
この連載の初回を飾った馬場艦平さんのテーマ「ARとVR」の内容を受けて、この原稿を書こうと思う。
馬場さんが書いているように、今の時代を生きている僕たちは、いろいろな「自分」をデータベースに登録し、多数のアカウントにおける多数のアイコンとともに多数の「自分」を使い分けている。そして、多数の「自分」にひもづくさまざまな属性情報をデータベースに蓄積させている。それは、もっともベーシックな性別、出身地、居住地域のようなものから、友達リスト、フォロワーリスト、閲覧ページ履歴、位置情報のようなものまで実に多岐にわたる自分情報の塊となっている。
それをビジュアライズする試みがいろいろなカタチで試されている。昨年末にリリースされていた「IS Parade」は、その代表選手。Twitter登録者の属性情報のひとつとしてデータベースにたまっていくフォロワー情報をパレードインターフェイスに展開するアイデアは、Twitterという時代ツールの意味、そしてTwitterの象徴的機能であるフォロワーの意味を今までになかったかたちで体験させてくれるものだった。
「IS Parade」(http://isparade.jp/)
膨大に蓄積された個人の属性情報は、そのすべてが何がしかのカタチでその人をうつす鏡のようなもの。だから、そのデータビジュアライズは、その個人の存在に新たな光をあてるものになる。大げさに言えば、自分の存在確認を新たなカタチでさせてくれるものになる。ネットサービスが進化する中で、こうした属性ビジュアライズは、今後さらに掘られていく領域であることはまちがいない。
でも同時に僕たちは、その領域の深堀に慎重になる必要もある。公開されている属性情報とはいえ、その情報はアセンブルの仕方によっては、思いがけない個人像を浮かび上がらせることもある。本人が望まないビジュアライズをしてしまうこともある。利用するネットサービスの数が増えていけばいくほど、自分がどんなサービスに登録したのか、その全貌を把握しにくくなっている昨今。だれかの企画で、モンスターのような自分像がビジュアライズされてしまったらどうしよう……とあらぬ心配をしてしまうフクダなのでした。あ、別に悪いことしてませんから、ぜんぜん。
そういえば、今、六本木の東京ミッドタウンの「21_21DESIGN SIGHT」で「佐藤雅彦ディレクション“これも自分と認めざるをえない”展」をやっている。「属性」という情報のあり方にフォーカスをあてて体験展示を組み立てるという、たいそうユニークなエグジビション。それは、「属性」データを通して自分を見つめ直す機会を提供していると同時に、「属性」が自分自身から切り離されて一人歩きする社会が身近に迫っていることを警告する内容にもなっている。
21_21DESIGN SIGHT
「佐藤雅彦ディレクション“これも自分と認めざるをえない”展」
URL:http://www.2121designsight.jp/id/index.html

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