デザインとグラフィックの総合情報サイト
[エムディエヌ・デザイン・インタラクティブ]

第1話 人の心を動かすインタラクティブ広告

特集記事

メイン写真  Webプロデューサー列伝 第22回 
メディアの枠にとらわれない
新しいコミュニケーションを切り拓く
スパイスボックス


スパイスボックス クリエイティブディレクター 神谷憲司(カミヤ ケンジ)


博報堂グループのインタラクティブ・エージェンシーとして、2003年に設立されたスパイスボックス。ネット上でのコミュニケーションプランニングのブレーンとして、これまでに多くの実績を積み重ねており、カンヌ国際広告祭銅賞、東京インタラクティブ・アド・アワードゴールドなど、国内外の広告賞受賞歴も多く、つねに注目を集める存在だ。同社でクリエイティブディレクターをつとめる神谷憲司氏に、スパイスボックスに入社するまでの軌跡から手がけてきたプロジェクトなどについて、じっくりとお話を伺った。



第1話 人の心を動かすインタラクティブ広告



ダムタイプとの出会い


――まず最初に、神谷さんがこの業界に入ったきっかけから伺っていきたいと思います。

神谷氏神谷●さかのぼると、高校2年生(1992年)のときに舞台芸術に魅せられたことがきっかけになります。当時、勅使河原三郎さん率いるKaras、山海塾、ピナバウシュ、Rosas、ウィリアム・フォーサイスなどのダンスを中心とした前衛的な舞台と舞台芸術に夢中になっていました。中でも、ダムタイプとの出会いは忘れられません。高校時代に見たのは「pH」という作品だったと思いますが、ダンス、映像、音楽、照明、建築あらゆる表現手法が融合していて、もはやダンスやダンサーの身体が主役ではなくて、空間そのものが主役になっていました。

そのダムタイプの作品作りの体制がとても特徴的で、ダンスだけでなく、美術、建築、作曲、プログラムに通じたメンバーがいて、多様なメディアを駆使した作品構築に参加するような形をとっていました。誰かが中心になって引っ張っていくというより、合議制で決まっていくという形ですね。その中にプログラマーがいるというのがとても衝撃的で、これからの表現というものはプログラム、テクノロジーを介在させることでもっと新しく強くなっていくという感じた瞬間でした。


――その後、大学で美術や演劇を専攻していたのですか?

神谷●大学はいろいろやりたかったので横断的にいろんな分野を勉強できる国際基督教大学に進学しました。そこで学問のかたわら、舞台をやってました。自分でダンスの作品を作って1年に2回くらいのペースで公演をやっていましたね。その後は、就職ということで広告の世界に入りました。


インタラクティブ広告とは……


――神谷さんがWebの魅力に目覚めたのは、いつ頃のことだったんでしょうか。

神谷氏神谷●ちょうど1998~1999年の頃でしょうか。じっくりWebに触れていくうちに、グラフィックやテクノロジーがミックスされた感じとともに、Webならではのライブ感に魅了されていきました。僕は、2005年まで葵プロモーションというCM制作会社にいて、そこのDC制作部というデジタルコンテンツをプロデュースする部門でプロデューサーをやっていました。僕が在籍していた当時、ある部分においてWeb広告はテクノロジー中心主義ともいうべき時代でした。新しい表現を、皆が我先に追い求めていて、話題性が最も重要視されていた風潮があったと思います。ただ、僕はテクノロジーがもたらす話題性という部分にはそこまで興味がなくて、新しいテクノロジーに人が触れた時に何を感じるかのほうが重要で、気持ちよさなのか、驚きなのか、新しいテクノロジーを使って、より強い身体感覚や感情を掘り起こすことに興味を感じていました。


――広告の世界に入った当初から、神谷さんはデジタルコンテンツ制作を中心にやっていらっしゃったわけですね。神谷さんにとって、“インタラクティブ広告”とはどういうものだと捉えていますか。

神谷氏神谷●僕個人としては、「人の心を動かす、人を動かす広告」ということですかね。インタラクティブというとデジタルのイメージがありますが、もちろん今のユーザーにとってデジタルの体験時間というのは非常に長いので、デジタルを使うことはとても重要ですが、人はメタバースに生きているわけではないので、デジタル以外のリアルな体験もとても重要です。それらを組み合わせながらユーザーにとってリアルな体験を作り、人の心を動かす、人を動かすというのがインタラクティブな広告に求められていると思っています。



(インタビュー/草野恵子 撮影/飯田昌之)



メイン写真 [プロフィール]
神谷憲司(カミヤ ケンジ)

CM制作会社葵プロモーションを経て、2006年にスパイスボックスに参加。KDDI「IS parade」や「million play hanabi」など、ソーシャルメディアを活用したキャンペーンを担当し注目を集める。最新作は三菱自動車の「i-MiEVねぶたPROJECT」。文化庁メディア芸術祭グランプリ、カンヌ国際広告祭銅賞、東京インタラクティブ・アド・アワードゴールドなど、国内外の広告賞受賞歴も多数。

URL http://www.spicebox.co.jp/
求人情報 http://www.spicebox.co.jp/about/recruitment/


[記事リンク]
>>> 第1話 人の心を動かすインタラクティブ広告
>>> 第2話 日本初のインタラクティブ・エージェンシー、スパイスボックス
>>> 第3話 Twitterを使ったプランニングで新境地を開く
>>> 第4話 産官学連携で行われたi-MiEVプロジェクト



twitter facebook google+ このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS