いま話題のマストドン、その特徴から使い方まで(後篇)

2017年4月21日
TEXT:編集部

新しいSNS「Mastodon(マストドン)」が、先週頃から大きな注目を集めている。ポストTwitterと俄かに騒がれ始めて1週間。新しいもの好きで、飽きやすくもあるネットユーザーは、どのようにマストドンを活用しているのだろうか。前編に続き、いまネットの世界を駆け巡っている話題のサービス「Mastodon」について、基本操作や注意点などを編集部でまとめてみた。

「いま話題のマストドン、その特徴から使い方まで(前編)」はこちら

▷マストドンではツイッターが抱える課題をクリア
マストドンが持つ分散型システムというスタイルは、Twitterの問題点を解決できるとRochko氏は主張する。それはつまり、ユーザーのアカウント情報や会話などのコミュニケーション情報などが一つの企業に独占されることがなく、誰からも干渉されないマイクロブログを楽しめるからだ。

投稿の公開範囲

また細かい仕様で言えば、マストドンの場合、投稿にあたる「トゥート」は、「トゥート」ごとにプライバシー設定することが可能で、公開タイムラインに投稿する「公開」、公開タイムラインに表示しない「未収録」、フォロワーだけに公開する「非公開」、メンションしたユーザーだけに公開する「ダイレクト」の4つから選べる仕組みになっている。
ツイッターに比べ、このあたりの使い勝手も気が利いていると感じさせる。

そのほか、ユーザーの閲覧環境や嗜好の違いに対する配慮する機能も充実していて、テキストで「閲覧注意」(CW=Content Warning)と表示したり、「閲覧注意」の部分は「蓮コラ注意」や「飯テロ注意」などのオリジナルワードに変更することもできる。

さらに画像に関しても、不適切なコンテンツには「閲覧注意」ボタンと表示させることが可能なため、投稿に画像を選択するとNSFW(Not Safe For Work)、つまり「職場で見るには危険」という選択が現れ、見る人に対して「自己責任で見て下さい」という意味の注意を促すことができる。ほかにも、広告や行動追跡(トラッキング)がない点もマストドンの特長としてあげられるだろう。

▷マストドンというオープンなSNSを利用する上での注意点

マストドンの特徴である誰でもインスタンスを立ち上げて、ユーザーを集められるという点は、悪用される危険性も孕んでいる。悪意あるユーザーによって運営されるインスタンスが、ユーザー名やメールアドレス、パスワードなどの個人情報を裏で売り飛ばす可能性はゼロではないし、個人によって運営されるサーバーのセキュリティがどこまで安全なのかは未知数だ。

また、インスタンスによっては他の国の法律的に認められないコンテンツを多く含む場合があり、他のインスタンスとの連合が成立せず、クローズドなつながりのみとなる可能性がある。さらに、マストドンのデフォルトの機能にアカウント削除機能がない点も問題視されている。

ユーザーからは、2016年10月の時点でアカウント削除についての公開質問が開発者のEugen Rochko氏に対して投げかけられているが、同氏は削除するアカウントのユーザー名がすぐに新規登録されるのを防ぐために、アカウント情報の保持などの必要があり、その手間を考えるとアカウント削除機能の実装について否定的で、質問から7ヶ月たった今もアカウント削除機能は無いままとなっている。

Rochko氏による回答


▷世界で最も盛り上がる日本での今後の展開
もともと五七五といった俳句など、文字制限の中で独自で豊かな表現を得意とする日本人は、この手のサービスに向いた属性を持っていると考えられている。140文字のTwitterでも「バルス」一斉ツイートなどの独自の遊びを生み出して楽しんできた。そこに500文字のマストドンが登場し、新しいテクノロジー、デザイン、コミュニティが好きなインターネットの住民は、今、こぞって参加しているのが現状だ。
実際、1000以上あるマストドンのインスタンスの中で、世界最多となる7万人以上が登録しているのはpixiv(ピクシブ)が運営する「Pawoo」であり、約6万8000人で2位となっている「mstdn.jp」も、日本インスタンスとして最初期に立ち上げられた個人の学生が運営するインスタンスだ。
インターネットの住人や日本人の特徴として、熱しやすく冷めやすいという共通点があげられるが、久々の新しいSNSに沸くホットな状態がどこまで続くのか、気になるところだ。これから数ヶ月経ってみて、その熱が冷めるのか、それとも本当にポストTwitterとしての地位を確立しているのか、今後の展開について注目していきたい。

[マストドンの基本用語]

マストドンのマスコット

・マストドン(Mastodon)
Eugen Rochko氏はアメリカのプログレッシブバンドMastodonのファンであり、そこから中新世から更新世にかけて全世界に生息していたゾウやマンモスと似た大型哺乳類Mastodonに興味を持ち、新しいSNSのサービス名としてマストドンを選んだ。

・トゥート(Toot)
投稿のことは吠えるという意味のトゥートと呼ばれる。マンモスの声ならば吠えるという響きは適当であるし、Twitterのツイートと上手く語感も合わせている。一方、Twitterの140文字という文字制限に対し、マストドンは1投稿で500文字まで入力できるという点で大きく異なる。

・ブースト(Boost)
Twitterのリツイートはブーストと呼ばれていて、Twitter同様拡散力の強い機能となっている。マストドンを利用する上で覚えておきたいワードは上記のトゥートとブーストの2つが基本となっている。ほかの用語、返信(Reply)、お気に入り(Favorite)、フォロー(Follow)、タイムライン(Timeline)などは同じなので、Twitterを使っているユーザーならば、ほぼ違和感なく始めることができるだろう。
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