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田島照久「機動警察パトレイバー the Movie」
アニメ文化のデザインを変革した人
PROFILE | 田島照久
[たじま・てるひさ]アートディレクター、グラフィックデザイナー、写真家。1949年、福岡県生まれ。多摩美術大学卒業後、1972年にCBSソニーに入社。その後、79年からフリーで活動し、浜田省吾、尾崎 豊などさまざまな音楽関係のデザインを手掛ける。


―― 田島さんに発注したのは、「新しいことをしよう」という機運があったのでしょうか?
 そうですね。既存のアニメの方法論ではないことをやりたいという気持ちは、向こうにこそあったと思います。それで初めてデザインしたのが『機動警察パトレイバー』(1988年)のオリジナルビデオアニメーション(OVA)。VHSのパッケージです。ここで欧文でロゴタイプをつくってデザインしたわけですが、そのときはまだ日本語タイトルも入っていた。でも、OVAリリース開始から1年後の劇場版『機動警察パトレイバー the Movie』(1989年)のポスターには、もう日本語がまったく存在しなくなってます。

―― 劇場に貼る物としてこれで通用するかなという不安みたいなものはなかったんですか?
 そうだよね(笑)。よく許してくれたなと思います。ただ、監督の押井 守※3さんによるこの映画のスケール感って、普通にキャラクターをメインに描いたようなビジュアルだとうまく表現できないんじゃないかというのはありました。OVAの世界とはまったく違っていた。もちろんキャラクターもみんな魅力的なんですけど、刑事ドラマ風のサスペンスで当時としてはあまり「アニメらしい」内容ではなかったんですよね。
 このポスターも、パッと見た瞬間はアニメ作品の広告だと思わないでしょう? そういうところは狙っていたかもしれません。それで、(メカニックデザインの)出渕 裕※4さんが描かれたイラストと、実際の空の写真を組み合わせてつくったんです。当時はまだパソコンなんてなかったので、製版で合成していた。

―― これは一枚絵じゃなかったんですね。
 違う違う。もともと僕が空の写真が好きで、自分が撮影したストックがたくさんあったからそれと組み合わせて作ったの。発想としては簡単で、出渕さんのイラストを見たとき、(アイシールド部分の)グリーンっぽいイメージで全体をまとめるといいかなと思ったんです。イラスト単体で見るとグリーンの部分はちょっとだけなんですけど、この部分を主体に全体のバランスを作ったのが、案外ポイントだったのかな、と。それで、ストックの中からイメージに合う空の写真を探して組み合わせた。ほとんど出渕さんと2人で勝手に形にした感じです(笑)。それで、みんなに見せたら「かっこいい!」といって、誰も何もいわないからそのまま使われたという感じですね。
 今だったら、製作委員会とかいろいろあるわけじゃない?(笑) それで「キャラクターを入れろ」とか始まっちゃう。そういう意味で当時はまだ、規模の小さいときのデザインなんですよね。規模が大きくなっていくと、(デザインの)力がなくなっていったりすることもある。

――「パトレイバーを見る人はこういうグラフィックデザインを求めているんじゃないか」みたいな気持ちは田島さんにあったのでしょうか?
 うーん……鵜之澤さんも渡辺さんも当時は若かったわけです。まだ30才くらいでね。だから「自分たちがかっこいいと思うものは世の中にも通じるんじゃないか」と、デザイナーとかよりもむしろ彼ら制作陣の方が強く思ってたんじゃないですかね。

※続きは『MdN』2014年8月号の特集「アニメのグラフィックデザイン」に掲載されている
 記事をお読みください。

※3 押井 守
アニメーションを中心に、実写も手掛ける映画監督。『うる星やつら』TVシリーズ担当後、劇場版『うる星やつら オンリー・ユー』に続き、伝説的名作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の監督を務める。『機動警察パトレイバー』『攻殻機動隊』シリーズでその地位を不動のものに。パトレイバーの実写版プロジェクト「THE NEXT GENERATION ― パトレイバー ― 」(2014年~)が最新作。

※4 出渕 裕
『機動警察パトレイバー』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』におけるメカデザイン、スーパー戦隊シリーズや『仮面ライダーアギト』など特撮作品におけるキャラクターデザインなど、数々のアニメ・特撮でデザインを手がける。『ラーゼフォン』『宇宙戦艦ヤマト2199』では監督としても活躍。




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本記事は『MdN』2014年8月号(vol.244)の特集「アニメのグラフィックデザイン」からの転載です。

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