Facebookを味方にしたいWebサイトのためのグロース術(2/2)

Facebookを味方にしたいWebサイトのためのグロース術(2/2)

2015年05月25日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

前回の記事はこちら>Facebookを味方にしたいWebサイトのためのグロース術(1/2)



今回は、Facebookを使ったWebサイトのトラフィック向上戦略について説明しよう。Webサイトのトラフィックの成長を期する、いわゆるグロースハックには

・SEO(検索エンジン最適化)によるもの
・SMO(ソーシャルメディア最適化)によるもの
・自社コンテンツの質・量によるもの

の3つがあるが、今回はSMOに焦点を当てる。SMO≒Facebookの有効活用といってよい。

いまやFacebookは、Googleをはるかに超えるトラフィックエンジンだ。なぜFacebookがGoogleよりもすぐれた送客パワーをもつのかというと

・Facebookはモバイルを主体としたサービスへと変化した
・モバイルユーザーはあまり検索しないから、Googleのプレゼンスが下がる
・モバイルユーザーはゲーム以外ではFacebook、Instagram、TwitterなどのSNS的サービスか、LINEやWhatsAppなどのメッセンジャーアプリを多用し、ニュースなどの情報もそれらのアプリ上で確認する
・Facebook以外は特定多数の友人に情報を拡散するという機能に重きをおいていない。逆にFacebookではそれが中心の機能となる

といった背景があるからだ。

さて、具体的な方法を紹介しよう。

1. Webサイトにソーシャルボタンを設置
Facebookのシェアボタン、TwitterのRTボタンをつける。これは最低限の作法と思ってほしい。どのような経路をたどってきたかは別として、あなたのWebサイトを訪れたユーザーがあなたのコンテンツを気に入り、それをほかの人に教えたくなったとして、そこにシェアボタンがなければ、ユーザーが寄せてくれた好意は泡となる。良いコンテンツをつくったら、訪問者にシェアしてもらうことを期待しよう―いや、うながそう。

2. Facebookページを開設しよう
あなたのWebサイトのコンテンツをFacebook上で拡散するには、訪問者にシェアしてもらうか、自分からFacebookにリンクを投稿するほかない。あなた自身のFacebookアカウントでシェアするのも手だが、やはりFacebookページを開設して、それを通じてリンクを投稿したほうがよい。ただし、Facebookページに「いいね」がいくつつくかを目標にしてはいけない。あくまで投稿したコンテンツのリンクをクリックしてもらい、どれだけ自社サイトに訪問してもらうかを重視しよう。

3. Facebookページを活用する
前述したように、最重要のKPIは、投稿した記事のリンクをクリックしてもらい、実際に自社サイトに引き込んだPV数だ。しかし、そのPV数を最大化するためには、やはりFacebookページの「いいね」数は多いにこしたことがない。また、投稿したコンテンツに「いいね」がたくさんつけば、それだけ「いいね」を押したユーザーの友人たち(あなたのFacebookページに「いいね」を押していない人も含まれる)にコンテンツが拡散するからだ。つまり、Facebookページに投稿した記事がリーチする数が増える。

僕の実験では、Facebookページの「いいね」数の30%程度が記事あたりのオーガニックなリーチ数の平均であるようだ。その記事に「いいね」を押す人の割合はリーチ数の5%程度、シェアはもっと少なくて1%程度だ。そして、肝心のリンクをクリックする確率は3~10%の間である。

さらにいうと、「いいね」を押すコンテンツとリンクをクリックするコンテンツは、やや違う傾向にある。そのコンテンツのリンクを開くということは、ほんとうにそのコンテンツに興味があるということだ。同時に、その行為はほかのユーザーにはわからない。仮に多少不道徳なコンテンツであったとしても、中身を見たことはほかのユーザーには知られないから、スパムではないとはっきりしてさえいれば、安心してクリックする。しかし「いいね」を押すことは、ほかのユーザーに消極的ではあるがそのコンテンツを紹介することになる。あなたがそのコンテンツに興味があることを周囲に公言することになるのだ。だから、コンテンツをFacebookページに投稿するときは、「いいね」狙いなのかダイレクトにコンテンツに引き入れたいのか、明確に分けて考えたほうがよい。

次回はFacebookページの使い方のうちの、コンテンツのつくり方と、Facebook広告の運用の基本的な考え方を紹介する。




■著者の最近の記事
Facebookを味方にしたいWebサイトのためのグロース術(1/2)
Facebookがメディアを殺す日―Instant Articlesの衝撃
コンテンツマーケティングの基本に忠実なネイティブアドを作れ!
Apple Watchを買いたくなるような使い方を考えてみた
Instagramとマドンナが大喧嘩――ソーシャルの世界が窮屈に?
僕がApple Watchを買わない3つの理由
Googleに愛されるWebサイトづくりに必要な3つのこと




[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
twitter:http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
facebook:http://www.facebook.com/ogawakazuhiro

MdN DIのトップぺージ