オウンドメディアにユーザーを呼び込むFacebook広告活用法

オウンドメディアにユーザーを呼び込むFacebook広告活用法

2015年06月08日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)


MdN Design InteractiveのFacebookページ
https://www.facebook.com/mdnjp

前回まで述べてきたように、昨今はAdSenseを使う以上にFacebookをうまく活用して、自社サイトにトラフィックを引き込むことが重要になっている。なぜならば、

・最近はPCをもっていないモバイルオンリーユーザーが多い
・モバイルオンリーユーザーはあまり検索をしない
・モバイルオンリーユーザーはゲーム以外では、Webブラウザをあまり使わない
・モバイルオンリーユーザーはソーシャル系アプリを多用し、しかもアプリ上で偶然見つけたコンテンツを消化する
・その中でも特にFacebookが最大のトラフィックをもっている

からだ。つまり、Facebook上で読者に見てもらえるコンテツをつくり、シェアされやすい写真または動画と見出しを用意することが大事になっている。今回はさらにユーザーを呼び込むコツのひとつとして、Facebook広告の活用法をご紹介しよう。

1. Facebookユーザーにコンテンツをリーチさせるコツ
まず第一に、Facebookページを作成する。Facebookページがなければ、企業がFacebook広告を使うことは事実上できない。

次に、自社サイトのコンテンツを自分たちが管理するFacebookページに投稿する。実際にはWebサイトのURLを貼り、そのうえで見出しを書く、という行為になる。

大事なことは、リンク先の画像ができるだけ大きく、見やすく表示されるようにOGPを工夫すること。また、単にリンクを投稿するのではなく、見出しとなるようなテキストを添えることだ。このテキストは、長すぎてはならない。たとえば「続きをみる」というテキストボタンが出てしまう文量はやめたほうがよい。なぜなら、「続きをみる」ことによって、ユーザーはすでにワンクリックしている。その先のリンクをクリックするにしても、いいね!をクリックするにしても、シェアをするためにクリックするにしても、貴重なワンクリックをすでに消化してしまっているからだ。

ニュースフィードに全文が見えて、シェアしたコンテンツのURLをクリックしてくれるか、せめていいね・シェアをしてくれるようにすることが目的なのだということを肝に銘じよう。僕の経験では、デスクトップ上のニュースフィードに表示された場合、3行くらいのテキストが見出しとして最適なようだ。

2. Facebookページへのいいね!を増やすことが目的にならないように
Facebookページのコンテンツをユーザーのタイムラインに表示させることは、じつはとても難しい。基本的にコンテンツは、Facebookページのいいね!を押してくれたユーザーに届くが、無数のコンテンツの中で、限られたニュースフィードの枠内にリーチできるのはほんの数パーセントにすぎない。

Facebookページにいいね!が数十万もついていれば、自動的に数十万人に自社のコンテンツがリーチしていると思いがちだが、実は相当に間引かれているのだ。Facebookページのいいね!数を増やすために広告費を使うことは悪くないが、あまりこだわらないほうがよいと考える。

僕の場合、2~3万いいね!がついたら、あとは記事のURLをクリックしてもらうことを優先した。逆にいえば、Facebookページさえつくってしまえば、ページ自体のいいね!数が仮に1000しかなくても、Facebook広告を使うことでリーチ数は増やせる。広告であれば、リーチする対象はいいね数と関係がないからだ。Facebookページへのいいね!を増やすコストよりも記事へのクリックを増やすコストのほうが安いので、どうせなら記事への直接リーチを優先したほうがよいというのが、僕の考え方である。

ただし、せっかくつくったFacebookページのいいね!数が1万にも満たないようでは、見ばえが悪いというのはある。だから2~3万いいね!を得るまでは、ある程度記事への流入よりページの認知度向上を優先していく、というのが実践的であるかと思う。

3. 記事ごとに広告を使いわける
僕がオススメするFacebook広告の使い方は、記事ごとへの広告投入だ。まず記事をシェアしてFacebookページを介してオーガニックなリーチ(つまりそのページにいいね!をしてくれているユーザーへの自然にリーチ)する数を計測して指標をつくる。

最初はまず、記事を投稿したのち数時間(業務時間内と思ってくれればよい)に、どれだけのリーチがあったかをKPIとした。最初は500のオーガニックリーチを指標とし、サイトが成長するに従って1000リーチ、2000リーチと上げてきた。もしくは投稿後1時間以内のリーチ、という指標でもよい。そのコンテンツがターゲットに届き、どういうエンゲージメントを得るかをそのタイミングで見る。一定時間内のオーガニックリーチの数を見て、広告を出すかどうかを決める。

最初に貼るのは数百円から数千円の間だ。その広告が1~2日でどのくらいの効果を生むかを見て、今度は実際の記事へのクリック数を見る。たとえば500PVなのか1000PVなのか、自分たちが目標とするところで線を引く。最初の予算投下でその線を越えれば追加予算を投入するし、越えなければそのまま広告を終えればよい。

このやり方を1カ月も続ければコツがわかってきて、どんなコンテンツが多くのユーザーにリーチして、さらにどういう見出しや写真が記事元へたどり着きやすいかがわかってくるのだ。

逆にいえば、Facebook広告をうまく使いながら、コンテンツそのものの質向上を研究していく、というのがほんとうの狙いだと考えていただきたい。




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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