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いまどきのホスティングサービス 賢い選び方


クラウドサービスが話題を集めるいっぽうで、共用サーバ・専用サーバともに低価格化・セキュリティ強化などの多彩なニーズにあわせて展開されている既存のホスティングサービス。サーバアウトソーシングの選択肢が増えるなか、ユーザーはいまどのような選択をするべきなのかを考えてみよう。(文=片岡義明)



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■低価格化が進む共用サーバ セキュリティでの差別化も

企業のコスト意識が高まるなか、ホスティングサーバの価格競争はますます激しさを増している。とくに共用サーバは低価格化が著しく、ビジネス向けサービスでも個人向けサービスに迫る価格のものが登場している。いっぽう、安易な価格競争には走らず、共有数を減らしてパフォーマンスを確保しているホスティング会社もあり、サービスの品質や内容は各社で大きく開きがある。企業のWebサイトに使うのであれば、単純に価格だけで決めるべきではなく、そのサービス内容を十分に吟味する必要があるだろう。

サービス内容として重視すべき点のひとつにセキュリティ対策が挙げられる。近年、マルウェア(不正な動作を行う悪意のあるソフトウェアの総称)感染や、それに伴う情報漏洩事件が報道を賑わせているが、このような脅威への対策は企業の信頼に関わることだけに最優先課題だといえるだろう。

(株)ハイパーボックスは2010年末、セキュリティに特化した共用サーバサービス「ドメインキーパー 4 Stars Server」を新たにリリースした。同サービスはマルウェア検知などのセキュリティ機能を標準搭載しながらも月額1,260円のワンプライスという低価格を実現。セキュリティは問題が起きたあとでは遅いだけに、サーバ契約時から対策を始めることが重要だ。つい月額料金の安さばかりを優先させてしまいがちな中小企業に、セキュリティへの注意を喚起させるサービスだといえるだろう。

共用サーバはここ数年でかなり低価格化が進んだが、これからは「4 Stars Server」のように、価格だけではなく品質や機能に特色を持たせることで、他社との差別化を図る動きが活発化していくと考えられる。ユーザーとしては価格だけに注目するのではなく、サービスの内容までをも含めて考えることで、Webサイトの規模や利用目的に応じて賢く選択する必要がある。


ホスティングサービスのセキュリティ対策
ホスティングサービスのセキュリティ対策(クリックで拡大します)


■クラウドが本当に必要かを見極めることが大事

一方、専用サーバについてはクラウドサービスの台頭により、これまでとは違った新たな動きが起きつつある。パブリッククラウドサービスのメリットは、初期投資をかけずにスモールスタートが可能なことや、アクセスの一時的な増加など、サーバへの負荷の変動に合わせてリソースを柔軟に変えられることだ。既存のホスティングサービスが提供する専用サーバの場合は、最大負荷を予想して設備を準備し、それを維持し続ける必要があったが、クラウドサービスならCPUやメモリをすばやくスケールアップ/ダウンすることが可能で、その自由度はVPSよりも高い。

しかし、だからといってすべてをクラウドに切り替えるのが得策というわけではない。パブリッククラウドサービスの多くは従量課金制であり、トータルでは従来の専用サーバのほうが安く済むケースも少なくないからだ。たとえばプロックスシステムデザイン(株)がリリースした新サービス「E-server Neo」では、高性能CPUと大容量メモリを搭載しながらも月額7,245円という安さを実現している。

最新のサーバマシンを使うことでこのような料金設定が可能となったわけだが、ハードウェアの進化により今や専用サーバの低価格化はかなり進んでいる。確かにクラウドのようにリソースをスピーディーに増減させられるのは便利ではあるが、まだクラウドサービスの価格相場が完全に固まっていない状況なだけに、そこまでの柔軟性が果たして必要かどうかはしっかりと見極める必要がある。



サーバ構成の違い
サーバ構成の違い


■安定したパフォーマンスが既存サービスの魅力

クラウドサービスによっては、ネットワーク回線に遅延が発生したり、ディスクアクセスが遅くなったりするトラブルも報告されている。サーバや回線のパフォーマンスを考えると、従来の専用サーバやVPSが持つ安定性は何物にも代え難い。100Gbps以上の大容量バックボーンを持つ(株)KDDI ウェブコミュニケーションズの「CPI」のように、品質を重視したホスティングサービスへのニーズは依然として根強いのだ。同社は新サービス「マネージドプラン」をリリースするにあたって、従来よりもCPUやディスク容量を柔軟に変えられるようにした。サーバスペックが固定化されることなく、自由度が高まったことで、従来のマネージド・サービスに比べてかなり利用しやすくなった。
操作ツールも同社が独自に開発したコントロールパネルを採用しており、初心者でも迷うことなく気軽に運用できるのも魅力だ。

また、(株)シーズが運営するシーズホスティングサービスのマネージド・サービスには、ユーザーがメールアカウントの設定などの簡単な作業を行う「ライトマネージドプラン」と、運用をすべて任せられる「マネージドプラン」の2種類が用意されている。「マネージドプラン」ではユーザーはコントロールパネルを操作する必要はなく、電話かメールでリクエストするだけでプロのエンジニアが対応する。使いこなすためには高度なノウハウが必要となるクラウドサービスに比べて、初心者でも利用可能な同サービスの敷居は極めて低い。



一般的なマネージドとセルフマネージドの違い
一般的なマネージドとセルフマネージドの違い


■クラウドと従来型の使い分けが重要

このような時代においては、クラウドと既存のホスティングサービス双方のメリットとデメリットをよく理解した上で、うまく使い分けることが重要となる。ホスティングサービスの中には、そのようなクラウドの使いこなし方までサポートする会社も登場した。「クラウド運用代行サービス」を提供する(株)スカイアーチネットワークスだ。

同サービスは「AWS」や「ニフティクラウド」などのパブリッククラウドサービスに対応した運用代行サービスで、運用だけでなく手厚い導入支援も行っている。顧客の要件に応じてクラウドサービスと専用サーバとを組み合わせるハイブリッド構成や、パブリッククラウドとプライベートの組み合わせなど、最適な環境を提案する。同社もまたホスティングサービス会社として専用サーバや共用サーバを提供してはいるものの、自社のサービスを利用してもらうことにはこだわらず、あくまでも運用サービスを中心に据えているのがユニークなところだ。

同サービスの登場はこれからのクラウドの隆盛を予感させるが、クラウドが注目されている今だからこそ、既存のホスティングサービスの良さもまた改めて見直されている。エンドユーザーやWeb制作会社は、各サービスの特徴や価格をよく比較した上で、自分やクライアントの環境に最適なサービスをシビアに判断する必要があるだろう。


クラウドのポータルサイト「クラウド・クラウド」(http://www.crowd-cloud.net/)に掲載されている料金比較表。クラウドは従量課金制の場合が多い
クラウドのポータルサイト「クラウド・クラウド」(http://www.crowd-cloud.net/)に掲載されている料金比較表。クラウドは従量課金制の場合が多い。



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【いまどきのホスティングサービス 賢い選び方 目次】

>>> いまどきのホスティングサービス 賢い選び方
>>> シーズホスティングサービス
>>> CPI専用サーバ マネージドプラン
>>> スカイアーチネットワークス クラウド運用代行サービス
>>> ドメインキーパー 4 Stars Server
>>> プロックス E-server Neo
>>> このほかのおすすめホスティングサービス

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