IoT家電やWebサイトなど、日常で触れるさまざまな場所でプログラミングの技術が使われている昨今。デザイナーやディレクターなどプログラマーと協業する立場の人も、プログラミングの考え方やできることを知っておくと、業務の上で役立つのではないでしょうか。
とはいえ、いきなりプログラミング言語を勉強するのはハードルが高く難しいという方にオススメなのが、楽しく遊びながらプログラミングの考え方を学べるスマートブロック「MODI」です。子どもや学生向けの学習教材ですが、プログラミング初心者の大人にもうってつけです。
モジュールでインプットとアウトプットを理解する
今回紹介するのは、スマートブロック「MODI」のモジュールとペーパークラフトを組み合わせた入門者向けのセット「MODI デザイナーキット+メイキングパック vol.1」です。
「MODI デザイナーキット」は、インプットモジュールとしてダイヤルとボタン、アウトプットモジュールとしてLEDライトとモーターセット(モーター2個、モーターコントロール)、充電式と電池式のバッテリー、ネットワークモジュールの6種9個と付属品がセットになっています。
「メイキングパック vol.1」には、ビンゴマシン、ルーレット、回転ペン立て、ゾートロープ(回転覗き絵)、LEDタイマー、ムードライト、LEDメトロノーム、金庫と8種類のペーパークラフトが入っています。
まずはシンプルな使い方として、プログラミングをせずモジュールだけを使い、プログラムの基本となるインプットとアウトプットの考え方を学ぶことができます。例えば、インプットとしてボタンを、アウトプットとしてLEDライトを、電源として充電式バッテリーを繋げただけで、ボタンを押すとLEDライトが点きます。
モジュールは他のモジュールと接続するための信号ピンの部分がマグネットになっていて、近づけるだけで簡単に接続することができます。モジュールがお互いの信号ピンで接続されていれば、どの順番で並べても同じように動作します。また、少し離して接続したい場合は、コネクタとコネクタケーブルで繋ぐこともできます。
バッテリーは充電式と電池式がありますが、単4電池2本を使う電池式バッテリーは電池の消費がとても早いです。公式によると電池の使用時間は15分〜最大4時間ほどとのこと。他のモジュールに接続していないときも少しずつ放電していくので、使用時以外は電池を取り外しておくといいでしょう。
アプリとペーパークラフトで楽しくプログラミング体験
プログラミングは、プログラミング教育の分野で広く使われている「Scratch」をベースに開発されたアプリ「Code Sketch」で行えます。タブレット専用で、iOSとAndroidに対応しています。
「Code Sketch」を立ち上げると、「ガイド」と「自由コーディング」という2つのメニューが表示されます。ペーパークラフトの作例にチャレンジするには「ガイド」を選び、次に「メイキングパックvol.1」を選択します。「メイキングパック」にはvol.2もあり、こちらはセットになるモジュールは同じですが、ペーパークラフトの種類が異なります。
続いて、ペーパークラフトの作例の中から、任意のものを選びます。今回はLEDタイマーにしました。ペーパークラフトやモジュールの組み立て、プログラミングの方法が動画で紹介されます。音声は英語ですが、日本語は字幕で表示されます。
続いて、プログラミングを行います。プログラミングとは、インプットが行われた際に「どういう条件ならどんなアウトプットを行うのか」といったことを組み立てていくものです。「Code Sketch」ではそうしたインプットやアウトプットの条件をドラッグ&ドロップで組み合わせていきます。例えばLEDタイマーでは、インプットにボタンとダイヤルを使い、ボタンを押した際にLEDライトが青く点滅し、ダイヤルのメモリ位置で設定した時間に達したら赤く光るというプログラムを組みます。
プログラムが完成したら、ネットワークモジュールによってアプリとモジュールをBluetooth接続し、組んだプログラムをモジュールへとインストールします。そうすると、プログラムした通りの動作をします。
また、インプットをボタンからネットワークボタンへと変更すると、「Code Sketch」内の「MODI Play」機能にあるアプリ上のボタンから操作できるようになります。「MODI Play」の機能単体でもiOSとAndroidアプリが用意されていて、こちらはスマートフォンでも使うことができます。
使い方やプログラミング方法を理解したら、アプリの最初の画面で「自由コーディング」を選び、任意のプログラムを組んでいくとよいでしょう。つくったプログラムは、「マイプロジェクト」というメニューに保存されます。注意点として、プログラムをインストールすると、最初に紹介したモジュールを繋げるだけの方法では動作しなくなるため、アプリからモジュールを初期化する必要があります。
プログラミングをC++で書き出す
「MODI」専用のプログラミング用アプリとして、「MODI Studio」も提供されています。こちらはタブレット用のiOSとAndroid、パソコン用のMac版とWindows版が用意されています。これらは日本語ローカライズされておらず、英語と韓国語のみの対応となります。英語にはなりますが、使い方はYouTubeの動画で紹介されています。
「MODI Studio」では「Code Sketch」同様に条件やインプット、アウトプットをドラッグ&ドロップで組み立てていくことでプログラムを組んでいきます。さらに「MODI Studio」でつくったものはプログラミング言語のC++で表示することができます。ドラッグ&ドロップで組み立てたものがどんなコードになるのか確認したり、C++を学んだ方はコードを直接書いたりするとさらに勉強になるでしょう。ここでは、ダイヤルの回転に応じて色が白、青、緑、赤と変化するLEDライトのプログラムをつくってみました。
つくったプログラムをモジュールへとインストールし、ペーパークラフトのムードライトと組み合わせてみました。
「MODI デザイナーキット」は入門者向けのセットのため、モジュールの種類が少なくできることが限られています。より深く学びたいという人には、インプットに赤外線や音声、アウトプットにスピーカーやディスプレイなど14種のモジュールがセットになった「MODI エキスパートキット」も販売されています。
まとめ
プログラミング言語を学ぶのはハードルが高く感じる。けれどプログラミングはどういう考え方で行い、何ができるのかを楽しく学びたいという方に「MODI」はオススメです。デザイナーやプロデューサーなど、自身はプログラミングをしないけれど、プログラマーと協業するような立場の人が知識として知っておくと、仕事上のコミュニケーションを取る上で役立つでしょう。また、近年は子どものプログラミング教育が盛んになっていますが、質問された際に困らないようにしたいという保護者にも強い味方となりそうです。
ただし、モジュールを使った物理的なインプットやアウトプットで学んでいくため、Webサイトのプログラミングにおけるインプットやアウトプットとは勝手が違ってきます。Web制作でのコミュニケーションをスムーズにしたり仕事の幅を広げたりといった目的で学ぶ場合は、さらにWebサイトやアプリにおけるプログラミングの知識も身につける必要があります。
「MODI」は韓国で開発されたサービスのため、一部のアプリや公式サイトが日本語ローカライズされておらず、アプリ操作などの情報収集がしづらいことが懸念点として挙げられます。また、ペーパークラフトを使うのに必須の「Code Sketch」アプリを利用するためにはタブレット端末が必要となります。そうした条件で問題ないかも、購入時の判断材料とするといいでしょう。
- DATA
製品名:MODI デザイナーキット+メイキングパックvol.1
実売価格:9,800円
発売元:株式会社A-YO商事
公式サイト:https://global.luxrobo.com/(英語、韓国語、中国語)
ECサイト:https://store.makuake.com/products/8034847555808
- 平田順子
- ライター・編集者
- 大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を手がける。近年はデジタルマーケテイング媒体での執筆が増え、クリエイターをはじめマーケターや経営者の方々の取材を手がけている。https://junkohirata.work/
2023.11.16 Thu