第1回
Webサイト構築の成果はコンバージョンで決まる (2)
前編では、アクイジションコストを抑えてWebサイトのROIを上げるためには、外部トラフィックデザインによりCPC(Cost Per Click)を抑える、内部トラフィックデザインによりコンバージョンレートの向上させるの、いずれかの施策が必要なことを説明した。引き続き、コンバージョンレートとアクイジションコストの関係を解説していく。
(文:松岡清一)
コンバージョンレートとアクイジションコストの関係
1件の申し込みデータを獲得するのに1万円のコストがかかるサイトがあるとする(アクイジションコスト=1万円)と、1カ月で1,000件の申し込みを獲得するには、1カ月に1,000万円のコストが発生する。このサイトのコンバージョンレートを20%改善すると、同じ1,000万円の投資で1,200件の申し込みを獲得できる。また、獲得目標が1,000件のままでよいのであれば、コストは833万円ですむため、約17%のコスト削減となる【2】 。
【2】Webサイトの費用対効果
アクイジションコストが100円以下の薄利多売なサイトでは、このことはあまり問題にならないが、銀行や証券会社の口座開設の申し込みデータや車の購入検討者による問い合わせデータなど、企業にとっては高額なアクイジションコストを支払ってでも手に入れたいデータは意外に多い。このような企業にとって、コンバージョンレートの高いWebサイトを構築することは、日々の広告出稿にかかる運用コストの削減につながるため、効果的な投資であるといえる。【3】は高いコンバージョンレートを実現した例である。
【3】コンバージョンレートを上げる入力フォームの構築事例(ジョインベスト証券)
Webサイト構築のPDCAサイクル
Plan
取得すべきデータの種類と想定するターゲットのリテラシーを基に情報デザインを行う。
Do
Web サイトを構築するとともに、検証のためのデータを取得する。
Check
アクセスログやアプリケーションログを解析し、ユーザーの行動分析を行う。
Act
ユーザーの行動分析から、ユーザーアクションを阻害する要因の発見と改修を実施する。
このPDCAサイクルを実施するには、Webサーバのアクセスログを基にユーザーの行動分析をするためのツー ルが必要となるが、検証すべきログデータが散在していたり、そもそもデータが蓄積されていないこともある。これではWebサイトに投資する予算の計画を立 てられず、効果検証も行えないため、成果の指標を設定するのと同時に、成果の検証を行うためのシステムの導入を検討する必要がある【4】。
【4】アクセス解析ツール(Visionalist)行動遷移画面
また、用意周到に準備して構築したつもりのWebサイトであっても、いざ公開してみると、思わぬところで高い離脱率を計測することがあるため、日々のデータ検証とデータに基づくサイトの改修作業が高いコンバージョンレートを維持し続けることになる。
―了―