の大きさでは比べようがないものの、日本国内においても、これらの新興メディア企業への期待値は高まっている。

2014年10月には、KDDIが生活情報サイトのnanapi(http://nanapi.jp/)を買収(買収額は非公開だが、30~40億円ではないかとの推測がインターネット上で飛び交っている)した。

さらに2014年10月にはディー・エヌ・エー(DeNA)が、住まい・インテリア情報サイトのiemo(http://iemo.jp/)とファッション情報サイトのMERY(http://mery.jp/)を総額50億円という巨資を投じて買収した。

2015年に入っても、DeNAが学生・読モ情報サイトの4meee!(http://4meee.com/)などを運営するロケットベンチャーを6億円で買収したように、先行してIPOをはたして次のトラフィックマシンを必要とするインターネット企業が新興メディア企業を買う、という図式はしばらく続きそうである。

女性向けファッション、住まい情報など、比較的参入障壁が低そうな領域での買収が続いたので、いまからメディアを立ち上げて二匹目、三匹目のドジョウを狙うベンチャーは、参入するべき新しい領域を血なまこで探している状況だろう。

日米の違いは、アメリカではVCが純投資でメディアをさらに急成長させようとするのに対して、日本国内ではメディア側が早めに手を打って大企業の傘下に入ろうとしているということだ。

これは旧来の新聞や雑誌などのメディアの失速が著しいアメリカと、産業としての規模が停滞しているものの、まだまだ余力がある日本との、環境の違いを示しているといえるかもしれない。

とはいえ、メディア事業が大きく注目を浴びていることはまちがいない。同時にYouTuberらを多く抱えて、インターネット動画CMを量産できるような動画コンテンツプロバイダへの資金流入も目立ってきているが、彼らへの期待値と、前述のデジタルメディアへの期待値にはシナジーがある。なぜなら、動画コンテンツの配信者と、動画コンテンツを表示できるメディアとは相性が良いからである。




■著者の最近の記事
ついにAppleがEV事業に参入か?
出版社が紙からデジタルへ移行するために必要なこと
プラティシャーへのシフトを強めるYouTube
ビジネスSNSへと踏み出したFacebook
イマーシブメディアの勃興はあるか
2015年のトレンドは?―テキストvs画像vs動画、そしてWebvsアプリ
正月に見た、Instagramのピークタイムの兆し




[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
twitter:http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
facebook:http://www.facebook.com/ogawakazuhiro

MdN DIのトップぺージ