Facebookを味方にしたいWebサイトのためのグロース術(1/2)

Facebookを味方にしたいWebサイトのためのグロース術(1/2)

2015年05月25日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)



前回、Facebookが進めるInstant Articlesがいかにメディアビジネスにとって危険かを書いた(参考:Facebookがメディアを殺す日―Instant Articlesの衝撃)。しかし同時にFacebookは、現状多くのメディア運営者にとって、トラフィックエンジンとしてどうしても味方につけておきたい相手である。そこで今回は、Facebookを使ったメディアのグロースハックを論じてみたい。

たとえば僕が運営するいくつかのメディア(自社運営、他社運営、共同運営の3つのタイプがあり、現時点で13メディアある)では、おしなべてFacebookからのトラフィック流入が70%を超えている。もっと言うと、m.facebook.comがそのうちの90%だ。つまり、60%以上のトラフィックがFacebookアプリから流入していると考えられる。

モバイル率は平均して70~80%だから、モバイルユーザーのほとんどがFacebookアプリ経由で運営メディアを訪れていることになる。この背景にあるのは、
・現代のネットユーザーはPCよりモバイルでインターネットを使う
・モバイルユーザーはWebブラウザよりアプリ、しかもゲーム以外はSNS系アプリを多用する
・InstagramやTwitterはおもに発信で使われており、受動的なニュース購読にはFacebookが使われている
・Facebookに流れてくる情報は、たいていWebメディアのリンクを有している
という状態だ。

そして、Facebook経由のトラフィックは
1. メディアの訪問者がシェアすることで拡散
2. メディア側が積極的にFacebookページにコンテンツを流すことで拡散
の2通りがあり、その後リンクをクリックしてインバウンドすることで発生している。

となると、大事なことはふたつ。正しいコンテンツのつくり方と、コンテンツの拡散のさせ方だ。今回はまずコンテンツのつくり方について説明し、次回で拡散のさせ方を解説する。

まずもっとも重要なことは、「スマートフォン上で見えやすいコンテンツをつくる」ことだ。僕の経験上、iPhoneで縦に3回スクロールさせる程度の長さがちょうどよい。1~2回だとちょっと物足りなく、4回以上だと長すぎる。字数は写真や動画などの置き方で変わるのでなんともいえないが、感覚的にその長さに収まるようにつくるとよいだろう。字数よりも、画像や動画などの非テキストコンテンツとテキストの割合や、その結果のコンテンツ全体のサイズ感を大事にしてくほうが良いと思う。

次に、「FacebookのOGPに対応させ、シェアされたときに、できるだけ大きな画像がニュースフィードに表示されるようにする」ことだ。これも経験則になるが、Facebook上で表示される画像は、縦長(ポートレート)より横長(ランドスケープ)のほうが大きく表示されるので、結果的にクリック率を高める。

いまどきの女子は、スマートフォンの横持ちを嫌う。ゲームをやっているように見られるのが嫌だから、だそうだ。だったら写真は縦持ちのときに見やすいポートレート型のほうが良いと思うが、それは自社メディア上での話だ。Facebookのニュースフィードに表示されるOGPの画像は、横に長いほうが良い。

僕は、ほかにもスマートフォン上でのフォントサイズを、これ以上大きくするとダサい、と若者に思われそうなところのギリギリまで大きくしている。いまの日本の平均年齢は40歳を超えているという。つまり老眼である可能性が高いから、大きいほうが見やすいわけだ。また、画像は横幅いっぱいに表示し、一覧性を高めている。ひと昔前に朝日新聞が新聞の印字サイズを大きく見やすくしたというキャンペーンを打っていたが、それと同じ理由だ。見ているデバイスの画面の大きさ、みている人のコンディションを考えていくことも重要なのである。

後編はこちら>Facebookを味方にしたいWebサイトのためのグロース術(2/2)




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
twitter:http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
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