今月の1年生デザイナー
桑原 翔さん(ワンパク)
火曜。ワンパクのインタラクティブ作品をご紹介。
8:00 起床
9:50 出社
今朝は抜けるような青空。会社は中目黒の閑静な住宅街にあるのですが、天気の良い日は本当に気持ちの良い通勤路です。
10:00 デザイン修正
先週自分が作業した、ある携帯電話のプロモーションムービーのためのデザインデータに、オーサリングの段階で必要になる修正があったため、作業を行いました。このムービーでは手書きの文字を基調とした温かい雰囲気のデザインにしていたのですが、この文字にオーサリングの段階でアニメーションを付けるための作業です。 作業自体はPhotoshop上で手書きの文字を一画ずつに分解して、レイヤー分けするという地味なものでしたが、こうした経験があると、次に同じような作業を行うときに、うんと効率があがるので勉強になると感じます。
13:00 昼休み
朝、家に携帯電話を忘れてきてしまっていたので、昼休みを使ってダッシュで一時帰宅。 めまぐるしい速さで牛丼を食べて、オフィスへ戻る。
14:00 デジタルサイネージ
2010年9月に東新宿にオープンしたビル「ミラザ新宿」のデジタルサイネージのお仕事。そのソースコードを再度提出することとなったため、内容をチェック。ちなみに、このデジタルサイネージはふたつあって、その片方を自分が組んだのですが、ProcessingというJavaベースの開発環境で行いました。ワンパクはWebの仕事がメインのプロダクションでありながらも、Webの画面内だけにとどまらないインタラクティブなサイネージ、プロダクトやインスタレーションに近い制作を行うことができることが特徴的かもしれません。思えば、ワンパク代表の阿部さんとの最初の出会いも「Make: Tokyo Meeting」での出展がきっかけでした。
たとえば、「写心機」という作品。これは大日本印刷株式会社様とワンパクのコラボレーションユニットのコラボレーションユニット「DNPAC(ドンパク)」でプロトタイプを制作したもので、自分は入社前、2009年11月の「Make: Tokyo Meeting」で見ることができました。「写心機」とは皆の"心の状態=気持ち"を"一文字に託し"、"写す"ためのメディアインスタレーション作品です。iPhoneを手書き文字の入力デバイスとし、テーブル型タッチディスプレイ上の地図上に一文字に託した自分の心を落としていき、皆の感情の地図をつくり上げていくというもの。
また、2011年1月にギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催された企画展「秀英体100」においては、「写心機」のバージョン2として「{Font}Face to Face」というデジタルインスタレーションを展示しました。
さらに別のプロジェクトで、「Craftive」というものもあります。このプロジェクトはAXIS designとワンパクの有志が立ち上げた、さまざまな実験的インタラクションを試みるプロジェクト。これも2009年11月の「Make: Tokyo Meeting」で2つのプロトタイプを展示しました。ひとつは「LOGER」というもの。「LOGER」は 家具を買うときに寸法を測っていちいちメモしなくても良い進化型メジャーで、いつものようにメジャーをあてて本体のボタンを押すと、その寸法のデータが「LOGER」に記録されていくというもの。もうひとつは「PHOTOLOCK」というもの。これは目の前にある、その時々の様子を自動的に記録していくフォトフレーム。記録した様子は本体にあるツマミを半時計方向に回転させることで、時計の針が過去に向かって逆回転をはじめ、過去に記録された様子に巻き戻る。さらにツマミを停止させると、戻った時間から現在の時間までの「PHOTOLOCK」の目の前の様子を早送り再生し、現在の時刻でライブの様子に切り替わるというもの。両方ともプロトタイプではありますが、完成度の高いものです。
こうやってワンパクが関わってきたさまざまな作品を振り返ってみると、自分が求められている役割というのもわかってきます。自分にとってワンパクは、デザインの仕事をしながらも、大学院時代に学んだインタラクティブメディアのスキルや知識などを活かせる貴重な環境でもあるのです。
18:00 フレックス退社→「色彩」講義を聴きに
今日は少し早めに退社させてもらい、両国にある某ギャラリーで行わている「色彩」に関する連続講義へ。毎回2時間くらいの色彩に関するアカデミックなレクチャーを受けた後、そのトピックに関して、1時間、長いときは2時間くらいのディスカッションが行われます。 講義には美術系の学生や作家だけでなく、出版社や広告業界の人なども参加していて、そうした方々と意見を交換することがいい刺激になるのと同時に「色彩」というトピックがいかにメディアやジャンルに対して横断的で普遍的なものかと、思い知らされるのでした。